離婚,リスク
(画像=Burdun Iliya/Shutterstock.com)

富裕層の離婚時にトラブルが発生するケースは後を絶ちません。富裕層だからこそ、離婚という万一の事態に備え、日頃からきちんとリスクヘッジをしておくことが大切です。富裕層が離婚に関して知っておくべきトラブル事例と回避策をわかりやすく解説します。

夫婦共有財産の範囲は意外と広い

通常、自分名義の預金は自分のもの、法人名義の預金は法人のものだと考えている人は多いのではないでしょうか。しかし、離婚騒動になれば話は変わってきます。

離婚の財産分与においては、夫婦共有財産という考え方が重要になってきます。独身時代に所有していた財産は、財産分与の対象にはなりません。ただし、夫婦になってから取得したものは基本的に夫婦共有財産とみなされます。

夫婦共有財産には、預貯金や不動産、家財一式、車、有価証券や保険などあらゆるものが含まれます。預貯金や不動産、有価証券などは、名義がどちらか一方になっているからといって、一方の固有の財産とはみなされません。お互いの協力によって形成されたと考えられるからです。

また、独身時代から所有していた不動産であっても、配偶者の維持管理が認められれば、共有財産に含めなければならない場合もあります。

よく見落としがちなのは、法人の資産です。法人名義なので法人のものであり、配偶者を株主にしていない限り財産分与の対象から外れると考えがちですが、そうとは言い切れません。たとえ法人名義に形を変えていても、婚姻中に形成された財産であり、配偶者のサポートによって形成されたとみなされれば、法人名義の財産も財産分与の対象となります。

この例は、プライベートカンパニーや資産管理法人だけでなく、事業を行っている場合にも当てはまります。離婚によって事業の存続に影響があるかもしれないことは、常々頭に入れておく必要があるでしょう。

養子縁組をしているなら遺言書の手配を

富裕層であれば、さまざまな手段で相続税対策をしていることがあります。相続税対策の方法の一つに、養子縁組をして基礎控除を増やすというスキームがあります。もし両親の相続税対策のため配偶者を両親の養子としていた場合、離婚したとしても養子縁組は解消されません。

養子縁組とは婚姻とは別の独自の関係性とみなされます。そのため、もし両親に万一のことがあった場合は、離婚した配偶者も法定相続人となります。法定相続人であれば、遺産分割で遺産を要求してくることもあるでしょう。

養子縁組をしていた配偶者と離婚してしまった場合は、早急に遺言書を準備することが大切です。しかし、法定相続人には、遺留分と呼ばれる最低限取得できる財産の上限が決められており、遺言を書いたとしても遺留分を侵害することはできません。

その場合は、生前贈与などを活用して、相続が発生する前にできるだけ財産を移転することが重要です。年間110万円までであれば贈与税は発生しません。実子2名に対して20年間贈与を継続した場合、合計4,400万円の財産を移転することができます。

両親の年齢や財産の金額によっては、多少贈与税がかかっても贈与を優先するのも一つです。また、相続発生前3年以内の贈与は無効とされるため、その点にも注意しながら実子に対する贈与を早急に進めるようにしましょう。

財産状況を把握しリスクを予測して行動する

財産の管理を配偶者や税理士に任せっきりにしておくのは危険です。富裕層であれば資産の種類も豊富でなかなか正確な残高の把握まで追いつかないかもしれませんが、大枠の金額だけはきちんと把握しておきましょう。

金額を把握しておくことで、離婚に至った場合の事業への影響や、今後の生活をイメージすることができます。また、財産状況と併せて、株主や役員など配偶者の立場を知っておくことも大切です。立場を知っておくことで、離婚に至りそうな場合もより慎重な対応ができるようになるでしょう。

最初は夫婦で話し合おうとしてしまいがちですが、財産が絡む場合話がかえってこじれてしまうことがあります。「専門家の意見を聞いた方が参考になるから」といった理由で、早めに弁護士を介入させることが大切です。スムーズに話し合うことができれば、後々のトラブルを防ぐことができるでしょう。

文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)

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