ポルシェ

「ポルシェ」と聞いて気持ちが高ぶらないオヤジがいるでしょうか!? しかも「911」が追加されれば、リッチなオジサンの脳内には、ドーパミンやエンドルフィンがだだ漏れするのは間違いありません。そこで短期連載企画として、時代を超えてクルマ好きなオトコを魅了してきた911について、改めて紹介したいと思います。
今回は先進技術を積極的に導入しつつも、“911らしさ”はまだまだ色濃〜く持っている964型の魅力を、戸賀編集長の実体験を交えつつ=J PRIMEの目線から解説します。

964型は当時も今も、スポーツカー好きに大人気の911!

964型のヒストリー(1989〜1993年)は、1960年代生まれの戸賀編集長&筆者の人生とばっちりクロスオーバーします。964型がデビューした1989年は戸賀編集長が世界文化社からギョーカイ人として第一歩を踏み出した年で、その後まもなくして実際にカレラ4に乗っていましたから。 さて、そのカレラ4こそ、ポルシェが満を辞して発表した911の象徴と言えるでしょう。なぜなら……モダンながらクラシカルな911の趣を残しているボディにたくさんの先進技術を搭載しているのがこの964型であり、そしてその先進技術のトピックスがカレラ4のアイデンティティである「四輪駆動」だからです。実はポルシェは '70年代から四輪駆動システムを研究していました…「その最たるモノが、限定292台だけ生産されたポルシェ959ですね。ポルシェ がラリーで戦うために、グループBのホモロゲに対応した超モンスターマシンです。2.9リットルの空冷&水冷フラットDOHC6・ツインターボを456馬力を実現。その大パワーをトルク可変式の4WDシステムが、確実に路面に伝えます」と、911ヲタクの戸賀編集長が薀蓄を披露。そんな特別な911は置いとくとして、ポルシェが四輪駆動をようやく市販車に初搭載できたのが1898年になってから! ポルシェとしては964型デビューに際して、最初に四輪駆動のカレラ4を発表したくなるでしょ!

ポルシェ
(画像=先端に配された丸型ライト、突き出したフロントフェンダー、立ち気味のフロントウィンドウ、ルーフからテールへのなだらかなラインが作り出す“どこかクラシカル”で“911らしさ”ぷんぷんのエクステリアを備えた964型カレラ4。しかし、中身はボディからトライブトレーンまで、ほぼすべてが一新されています。)

ちなみに先ほど「クラシカルな911の趣を残している」と申しましたが、四輪駆動搭載に伴ってモノコックボディを一新! なんと、クルマ全体の8割のパーツが新設計されています。
フラット6エンジンは従来の3.2リットルから一挙に3.6リットルへアップし、最高出力は250PSです。サスペンションはフロント/マクファーソンストラット、リア/セミトレーリングアームは変わりませんが、スプリングがトーションバーからコイル型に刷新されたおかげで設計・自由度が広がり。セッティング&チューニングが容易になっています。すなわちハンドリング性能が1〜2代目よりも格段に向上したってワケです。それと乗り心地もね。

そんなカレラ4でヤング戸賀編集長は、足立区〜千代田区〜港区〜横浜市をブイブイ言わせていたそうです。「四輪駆動のおかげでアンダーステアが強めになりましたが、逆に言えば二駆のRRよりは安心してスポーツドライビングができるようになり、ドラテクが危うい僕にとっては良かったと思います。でも、だんだんと運転スキルが上がるにつれ、アンダーステアを出さないようにして速く走るコツがわかってきたのを記憶しています。それがカレラ4の魅力であり、また911をドライブすることの楽しさと言えるでしょう」と、当時のドライブインプレッションを振り返る戸賀編集長。

ポルシェ
(画像=1990年に「ティプトロ」という画期的なオートマを引っさげて登場したカレラ2。クーペボディの他、タルガとカブリオレもデビューしました。脱着式ルーフの代名詞とも言える911タルガですが、人気の脱着式もこの964までで、時代とともに電動化されて行くのでした。)

カレラ4のデビューから遅れること1年、1990年に二輪駆動のカレラ2が登場します。このカレラ2で世界中の注目が集まったのは、何と言っても「ティプトロ」でしょう。トルクコンバーター式ながらマニュアル変速機構を備えた“世界初”のATは、911ファンを「911にオートマぁ???」と批判する硬派と「これで僕も911に乗れる❤︎」と絶賛する軟派にきっぱりと分けました。

