Daoko

ニコニコ動画へ投稿した楽曲が注目を集め、瞬く間に人気シンガーとなったDaokoが、初の個展となる『the twinkle of euphoria』をArtglorieux GALLERY OF TOKYO で開催。創作過程や音楽との関わり、アートとの向き合い方について、本人にインタビューしました。

過去作含め約50点のアクリル画や水彩画を展示

――今回の個展にはどんな作品が展示されていますか?

過去作品と今回の個展に合わせて描き下ろしたアクリル画や水彩画を、約50点展示しています。SNSで投稿したものやCDジャケットになって世に出した作品もありますが、実物をこうして展示するのは全てが初めてです。

――今までに絵の勉強はされたのでしょうか?

父親がデザイナーなので、自然と小さい頃から絵に興味を持ち、ずっと描き続けていました。特に幼い頃は姉が絵を描いているのを隣で見ていて、影響されましたね。子供の頃から絵画教室に通ったり美術系の高校に通うために画塾に通っていました。キャンバスに描き始めたのは5年くらい前からで、作品が集まってきたのはここ最近。いつか個展を開きたいと思ってはいたのですが、今回お誘いいただいて実現することができました。

――作品はどのような手順で描かれたのでしょうか?

音楽を聴いてイメージしたものもあれば、旅先で見た景色をベースに描いたり、その時々のフィーリングで描いたりしています。今日持ってきた青いおばけの作品は、『groggy ghost』という曲のCDジャケットになったものなんですけど、これは楽曲をイメージして描きました。私は音から色を連想するタイプで、音楽を聴くと色が浮かんでくるんです。『groggy ghost』を聴いたときもまずは青色が浮かんできて、次に絵柄が浮かんできました。その浮かんできたイメージを絵として表現していますが、作品はすべて基本的には想像上の世界で、自分の感覚の解放みたいな感じです。

Daoko

――持ってきていただいたもうひとつの作品にも女の子が登場していますが、何か理由はありますか?

私、基本的に女の子しか描きたくなくて、他の作品にも子供に近い少女が出てきます。少女しか描かないという明確な意志はないのですが、女の子の体って造形的に綺麗だなと思うんですよね。歌手の「Daoko」は自分が演じているオリジナルキャラクターでもあるのですが、絵を描くときはナチュラルな素の自分で、一番パーソナルな部分で描いているので、自分のなかの子供っぽい部分が出て、年齢も同じくらいの女の子になるのかなって感じています。特に自分を描いている意識もないんですけど、似たような髪型の子ばかり描いてしまうので、どこか投影して描いているのかもしれません。

作品は生きづらさや辛さを昇華したもの

――どんなときに、どこで絵を描いていますか?

描きたいと思ったときに、描きたいものを家で描いています。夜中に一人で描いているのですが、絵を描くときは、深夜特有の寂しかったり、悲しみを帯びた気持ちで描くことが多く、私はこの時間を“夜つぶし”って呼んでいます。でもそうやって自分本位で描けるところが絵のいいところ。音楽は創作工程がかなり決められているものなので、音楽で行き詰まったら絵を描いて、両軸でバランスを取っている感じです。

Daoko

――絵を描くことと音楽作りでつながっている部分はありますか?

“自己表現”というところでは通じているものがあるなと思います。でもすごく近いところにいるけど、絵に関しては0から1を作るのも、1からその先の完成までも自分。音楽はほかのアーティストさんとの共同作業で作り上げる合作のような形が多いので、その違いはありますね。

――アートへはどのように向き合っていますか?

音楽も絵も、小説を書いたり写真を撮ったりするのも好きですべて自分にとっては自己表現なのですが、絵に関しては、生活の一部という表現が近いです。私は自己表現することで救われていることが多いんです。文章を書くことや作品を作ることで、うっぷんや悲しい気持ち、心の穴を埋めて、作品として昇華させています。だから絵を描いているときは精神状態があまり良くない時。個展の作品制作を通して、また新たに成長できた気がします。

Daoko

――絵は精神安定剤というか、Daokoさんにとってなくてはならないものなんですね。

絵が描き終わると「ふぅ」と一息つけて、スッキリするから心の新陳代謝にもなるし、創作は自分のなかの生存戦略でもあるんです。自分の感情をぶつけて描いた“絵”という手法が“作品”になるのは、生産性があってすごくいいなと思っています。負の気持ちをただただ吐き出しただけでなく、作品にしたことで美しく昇華させられるところが好き。あの辛い時間を無駄にするのではなく、ちゃんと対価として、お金ではなく何か受けとれる気がするんです。だから今回の個展も「誰かに見てほしい!」っていうよりは、生きるためにやらせてもらっていること。精神状態が悪い方が作品はたくさん生み出せるので、最近は割り切って生きづらさを作品に変えるようにしています。

Daoko

――辛い感情で描いた絵が“作品”になると、描いているときと見方は変わりますか?

