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唯一無二のRRスポーツ ポルシェ911ヒストリー Vol.4

マルチリンク・サスというトピックスよりも「空冷エンジンはこれで最後!」という話題が先行!〈993型〉

2022.06.05

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マルチリンク・サスというトピックスよりも「空冷エンジンはこれで最後!」という話題が先行!〈993型〉

「ポルシェ」と聞いて気持ちが高ぶらないオトコがいるでしょうか!? しかも「911」が追加されれば、リッチなオジサンの脳内には、ドーパミンやエンドルフィンがだだ漏れするのは間違いありません。そこで短期連載企画として、時代を超えてクルマ好きなオトコを魅了してきた911について、改めて紹介したいと思います。 今回はリアがマルチリンク・サスペンションに進化し、より近代化した993型の魅力を、当時のクルマ事情を交えつつJ PRIMEの目線から解説します。

“最後の空冷911”は進化したリア・サスこそトピックス!

993型のヒストリーは1993〜1997年ですが、実は当時ポルシェは「騒音&排ガスの対策には、さすがに空冷エンジンは厳しいだろ!?」と、空冷フラット6に見切りを付けていたんですな。で、「次世代911は水冷エンジンにチェンジ!」という衝撃的な言葉ととともに、1993年に空冷エンジンの993がデビューしたのです。 「空冷エンジン消滅」という噂(いや、事実なんですけどね)を聞きつけた911ファンたちは、「最後の空冷911なら、今のうちに買っとかなきゃ!」と、当時は“駆け込み需要”で993がマーケットから消えたそうです。 しかし、ギョーカイ1の911マニアを自称(他称も)するJ PRIME戸賀編集長は当時を振り返りつつ…「993で注目すべきはそんなトコロじゃなくて、トピックスはリアサスペンション! それまでのセミ・トレーリングアームから、新開発のマルチリンクに全面刷新されたんです。そのおかげで操縦性が格段に向上し、乗り心地も改善されました」と解説します。 確かに、従来のセミ・トレーリングアームでは高負荷(=ハードコーナリング)時にオーバーステアになりやすかったのですが、マルチリンク・サスを搭載した993はそうしたRR車特有の悪癖が大幅に解消。「そうそう、当時、仕事で993の広報車を乗った際、振動&騒音も改善されていたのを覚えてます」と語る戸賀編集長。つまり、マルチリンク化によってサスペンションの懐が広く深くなったおかげで、無闇にバネとダンパーをガチガチにしなくても、また太くて硬いタイヤを履かなくとも走行性能が維持→アップできた…その恩恵で振動も騒音も低減したという次第。

そんな993型ですが…1993年に2駆のカレラが登場。964型のプラットフォームをベースとしているので、ホイールベースが2270mmと短いままですが、逆に全幅はマルチリンク搭載に伴って1700mmを超えています。エンジンも964型の3.6リットル・フラット6を持ち越していますが、可動部品の軽量化や摩擦低減のおかげで272PSにアップ。ちなみにMTは、5速から6速になっています。そのたった3年後、カレラ系の3.6リットルNAユニットには可変吸気システム(バリオカム)が搭載され、13馬力アップの285PSになりました(当時993の新車を買った911ファンの人は、きっと愕然としたことでしょう)。 「プラットフォームを流用しているのに、スタイリングはかなり変わりましたね。それまでの911はフロントフェンダーが“女性の太もも”と称されていたんですが、993では滑らかな傾斜になってしまいました。ライトもちと楕円形になってボンネットに寝かされちゃいましたね」と戸賀編集長。

翌年にビスカスカップリング式センターデフ搭載の4駆のカレラ4が登場しました。「僕が乗ってた964型のカレラ4って、カレラ2より約100kgも重かったんですよ。でも、993型では両者の差はたったの50kgになっているんです」と、911ヲタならではの薀蓄を披露する戸賀編集長。 `96年には大型ガラス製スライド式ルーフを持つタルガと、約13秒で自動開閉するカブリオレがデビュー。そしてお待ちかね、KKK製K16タービン2基で武装し、430PSを誇るターボの登場です(のちに430PSにアップ)。さらにターボシャシーにNAエンジンを載せ、ブレーキをターボ用に強化したカレラ4Sも登場。どちらも走りを重視する911ファンの琴線を刺激しました。で。1997年にカレラSを出したポルシェは、とっとと水冷モデルの996型に移行しちゃうのでした。

さて、“最後の空冷ポルシェ”という付加価値を持った993は当時も今も大人気で、現在のセカンドマーケットではデビュー当時のモデルであれば700万円弱で見つかります。でも、高年式のグッドコンディションともなると、軽く1000万円を超え、カレラSやターボといった特別モデルだと2000万円オーバーもざら! とは言え、同じ空冷の964型と930型の人気がもっと高まっている傾向があるので、「とにかく空冷フラット6を楽しみたい!」と思っているファンには、この993は狙い目かもしれません。最新の水冷911が1500万円ということを考えると、1000万円くらいの993を買って空冷フラット6ならではのシュープなレスポンスと、タイトなサイズ感を堪能するのがいいかと思います。手放す際も、値落ちはほとんどないですから。

ポルシェ
1996年にデビューしたタルガ。ポルシェ911のタルガと言えば「一体脱着式ルーフパネル」がアイコンでしたが、993型ではスライド式ガラスサンルーフに変わってしまいました。この変化には戸賀編集長を筆頭に、多くの911ファンが大ブーイング!
ポルシェ
ターボは1995年に登場。この993型でターボが初めて4WD化されました。今までのターボモデルと違い、ターボラグが低減されたことと、4WDということが相まって「かなり乗りやすくなった」…と当時のほとんどの専門誌が書いていましたっけ。
ポルシェ
ル・マンのGTカテゴリー参戦のために限定生産(100台程度とか!?)。420ps(のちに450PS)でしかもターボより約200kg軽量なのに2駆…いつの時代もGT2は特別なモデルなのです。ちなみに0-100km/h加速は4.4秒!
ポルシェ
1996年デビューのターボS。GT2と同等の高出力版ターボユニットに、4WDを組み合わせています。吸気口付きのデカい2段ウィングが迫力!

文 高 成浩(POW-DER)


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2024年12月8日(日)パネライ大丸心斎橋ブティックにて戸賀編集長のショッピングアドバイス

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J PRIME戸賀編集長によるトーク後におこなわれるショッピングアドバイス(1組15分間 記念写真撮影込み)は

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