カルティエ現代美術財団 『横尾忠則:The Artists』展

カルティエ現代美術財団が、六本木の東京ミッドタウン内の21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3にて10月17日まで「横尾忠則:The Artists」展を開催中です。

カルティエ現代美術財団とは

カルティエ現代美術財団は、1984年にジュエラーのカルティエによってパリで創設された財団です。これまで科学、映画、ダンス、デザインなど多様なテーマで美術展を企画するとともに、50ヵ国500人のアーティストによる2,000点以上のコレクションを所蔵しています。

過去には横尾忠則、森村泰昌、荒木経惟、宮島達男、村上隆、森山大道、杉本博司、川内倫子といった14人の日本人アーティストの展覧会を開催しており、フランスをはじめとするヨーロッパの社会に向けて日本のカルチャーやアートシーンを紹介するにあたって、中心的な役割を担ってきました。

日本が誇る世界的アーティストとして

本展の主役である美術家の横尾忠則は、日本を代表するアーティストです。その唯一無二の色使いと、独特の世界観で絶大な人気を誇っています。

横尾は1936年、兵庫県に生まれました。神戸新聞社にてグラフィックデザイナーとして活動後、イラストレーターとして独立し、日本の土俗的なモチーフとポップアート的な感覚をミックスさせた独自の表現で注目を浴びるようになります。

69年にパリ青年ビエンナーレ版画部門大賞を受賞。72年にはニューヨーク近代美術館で個展を開催するほど活躍するも、80年に開催されたピカソ展に衝撃を受けたことから、突如「画家宣言」を発表し、画家・芸術家としてのキャリアをスタートさせました。

2000年代以降は、東京都現代美術館、広島市現代美術館、パリのカルティエ現代美術財団など国内外の美術館で個展を精力的に開催しました。12年には、横尾忠則現代美術館(兵庫県神戸市)、13年には豊島横尾館(香川県豊島)を開館し、作品や資料を多様なテーマで企画展示しています。そのほか、小説の執筆なども手がけ、2008年には第36回泉鏡花文学賞を受賞するなど、マルチに活躍しています。

カルティエ現代美術財団では、2006年にヨーロッパ初となる横尾忠則の展覧会を開催しました。さらに、2011年には、『Mathematics: ABeautiful Elsewhere』展のポスターを横尾に依頼するなど、今や同財団にとって欠くことのできない芸術家のひとりとなっています。

キャンバスを実験的な遊び場に、139点もの肖像画を制作

本展はカルティエ現代美術財団が設立30周年を記念して横尾に依頼したもので、同財団の歴史において重要な石上純也や川内倫子、アニエス・ヴェルダ、蔡國強といったアーティストの他、世界中のアーティストや思想家、批評家、科学者らの肖像画139点が展示されます。

かかった制作期間は3ヵ月で、横尾氏は1日に1〜3作品という驚くべきハイペースで作品を仕上げたとされます。それらはすべて油彩で、33cm×24cmというサイズで統一されています。この限られたフォーマットのなかで、さまざまな表現によって被写体を描き出しました。それぞれの人物の特異性を生かし、キャンバスを実験的な遊び場に変え、ユニークなキャラクターを見事に表現しています。本展では肖像画群を、見る人々を映画的な旅へと誘い、まるで無限の会話の広がりを連想させます。

また、本展のポスターも横尾の制作によるものです。謎めいたポーズをとった自画像を取り囲むように、本展が開催される21_21 DESIGN SIGHTの創立者でもあるデザイナーの三宅一生、サラ・ジー、マーク・ニューソン、ロン・ミュエクらの肖像が背景に描かれています。さらに、横尾の世界がより深く伝わるのが、映像作家である岡本憲昭と制作した映像です。都内にあるアトリエで、カルティエ現代美術財団と自らとの関係や、三宅一生とのつながりなどについて詳細に語っています。

開催中の「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」と合わせて必見

なお横尾氏は同時期に東京都現代美術館にて大規模個展「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」を開催しています(10月17日まで)。本展とあわせて彼の類いまれなる表現世界に浸ってみましょう。

文・J PRIME編集部

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