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唯一無二のRRスポーツ ポルシェ911ヒストリー Vol.2

エンジンとボディの“付加価値”によって、世界中の高性能スポーツカーに変革をもたらした2代目911〈930型〉

2022.04.24

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エンジンとボディの“付加価値”によって、世界中の高性能スポーツカーに変革をもたらした2代目911〈930型〉

「ポルシェ」と聞いて気持ちが高ぶらないオトコがいるでしょうか!? しかも「911」が追加されれば、リッチなオジサンの脳内には、ドーパミンやエンドルフィンがだだ漏れするのは間違いありません。そこで短期連載企画として、時代を超えてクルマ好きなオトコを魅了してきた911について、改めて紹介したいと思います。
連載2回目は、その圧倒的なパフォーマンスとド迫力なスタイリングで世のカーマニアを魅了した「930ターボ」が出現した930型を取り上げ、あくまでもJ PRIMEの目線から解説します。

930型のトピックスは、なんてったって930ターボ!

前回の初代911…901型はJ PRIME戸賀編集長と筆者にとって、時代がちとズレていました。が、今回の2代目911である930型は1973〜1989年のクルマですから、彼らの人生とそこそこクロスオーバーしています。とは言え、二人がクルマの免許を取るのは930型デビュー後まだまだ先ですから、思春期の彼らは自動車専門誌の930の記事を読むのが精一杯! それでも930型は、勉強やスポーツや恋に励む若者を虜にしました。それくらい刺激的なクルマだったのです。

930型
「世界最高峰のスーパースポーツ」と謳われている930ターボですが、だからと言って決してスパルタンなクルマではありません。市街地でも渋滞でも拍子抜けするほどリラックスして走ることができ、ひとたびアクセルを踏み込めばたちまち250km/hの世界へ突入することができる…と、当時の専門誌には書いてありました(すみません、編集長も筆者も乗っていませんので)。

930型というと、戸賀編集長&筆者を含む911ファンはすぐさま930ターボが思い浮かびます。確かに930ターボは2代目911にとって最大のトピックスなのですが、1973〜1989年の歴史の中にはもうひとつ大きなターニングポイントがあるのです。実はNA(自然吸気)モデルは初代901型が存命し、それが大改良されていたのです。’73年のNAモデルのGシリーズは、前年に大注目されたカレラRSと同様の2.7リットル・フラット6を搭載し、175PSの911と911S、210PSの911カレラという3グレードをラインナップしていました。またこのGシリーズは、従来の911とは大幅に変わったボディスタイルが印象的でした。当時、北米で改訂された衝突安全基準に対応するため、衝撃吸収を目的とした5マイルバンパーを装着しリデザインされたからです。そのおかげで’74年以降の911は通称ビッグバンパーとも呼ばれ、昔も今もファンの間で評価は喧々諤々されています(苦笑)。
で、’78年にさらにエンジンが3.0リットルに拡大され、ようやく930型に移行したのでした。その後も930型NAモデルはどんどん排気量がアップされたり、ゲトラグ製マニュアルトランスミッションが導入されたりと、当時の911ファンの物欲を手玉に取るような進化を遂げて行ったのでした。

930型
ビッグバンパーと呼ばれ、先代のナローポルシェとは区別される2代目911NAモデル。2.7リットル・150PSの1973年Gシリーズから始まり、3.0リットル・200PSの1974年Hシリーズへと移行し、やがてSCからカレラへとネーミングが変わるとともに、エンジンもどんどん拡大。また、タルガやカブリオレという特別ボディも追加されるなど、先代と同様の「年ごとに進化する」というポルシェの商法(?)は2代目になっても続いています。