当時、某有名ジャーナリストがティプトロのカレラ2で筑波サーキットを走ったところ、「最終コーナーで過度な横Gがかかり、それをセンサーが感知したらしく勝手にシフトダウンした」とレポートしたのを覚えています。その記事を読んだ自称エンスー編集者が「これじゃあ危なくてティプトロに乗れねえよ」と言ったとか…そのコメントを聞いたヤング戸賀編集長は「お前が横G効かして走れるワケねえだろ」と呟きつつ、MTのカレラ4のアクセルを踏み込んで走り去ったという話も…(笑)。

ポルシェ
(画像=カレラ4→カレラ2のデビュー後、1991年にターボが登場。当初は3.3リットルのエンジンでしたが、その後3.6リットルにまで拡大されました。930型ターボより乗り味がいくらかマイルドになった(?)こともあり、964型ターボは当時のリッチなスポーツカーファンがこぞって乗っていました。ディーラーで「ターボにティプトロないの?」という質問が多かったとか。)

1991年にカレラ2をベースにしたターボがデビュー。エンジンは新しい3.6リットルではなく、3.3リットルのフラット6をターボで武装。964型911ターボは最高出力320PSを誇り、当時の並み居るライバル達を凌駕しました。さらに381PSまでチューンし、徹底的に軽量化した特別なターボSが出現しますが、量産型911ターボは最終的(1993年)に3.6リットルユニットが換装され、最高出力360PS、0-100km/h加速4.8秒、最高速280km/hというパフォーマンスに落ち着きます。

ポルシェ
ポルシェ
(画像=簡易トップを降ろしてそれをFRPカバーで覆うスタイルのスピードスターが、1993年に雨が少ない北米向けにデビュー。その低いボディと、ボディ同色ホイールが印象的でした。1992年にはアメリカ・IMSAレースで得たノウハウを活かした、381PSのターボSを生産。そのパフォーマンスとともにボンネットとリアウィングをケブラーカーボン化したエクステリアを堪能できたのは、世界でたった80人のみ!)

ちなみに、この1〜2代目と同様に“特別な911”が存在します。先ほど申し上げたターボSや1993年のスピードスターがそうですが、戸賀編集長と筆者が当時在籍していた『Car EX』誌で取材・撮影したこともある1992年のカレラRSが印象深いでしょう。ベース車のカレラ2からエアコン、パワステ、オーディオ、パワーウィンドウといった快適装備を一切排除(ルームランプさえ無し!)し、さらに後席も取っ払ってボンネットをアルミに変え、ガラスを肉薄化してアンダーコートさえ省略(ドアも肉薄化という噂もありました)した結果、なんと130kgも軽量化を達成。そしてスポット溶接数を増やすなどしてボディを強化…特にサスペンションの取り付け部の剛性をアップしつつ、足回りを強化!…「確かRSはホイールがマグネシウム製だったと思います」と、戸賀編集長が細かい薀蓄を披露。

さらに軽量フライホイールに付け替え、ただでさえ鋭敏なフラット6の吹け上がりをもっとシャープに!! そんなスパルタンな911をヤング戸賀編集長とヤング筆者は、撮影の合間に乗り回して楽しんだ記憶があります。二人ともカレラRSの底力を引き出せるようなドラテクを持っていませんでしたので、「乗り心地、硬ェ〜」「バケットシート、身動き取れねぇ」「デートに使えねえ」というインプレッションしかできなかったと記憶しています。「当時のRSはとても敷居の高いモデルでした。現代のGT3はそれなりのポルシェユーザーしか買えないんですけど、当時のRSの“ユーザー縛り”はもっと厳しかったと思います。そんな特別なクルマに乗れたのは、とても貴重かつ幸せな経験でしたね」と、感慨にふける戸賀編集長。

文 高 成浩(POW-DER)


【関連記事】
自分に合うモノ選びと人の繋がりの大切さをかみしめた編集者人生のスタート
正真正銘のエンスーだけが分かる初代911はまぎれもないエンスーRRスポーツなのであった!〈901型〉
エンジンとボディの“付加価値”によって、世界中の高性能スポーツカーに変革をもたらした2代目911〈930型〉
「歴代タルガを狙え!」というポルシェ911ファンの真意を説く!?
清潔感だってアピールできる、リッチなオジサンには純白スニーカーがお似合い!
年次カレンダー&トラベルタイムの2つの機能を初めて融合させたパテック フィリップの大本命!