遺族,相続税
(画像=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)

不動産を多く所有している人こそ、早めに相続税対策に取り組む必要があります。相続税対策は早く始めるほど選択肢も多くなるため、大切なご家族に負担をかけないためにも、相続税の仕組みを正しく理解して相続税対策を始めましょう。

不動産の評価方法と相続税の仕組み

相続税は、相続や遺言で財産を取得した人に課税される税金です。相続財産には、現預金の他にも、土地建物などの不動産、有価証券、金や宝石などの現物など、あらゆる資産が含まれます。生命保険金も、非課税とされる範囲を除けば相続財産とみなされます。

相続税対策を始める前に、まずは財産状況を整理することから始めましょう。財産状況の整理とは、自分が今所有している財産を洗い出し、その評価額を一覧にまとめることです。

現預金であれば通帳残高がそのまま相続税評価額となるため、迷うことはありません。また、有価証券や生命保険金についても、証券会社や保険代理店の資料を確認すれば、相続財産としての評価額を確認することができます。しかし、不動産については何を基準に相続税評価額が決まるのか、把握していない人も多いのではないでしょうか。

建物の相続税評価額は、固定資産税の課税明細に記載された評価額を用いることとされています。固定資産税の課税明細は、毎年5月頃に役所から建物の所有者に対して送られてくるので、記載された評価額を確認しましょう。

土地の場合は、道路ごとに設定された路線価に土地の面積を掛けて相続税評価額を計算します。路線価は毎年改定され、国税庁のホームページで発表されます。一般的な形の土地であれば土地の面積に路線価を掛けて計算すればすみますが、特殊な形をしていたり角地だったりする場合、正確な評価額を出すには補正率を掛ける必要があります。

財産状況を整理したら、財産総額が基礎控除を超えるかどうかを確認します。基礎控除とは、相続税が課税されない範囲のことです。基礎控除は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出します。例えば、法定相続人が妻と子(2人)の場合、基礎控除は4,200万円です。

財産総額が基礎控除の範囲内であれば、現状では相続税対策は必要ありません。財産総額が基礎控除をはるかに上回る場合は、早急に相続税対策を始める必要があります。

不動産が多いと納税資金の確保が難しい場合がある

相続財産のほとんどが現預金であれば、相続で財産を取得し、多額の相続税がかかったとしても、相続した財産の中から相続税を納めることができます。相続した財産以上に相続税がかかることはないため、相続税を納めても残りの財産を取得することができます。

しかし、相続財産のほとんどが不動産である場合、事情は変わってきます。土地や建物を相続したことによって多額の相続税がかかっても、現預金を相続していなければ、相続財産の中から相続税を納めることができないのです。この場合、遺族は各人で相続税の納税資金を調達しなければなりません。自分の貯蓄を切り崩したり、銀行から借入をしたりして相続税を納めるケースもさえあります。

生前贈与を活用して納税資金を確保しておく

大切な家族に負担をかけないためにも、財産状況を早めに整理し、不動産と現預金の割合を把握しておきましょう。不動産が多い場合は、不動産を評価した上で納税資金を準備しておく必要があります。

また、生前贈与を活用して現預金を相続人に移転することで、相続税を軽減しながら納税資金を確保することもできます。現預金を贈与した場合、受け取った人に贈与税がかかりますが、毎年110万円の基礎控除の範囲内であれば贈与税はかかりません。

110万円の基礎控除は1人当たりで計算するため、例えば妻と子ども3人(合計4人)に毎年110万円ずつ5年間贈与した場合、1人当たり550万円の納税資金を確保することができ、財産は合計で2,200万円移転することができます。

文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)

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