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テクニック
最後の仕上げでパスタは変わる!小林幸司さんのテクニック
記事提供:料理王国
パスタ料理のおいしさは、パスタのおいしさ、ソースのおいしさだけで決まるものではありません。最後にパスタとソースをいかに合わせるか? これが大切。代表的な4種類の定番パスタを使って、小林幸司さんのパスタとソースの合わせ技をご紹介します。
パスタとソースの合わせ技
「パスタはある意味、誰もが作れてしまうシンプルな料理だけに、簡単なようで難しくもあるんですね。ソースにふさわしいパスタ選びはもちろんのこと、ゆで上がったパスタをきちんと工程を踏んで、ソースと合わせることによって、家庭の味とは一線を画す、レストランの味に仕上がります」。こう話す、東京・中目黒の「アンティーカ・トラットリーア・ノスタルジーカ」の小林幸司さん。現在、小林さんの店では「ペンネ・アッラッビアータ」や「スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ」など、日替わりで定番パスタを提供する。今回はパスタの基本中の基本ともいえる4種類のパスタを例に、小林さん流の「パスタとソースの合わせ技」をご紹介いただいた。
フライパンだけでなく、ボウルで合わせるパスタもある
「まず、そのパスタをどんなふうに食べてもらいたいのかをイメージすることが大切です。ソースの香りをパスタに馴染ませたいなら、パスタのゆで時間を短くして、鍋で混ぜ合わせる時間が必要ですし、素材が持つフレッシュ感を大切にしたいのであれば、鍋で仕上げず、低い温度のボウルの中で合わせるほうがいいでしょう」。小林さんは、パスタをソースと合わせる時、もっとも重要なのは温度と時間の配分だという。
小林さんはアルミのフライパンでパスタをあおることはしない。深めの鍋の中、もしくは今回のカルボナーラやジェノヴェーゼのように、ボウルの中で和える。
「ソースの中味にもよりますが、平たいフライパンの中で繰り返しあおると、パスタ全体に熱がかかりすぎて香りも飛びやすい。ソースによっては、余計な熱を加えずに仕上げたほうが、フレッシュ感が味わえる場合もあります」。パスタには、それぞれのキャラクターにふさわしい、仕上げ技があるということ。「どんなオリジナルパスタも、幹の部分は同じ。基本の法則を踏まえれば、いろいろなパスタに応用できますよ」。まずは定番中の定番、「スパゲッティ・アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」から、トライしてみたい。
カリカリのニンニクの食感と辛味がアクセント
スパゲッティ・アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ・エ・プレッツェーモロ
2mm角に切ったニンニクを香ばしく炒める。
ニンニクは2㎜角に切り、六面を焼くようなイメージで、鍋をゆすりながらオイルの中でゆっくりと水気を飛ばすように炒め、赤トウガラシを投入。イタリアンパセリを入れて火を止める。
オイルの温度を下げて、パスタを和える
強めの塩でゆでたパスタを鍋に投入し、しっかりと麺にオイルをからませる。オイルにパセリの水分が加わったことで温度が下がってオイルに粘度が生まれ、パスタに絡みやすくなる。
【Spaghettti】パスタイ・グラニャネージ社 スパゲッティ
低温長期乾燥のブロンズ・ダイスに通したスパゲッティ。このざらついた麺の表面に、ニンニクの香りがついたオイルをしみ込ませるイメージで仕上げる。ゆでる時は塩分濃度を少し高めにする。
トマトの酸味、赤トウガラシのキレ味が調和
ペンネ・アッラッビアータ
ソースと和える時間を考慮し、パスタのゆで時間はほんの少し短めに
小林さんは、冬場はホールトマトを使うが、夏場はフレッシュ感のある生のトマトでソースを作る。ペンネは鍋で和える時間を計算し、ゆで時間をほんの少し短めにしてソースに加える。
フライパンでなく深鍋で、香りを逃さないよう短時間で手早く和える
アッラッビアータは、赤トウガラシの香りとトマトの酸味が要。熱々のフライパンであおると香りが立ちすぎて逃げやすい。小林さんは深鍋を使って、弱火でより短い時間で混ぜ合わせる。
【Penne】 マルテッリ社 ペンネ
トスカーナ州で伝統製法で作られた、香り高い小麦を使用したペンネ。スジの入っていないリッシェを使うことで食感がなめらかになり、フレッシュなトマトとの相性もいい。
ムラなくなめらかに卵のソースをなじませる
スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ
ホロホロ鳥のソースをパスタで蓋をしてソースを蒸す
あらかじめグアンチャーレの脂でニンニクを炒めておき、室温にもどしたホロホロ鳥の溶き卵、ペコリーノチーズと合わせてボウルで混ぜておく。そこにゆで上がったパスタを入れて上から蓋をする。
蒸したソースで温かいままパスタに素早くからめる
素早くソースとスパゲッティを混ぜる。溶き卵が入ったソースは、あらかじめ室温に置いておき、パスタで上から蓋をすることでさらに温度が上がるので、麺を混ぜた時に温度差による凝固のムラが起こりにくい。
【Spaghettti】パスタイ・グラニャネージ社 スパゲッティ
「スパゲッティ・アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」で使ったパスタと同種。ホロホロ鳥の卵を使ったとろみのあるカルボナーラのソースは、ロングパスタのほうがからませやすい。
さわやかなペーストの香りと味を際立たせる
リングイーネ・アル・ペスト・ジェノヴェーゼ
E.V.オリーブオイルが潤滑油の役目を果たしてスムーズに
ゆで上がったリングイーネは、まずボウルの中でリグーリア産の繊細なE.V.オリーブオイルで全体を軽く和える。このオイルでコーティングしておくことで、次に混ぜるペーストがスムーズにゆきわたる。
変色しないうちにバジリコペーストを素早く和える
ニンニク、バジリコ、松の実、熟成タイプのペコリーノ・サルド・マトゥ ーロ、塩、E.V.オリーブオイルをミキサーにかける。これをバジリコのフレッシュ感や香りが飛ばないうちに、素早く軽く麺と合わせる。
【Linguine】アフェルトラ社 リングイナ
噛みしめるとデュラム・セモリナ粉の力強い味が楽しめるナポリ産パスタ。麺が楕円形なので、滑りやすいオイルベースであっても、粗く砕いた松の実やペコリーノのペーストも麺にのりやすい。
Koji Kobayashi
1958年愛知県生まれ。89年渡伊。ウンブリア州「ヴィッサーニ」に入店後、シェフに就任。帰国後、西麻布「マリーエ」などのシェフを務めた後、2002年に中目黒に「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」を開店。09年に「アンティーカ・トラットリーア・ノスタルジーカ」に名前を変えてオープン。
沖村かなみ=文・構成/天方晴子=写真
本記事は雑誌料理王国2010年10月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2010年10月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。
記事提供:料理王国
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