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(画像=vectorfusionart/Shutterstock.com)

節税対策なしで医院経営を続けると「高所得税・高相続税・高法人税」の3重苦に陥る可能性があります。医院長は高い所得税を取られ続け、医療法人にしている場合は利益が出るほど法人税が膨らみます。その上、医院長の個人財産は、その多くが相続税で国にもっていかれる可能性も。このような問題を解決する方法が「メディカルサービス法人(以下、MS法人)」立ち上げです。

メディカルサービス法人で医院経営はどう変わる?

民間会社の経営者がよく使う節税対策としては、返戻率の高い生命保険金に加入したり、不動産の評価額で資産を圧縮したりする方法があります。

さらに、“医療法人や個人診療所ならでは”の節税対策として、MS法人を立ち上げる方法があります。これによって、医療法人(または個人医院)とMS法人に利益を分散することができ、法人税・相続税・所得税を軽減できる可能性があります。

医療法人は医療行為の提供を目的にした法人です。これに対して、MS法人は、株式会社や合同会社と同じ一般法人のため、自由に幅広い領域の事業を行うことができます。とはいえ、メディカルサービスの名の通り、基本的には、医療に関わる業務が柱になります。

MS法人を立ち上げると、具体的にどのような変化があるのでしょうか。「医療法人」はこれまで通り、診療などの医療行為を行います。一方の「MS法人」は、それ以外の医院運営に関わる業務を担当するといった考え方が一般的です。

このMS法人の取締役を妻や子などにすることで、役員手当や株主配当を通じて家族に利益を効率的に還元することもできます。医療法人はいくら利益を上げても株主に還元しにくい仕組みですが、これを根底から変えることができるのです。

さらに、医療法人のみで経営していて医院長(理事長)に所得が集中していれば、累進課税で高い所得税率が適用されてしまいます。MS法人を利用して家族に利益を分散すれば、所得税率を下げることも可能です。

メディカルサービス法人の具体的な業務とは?

次にMS法人を通して、具体的にどのような事業が可能かを確認していきます。主な業務例は次の通りです。

  • (経営する医院の)窓口業務、会計業務、清掃業務
  • 土地建物を取得してそれを医院に貸す
  • 土地建物を取得してそれを医院に貸す

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この他、経営する医院に対する融資をMS法人が担って貸しつけるケースもあるようです。いずれにしても、経営する医院がスムーズに運営できるようサービスを提供するのが、MS法人の役目といえます。

メディカルサービス法人にはデメリットもある

MS法人により、利益分散ができる反面、コストが増える部分もあります。まず、さまざまな業務を提供するには、人材を雇ったり、設備を購入したりするコストが必要です。合わせて、業務が煩雑になる分、税理士費用の増加も考えなくてはなりません。これらを考えると、トータル収支がマイナスになる可能性も否定できません。

加えて、法人税で比較した場合、「MS法人23.2%(※)」に対して「医療法人19%(※)」と医療法人の設定が低くなっています。この部分にフォーカスすると「本当にMS法人立ち上げのメリットが大きいのか」を慎重にシミュレーションする必要はありそうです。

実際に、MS法人立ち上げ~運営する場合は、信頼できるパートナー(顧問税理士や専門コンサルタントなど)の存在が欠かせません。逆にいえば、信頼できるパートナー不在でMS法人を立ち上げると、雑務に翻弄され、本業を圧迫する恐れがあります。時期尚早といえるでしょう。

※法人税の税率は800万円超の場合です。また、これらの法人税の税率は、平成30年4月1日以後に開始する事業年度について適用されるものです。

文・J PRIME編集部

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