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(画像=bluedog studio/shutterstock.com)

相続税は、富裕層にとって悩みの種です。20年以上連れ添った夫婦なら、自宅を配偶者に贈与することで相続税を軽減できる場合があります。贈与税の申告方法や税金が軽減される仕組み、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

贈与によって相続税を軽減する方法

相続税対策には、暦年贈与や生命保険の非課税枠の活用、養子縁組などさまざまな方法があります。相続税対策を実行する際は、それぞれの方法のメリット・デメリットを踏まえ、家族関係に配慮しながら慎重に進める必要があります。

贈与は相続税対策として最もポピュラーな方法です。相続税の仕組み上、財産総額が大きくなるほど高い相続税率が適用されます。そのため、生前に財産を子どもや孫に贈与し財産総額を少なくしておくことで、相続税の負担を軽減することができるのです。

暦年贈与という形で毎年少しずつ贈与する方法もあれば、非課税の特例を用いて一度に数千万円を贈与することもできます。暦年贈与は使い道も限定されておらず自由度の高い方法ですが、110万円を超えると贈与税が発生してしまうため、一度に財産を移転することはできません。非課税の特例は、出産や教育資金など使い道が限定されており、ライフイベントを逃してしまうと活用が難しいというデメリットがあります。

贈与を用いた相続税対策の1つに、夫婦の間で居住用不動産を贈与した場合に適用できる贈与の「配偶者控除」があります。20年以上連れ添った夫婦が、自宅もしくは自宅購入資金を配偶者に贈与した場合、2,000万円まで税金がかからないという特例です。

贈与の配偶者控除の要件と申告方法

贈与の配偶者控除を利用する時に注意したいのが、適用できるのは一生に一度ということです。配偶者一人につき一度という決まりなので、配偶者が変わればこの限りではありませんが、婚姻期間が20年以上必要なため、現実的には一生に何度も適用することは難しいでしょう。

また、贈与の配偶者控除を適用できるのは自宅の土地・建物かそれを購入するための資金のみです。投資目的の不動産などは対象になりません。他にも、贈与を受けた配偶者が翌年の3月15日まで実際に住んでいること、その後も引き続き住む予定であることなど、いくつかの要件があります。

建物だけ、もしくは土地だけを贈与することもできます。また、持ち分を贈与することもできます。例えば自宅の土地の評価額が4,000万円だとすると、2分の1の持ち分であれば、2,000万円の範囲におさまるため、贈与の配偶者控除を用いて贈与すれば税金は発生しません。

贈与の配偶者控除を適用する場合、税金が発生しなかったとしても贈与税の申告が必要です。戸籍謄本や戸籍の附票の写し、登記事項証明書などの必要書類を添付し、税務署に申告書を提出しましょう。

贈与の配偶者控除のメリットと注意点

相続税は財産総額が大きくなるほど高い税率が適用されます。夫婦の一方に財産がかたよっている場合、贈与の配偶者控除を活用することで、財産のかたよりを少なくすることができ、結果として相続税の負担を軽減することができます。

例えば夫が自社株や事業用の不動産などを所有している場合、贈与の配偶者控除を用いて自宅の土地・建物を妻に贈与するといった対策が考えられます。

贈与の配偶者控除を適用する際に注意したいのが、不動産取得税や登録免許税、登記費用が発生することです。贈与税が発生しないからといって、まったく負担がないわけではないので、事前に金額を試算してから贈与するようにしましょう。

また、相続税には「配偶者の税額の軽減」という制度があり、1億6,000万円までであれば、配偶者に財産を相続したとしても相続税は発生しません。将来的に配偶者に遺したい財産が1億6,000万円を超える場合は贈与の配偶者控除は効果的ですが、1億6,000万円以内におさまるのであれば、相続のタイミングを待つのも手です。

文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)

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