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(画像=Rido/Shutterstock.com)

2018年7月、「相続法(民法で相続について規定した部分)」を約40年ぶりに大幅改正する法律が国会で成立しました。これは、高齢化や技術の進歩などに伴って日本の社会が大きく変化してきていることを踏まえてのもので、いくつかの新たな制度が設けられています。

新たな「相続法」はその公布日(2018年7月13日)から1年以内で、政令によって定められる日に施行されます。いったい、どのように変わったのか、いち早く施行される前にその概要について説明しておきます。

亡くなった人の配偶者に配慮がなされた改正が中心

今回の大改正で新たに設けられたものとしてまず挙げられるのは、亡くなった人(被相続人)の持ち家に住んでいる配偶者に対して「配偶者居住権」が与えられたことです。相続開始(被相続人の死亡)時に同居していれば、その配偶者は終身または一定期間にわたってその建物を無償で使用できることが認められます。

亡くなった人の持ち家に関わる権利を「配偶者居住権」と「負担付きの所有権」に分解したうえで、相続の際に配偶者が前者、配偶者以外の相続人が後者を受け継げるようにしたのがこの制度の大きなポイントです。

複数の相続人が存在して、分け合うことのできる主な遺産が持ち家だった場合、従来の「相続法」のままでは配偶者がそこに住めなくなるケースが見受けられました。

そこで、「配偶者居住権」によって配偶者が自宅に住み続けるようにしたわけです。しかも、通常の所有権と違って転売したり、誰かに貸し出したりすることができないので、相続税の計算に用いる評価額を算定する際にもそれを低く抑えられるというメリットもあります。

結婚期間が20年以上に達している夫婦間で、配偶者に自宅を生前贈与した場合の遺産分割に関しても、大きな見直しが行われています。改正前までは「自宅の生前贈与=相続財産の先渡し」とみなして、相続時に配偶者が遺産分割において得られる総額がその分減額されていました。しかし、生前贈与した自宅は相続財産とみなさず、配偶者は法律で定められた割合の相続財産を得られるようになります。

さらに、妻が夫の実父・実母の介護や看病を行うというケースが少なくないという現実を直視した改正も行われています。今まではどれだけ親身に尽くしても相続財産を得られる立場にはありませんでしたが、改正後は「無償で被相続人の介護や看病に貢献し、相続財産の維持または増加について特別の寄与をした」と認められる場合には、相続人に対して金銭を請求できるようになります。

「自筆証書遺言」も目録はパソコン作成が可能に

一方、すべて自分が手書きで作成することが大前提だった「自筆証書遺言」についても、それに添付する「相続財産の目録」についてパソコンで作成したものや通帳のコピーなどでも認められるようになります。また、紛失や書き換えなどのトラブルを防ぐ目的で法務局が「自筆証書遺言」を保管する制度も設けられます。

他にも、切実な問題の解決を図る改正が行われています。改正前までは、亡くなった人の葬儀費用やその配偶者の当面の生活費、相続した借金の返済などでお金が必要となっても、遺産分割を終えるまで本人名義の預貯金口座を凍結されて換金が不可能でした。しかし、改正後は遺産分割前であっても一定額まで払い戻しが可能となります。

このように、今回の「相続法」大改正は今の時代にマッチした内容に法律を見直したもので、私たちにとっては歓迎すべき内容ばかりです。施行のタイミングについては冒頭で触れましたが、例外的に「自筆証書遺言」の方式緩和は先駆けて2019年1月13日に、「配偶者居住権」に関する規定や「遺言書保管制度」については、2018年7月13日から2年以内で政令によって定められる日に施行されます。

文・J PRIME編集部

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