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(画像=evgenii mitroshin/Shutterstock.com)

財産には「(相続税評価額を)圧縮できないもの」と「圧縮できるもの」があります。圧縮できない財産の代表は、預貯金や有価証券など。一方、圧縮できる財産には不動産があります。たとえば、1億円の現金で不動産を購入し、それが5,000万円の評価となれば、大幅に評価額を圧縮できます。具体的にどのような節税策があるのかを解説します。

不動産を購入しただけで相続対策になるのはなぜか?

相続対策は難しい……そんな風に思い込まれている方もいるでしょう。しかし単純に「不動産を購入しただけ」で相続税評価額は圧縮できます。理由は、相続税や贈与税を計算する時には、次の決まりがあるからです。

  • 土地を評価する時は「路線価(※)」で計算する
  • 家屋は「固定資産税評価額」で計算する

​​​​​※路線価の決まっていない場所では倍率方式を用います。

この「路線価」と「固定資産税評価額」は、実際に売買した時の価格(時価)よりもかなり安く設定されています。そのため、現金を不動産に変換するだけで相続対策になるのです。評価額の目安は次の通りです。

  • 土地の相続税評価額は時価の約80%
  • 家屋の相続税評価額は時価の約60%
  • マンションの相続税評価額は時価の約50%

※あくまでも一般的な目安です。

「家屋」はどれくらい相続税課税額を圧縮できる?

相続対策でアパートなどの賃貸住宅を建てる富裕層が多いことは、皆さんご存じだと思います。賃貸住宅を活用した相続対策は「家屋の評価減」と「土地の評価減」に分けて理解するとスムーズです。まず家屋の評価減からですが、前項でお話しした通り、家屋の相続税評価額は時価の約6割になります。

さらに、この家屋が貸家(賃貸住宅含む)の場合は、自家用家屋の70%評価になります(借家権割合30%、賃貸割合100%の場合)。例えば、5,000万円の建築費用でアパートの家屋を建てた場合、建物評価額は2,100万円となり、半分以下の評価減になります。家屋の建築費用の額が大きくなれば、相当な額の節税になる手段です。

「土地」はどれくらい相続税課税額を圧縮できる?

自分の所有する土地に集合住宅を建てると、家屋に加えて土地も相続税評価額が減額されます。これを「貸家建付地(かしやたてつけち)」による評価額減といいます。

どれくらい評価額が抑えられるかの計算には、「借地権割合(地域によって異なる)」と「借家権割合(一律30%)」を用います。仮に借地権割合が70%のエリアだと、自分で利用する時と比べて21%程度の減額割合になります(借地権割合70%×借家権割合30%、賃貸割合100%の場合)。

「特例」を覚えると相続対策がしやすくなる

最後に、事業地や自宅敷地などを含めた土地の評価額を圧縮できる「小規模宅地等の特例(以下、特例)」についても覚えましょう。これは幅広い不動産に対応する制度のため、富裕層の方なら絶対に覚えておきたい内容です。一例としては、次の特例があります。

  • 自宅に利用している宅地:減額割合80% 限度面積330㎡
  • (貸付事業以外の)事業用に利用している宅地:減額割合80% 限度面積400㎡
  • 他人に貸している宅地:減額割合50% 限度面積200㎡

特例はかなり細かい規定や要件があるので、一般の方が扱うには難易度が高いといえます。税理士のアドバイスにもとづいて利用するのが賢明です。

不動産を活用した相続対策に必要な3つの視点

このように不動産を活用して相続税評価額を圧縮する手数はいくつもあります。さらには、資産の組み換えも有効です。フローの一例としては、活用できていない空き地や空き家を売却、これを元手に入居者ニーズのあるエリアで投資用不動産を購入するなどです。あるいは、子が独立してもてあましている自宅を取り壊してアパートを建てるのも一案でしょう。

この他にも選択肢はたくさんありますが、いずれにしても、不動産を活用した相続対策では下記の3つの視点が大切です。

  • 自宅敷地・家屋
  • 有休不動産
  • 投資用不動産

これらを組み合わせることで、もっとも効果の高い相続対策が見つかります。まずは、顧問税理士や不動産コンサルタントらと、どのような選択肢があるかを話し合ってみましょう。

文・J PRIME編集部

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