て、トピックスであるターボモデルですが、デビューは1974年のパリ・サロン! 3.0リットルのフラット6エンジンをシングルターボで武装し、出力は260PSを実現。その大パワーに対応するための幅広・扁平タイヤに合わせたワイドフェンダーと大型リアスポイラーが、当時のスポーツカー業界…いや、世界中のクルマ業界に一大センセーションを与えました。いやぁ、このターボもリアスポイラーもワイドフェンダーもレースのホモロゲーションを有利にするために慌てて付けたようなものなんですが、むしろその“後付け”感がカーマニアの心を妙に刺激したんですな。もちろん戸賀編集長も筆者も、刺激されたカーマニアの中の二人です(苦笑)。
その後930ターボは’78年にエンジンが3.3リットル化され、馬力は330PSにアップ。それに伴いブレーキはブレンボ製に変更されました(戸賀少年はこの時、「ブレンボというブレーキは高性能なんだな。よし、大人になったらブレーキはブレンボ製にしよう」と誓ったとか)。’81年にはフラットノーズ仕様がデビューし、その後1989年まで生産は続きますが、晩年の88年にタルガとカブリオレといったプレムアムなボディが追加されます(そうそう、’89年にして初めて、5速MTが搭載されます)。

930型
2代目911は1983年にフルオープンのカブリオレが追加。これは北米における「オープンカー復権」の高まりに合わされ、大ヒットしました。その後、930ターボにも追加され、タルガとともに911の人気モデルとなります。

今、「プレムアムなボディ」と表現しましたが、実は930ターボにはもっともっと特別なモデルがあります。930ターボの究極系と言えるのが、グループ5マシンの「935」がそれです。3.0リットル・ターボで560PS、まもなく3.2リットル・ターボで950PSを誇り、数々のレースシーンで華々しい成績を納めたモンスターと言えます。いや、このレースマシンで勝つべく、レースのホモロゲーションを取りやすくために930ターボが生まれた…と言えるでしょう。
…ってな具合に、クルマ業界にもレース業界にも、そして911ファンにも「特別」なクルマであった930ターボは、現在でも「特別」であることは間違いありません。その証拠にセカンドマーケットでは、930ターボは低年式でも1200万円は下りません。3.3リットルエンジン・5MT搭載の高年式の好コンディションともなると、余裕で2000万円を超えてしまいます(新車の911が買えちゃう!)。まぁ、それくらい人気車ですから思い切って買って、そこそこ乗ってから手放したとしてもほぼ同額で売れるでしょうけど…。場合によっては値上がりする可能性=つまり投資にもなるかもしれないのですが、この930型にはターボ以外にも、徹底的に改良化した「911カレラ クラブスポーツ」や、フロントウィンドウを低めたルックスが魅力的な「1989年スピードスター」があります。今すぐ数千万を用意できるリッチなオジサンは、911専門店に行かれてはいかがかと思います。

930型
930型
1981年に登場した930ターボのフラットノーズ。その特異なスタイリングもさることながら330PSにパワーアップされた仕様に、若き戸賀編集長の心は滾りました。また、1989年に発売されたスピードスターも同様に、戸賀編集長を含むすべての911ファンを魅了! 低いフロントウィンドウとFRPトノカバーに憧れつつも、世界限定2000台という数字にタメ息をついたとか!?

とは言え、カレラクラブスポーツもスピードスターは特別過ぎますし、正直言って「空冷ターボ」の930ターボはかな〜り手間がかかるクルマであります。なので、J PRIMEとしてはゲトラグ製MTを搭載した’87年の911NAモデルか、トルク重視で乗りやすさを追求した3.0リットル・180PSのエンジンを積んだ’89年911SCがお薦めです。どちらも911特有のシャープなハンドリングや、フラット6ならではの官能的なエンジンの吹け上がりを味わうことができますから…(どちらもセカンドマーケット価格は700万円くらいから)。

文_高 成浩(POW-DER)

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2024年12月8日(日)パネライ大丸心斎橋ブティックにて戸賀編集長のショッピングアドバイス

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【オープニングトークショー】
2024年12月8日(日曜)15時より
J PRIME戸賀編集長によるトーク後におこなわれるショッピングアドバイス(1組15分間 記念写真撮影込み)は

daimarushinsaibashi@panerai.com

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