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(画像=timyee/Shutterstock.com)

遺言書は、万一のときに必要なものであるにもかかわらず、作成するのは、つい先送りにしてしまいがちです。自分の死後にも家族を守ってくれるもの、それが遺言書です。なるべく早く作っておくに越したことはありません。ここでは、遺言書の書き方などの基本について解説します。

意外と多い相続争い

相続税が控除される額を上回る資産を持っている人にとって、遺言書は必要不可欠なものです。自分の死後、これまで積み上げてきた資産はどのように分割されていくのでしょうか。遺言書がなかった場合、法律を基本として、相続する権利のある人たちが話し合い、遺産分割協議を行います。その際、問題なく分割できればいいのですが、多くの場合、なんらかのもめごとが発生してしまいます。

というのも、遺産は現金や有価証券などにとどまらず、土地や建物にまで及ぶからです。不動産を売却して現金化したのちに分割する、という方法も考えられますが、その不動産に住んでいる家族が相続した場合はなかなかそうもいかないでしょう。

  • よくある相続トラブル

正しい手続きによって作られた遺言書は、故人の明確な意思として尊重されます。その遺言書がないことによって、さまざまなトラブルが起こってしまいます。

例えば、親の事業を継承した子どもが、他の子どもに遺産を渡すことを拒んだり、相続する権利のない人が急に相続権を主張しだしたり、父親が亡くなった途端、母親が子どもたちに相続放棄を求めたり、といったトラブルは実際に多々あるようです。金銭が絡むと一族と言えど人は変わります、悲しいようですが人間の本質的側面なのでしょう。自分の死後、家族が遺産を取りあう“争族”とならないよう、遺言書は早めに作成しておきましょう。

遺言書の作成方法

ここからは、遺言書の作成方法について詳しく解説します。まずは遺言書の種類と特徴についてみていきましょう。

遺言の種類と特徴

自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
作成場所 自由 公証役場 自由
作成方法 本人が自筆 公証人が口述筆記 本人が自筆。代筆、ワープロも可能
証人・立会人 不要 2人以上の証人が立ち会う 2人以上の証人と公証人が立ち会う
費用 無料 作成手数料 公証人の手数料
署名・捺印 必要 必要 必要
封印 不要 不要 必要
デメリット 本人が記入するため、不備があると遺言が無効になる可能性がある。また、死後に発見されなかったり、紛失したり、内容を改ざんされてしまうおそれもある。 作成手数料がかかる。証人を依頼したり、作成したりと手間がかかる 遺言の内容や方式によっては無効になってしまうことがある

遺言書は種類によって作成方法や必要なものが変わります。手間や費用も異なりますので、どの方法が良いのか迷ったときには、弁護士や行政書士といった遺言書作成のプロに相談しましょう。

  • 自筆証書遺言の作り方

自筆遺言書は一人でも作成できる、比較的簡単な遺言書です。ただし、正しい方法で作成されたものでなければ、遺言書自体が無効になってしまうことがあります。自筆遺言書では、書いた日付、書いた人の氏名、押印が必要です。どれか一つでも欠けると遺言書自体が無効になってしまいます。

加筆や修正を行う際にも決められた方法に乗っ取らなければいけません。また、死後は家庭裁判所による検認が必要です。

訂正する際には、二重線の上に訂正印を押し、何行目の何字を訂正し、何字加入といったように記す必要があります。用紙や筆記用具に決まりはありません。また、遺言書の封印についても自由です。

  • 公正証書遺言の作り方

公正証書遺言は、公証役場で証人2人以上が立ち合いのもとで作成します。遺言を残す本人が口述したものを、公証人が筆記します。こちらの場合、死後家庭裁判所による検認は必要ありません。作成の手順は、まず遺言者の口述を公証人が筆記し、その内容を公証人が遺言者と証人に読み聞かせます。

遺言者と証人それぞれが筆記内容の正確さを認めたら、署名し、押印します。もし、遺言者が病気などを理由に署名できない場合には、公証人がその理由について記せば問題ありません。作成した遺言書は公証役場で保管されるため、改ざんのリスクに備えることもできます。作成の手数料は遺言書に記す財産の価値によって異なります。

  • 秘密証書遺言の作り方

遺言書の内容を公にしたくない場合には、秘密証書遺言を作成できます。この場合、遺言書自体の存在は明かせるため、遺言書の存在を忘れられることはありません。ただし、自筆証書遺言と同じく、死後は家庭裁判所の検認が必須になります。

秘密証書遺言は、必ずしも自筆で作成する必要はなく、ワープロを使うこともできます。ただし、署名だけは自筆でなければいけない点に注意しましょう。さらに、この遺言書には封印が必要になります。遺言書の押印に利用した印鑑を使い、封筒に印を押し封印してください。

作成したら、公証役場にて、2人の証人とともに遺言書を提出します。公証役場で証人とともに署名・押印し、手続きは終了です。

遺言の撤回や変更について

このようにして作成した遺言書は、撤回または変更可能です。それも時期を決めず、いつでも行えます。変更する際、遺言の方式を変えることもできます。もし遺言書が複数存在している場合には、最終的に最も新しい日付のものが優先されるため、万が一複数の遺言書を作成してしまったとしても問題ありません。しかし、相続人が混乱しかねませんので、新しい遺言書を作成した場合には、古い遺言書は破棄するようにしましょう。

遺言書によって自分の死後の争いをなくそう

遺言書の作成はいつでもでき、さらに変更や撤回にも制限はありません。内容や作成方法については気を付ける必要がありますが、弁護士や行政書士に依頼して作成することで、誤った遺言書を残すことはなくなるでしょう。

人間だれしも、いつどこで何が起こるのか分かりません。なるべく早い段階で遺言書を作成し、残された家族が相続争いを起こさないよう対策をとりましょう。

文・J PRIME編集部

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