絵が完成して“作品”になると、会話できることがあるんです。あ、別にヤバい人とかではないんですよ(笑)。自分の一部であった絵が完成すると、子供みたいに自立して存在している感覚になるんです。自己の潜在意識との対話でもあると思うんですけど。それで作品と向き合ったときに、会話ができる作品とできない作品があって……。会話できる作品は、いい絵だなと思います。でも会話できない絵が悪い訳ではなく、作品としてきちんと血が通っていてクオリティは保っている。でも私とはコミュニケーションが取れないっていうだけなんです。でも後天的に会話できるときもあるし、ほかの誰かとはコミュニケーションが取れるかもしれないですね。音楽もそうですけど、自分の感覚が絶対的に正しいものとは思っていないですし、ほかの人が受け取ったときに感じるものと私が受け取る感覚は全く同じものではないので、何かを伝えられる可能性がある作品は世に出すようにしています。

アートと難しく考えずいろんな方に見てほしい

――4月公開の蜷川実花監督作品「ホリック xxxHOLiC」の実写化映画では女優業にも挑戦されているDaokoさん。演技も自己表現のひとつですか?

演技はちょっと自己表現とは違う感じでした。「Daoko」は自分が作ったオリジナルキャラクターを演じている感覚なんですけど、他人が作ったキャラクターを演じるのには、オリジナリティとはまた少し違うテクニックが必要なので、別ものでした。今回の役柄はDaokoと通ずるものがあってブッキングしていただいたとも思うので演じやすかったのですが、自分はもしかしたら何者にでもなれる訳ではないのかもと感じ、勉強になりました。新しい扉が開けた感じがしましたね。でも今後もやりたいなと思ったことは、何でもやろうと思っています。それでいて散漫にならず、何かをやるからにはその分努力をして極めたいなと思います。中途半端になってどっちつかずが一番良くないと思うので……。絵に関しては、今回の個展がそのスタート地点。修行の始まりです。

Daoko

――初となる個展で見てほしいポイントはありますか?

アートとして見ていただくのもいいんですけど、そんな難しく見るものではないかもしれないです。Daoko個人としての日常や感覚の一部を切り取ったものや、パーソナルな部分を表現した個展なので。だから美術に精通されている方が見たらどんな反応なのかなと緊張もしていますし、専門家から見たら「なんだこれー!」という作品だったりもするのかなと。でも良い・悪いって、受け取る方の好みや相性があるから、アートに正解はないはず。だから自分の音楽を好きだと言ってくれているファンの方々はもちろん、小さいお子さんにも見て欲しいです。音楽は歌詞という共通言語があるのでこういう気持ちになってもらいたいなと思うこともあるけど、絵はこれを見て何かを感じ取ってこういう気持ちになってくださいとは思っていなかったりします。色んな方に、難しく考えず見てもらいたいですね。

Daoko

――最後に読者にみなさんにメッセージを!

私は元々アートがとても好きで、親友が画家だったりするので近いところにアートの世界はあるんですけど、自分の個展は初めて。だからすごくドキドキしています。展示したり販売したりすることがほとんどなかったので、実際に見てもらったときに、どんな風に人と作品のコミュニケーションが生まれるのかが楽しみです。ネットで作品を公開したことはありますが、生で見てもらうことは音楽のライブと通じていて、魂が行き届いて伝わるものは大きいと思います。遊びに行く感覚で、ぜひ見ていただけたら嬉しいです。

Daoko

Daoko(だをこ)

1997年生まれ、東京都出身。ラップシンガー。15歳の時にニコニコ動画へ投稿した楽曲で注目を集めポエトリーリーディング、美麗なコーラスワーク、ラップを絶妙なバランスで織り交ぜたドリーミーな世界観で話題を呼ぶ。2015年3月には高校生にしてメジャーデビュし、2018年には「第69回NHK紅白歌合戦」に初出場。アーティストたちからのラブコールを受けてのコラボレーションも多く、これまでに米津玄師やベック、中田ヤスタカ、スチャダラパー、MIYAVIらと共演している。音楽活動の他に小説『ワンルーム・シーサイド・ステップ』(KADOKAWA)を執筆、蜷川実花監督の『ホリック xxxHOLiC』実写化映画(2022年4月29日公開)では女優業に挑戦するなど、マルチな才能を見せる注目のアーティスト。

「Daoko Exhibition " the twinkle of euphoria "」
会期:2022年3月31日(木)~4月13日(水)
場所:Artglorieux GALLERY of TOKYO

撮影 杉田裕一
ヘア&メイク 上川タカエ
文 木下 歩
編集 藤倉大輔


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