日本が誇る革靴ブランド三陽山長の魅力
(画像=agcreativelab/stock.adobe.com)

紳士靴として、最近になって広い世代から人気を集め、ファッション評論家などからも高い評価を得ている靴ブランドがあります。「三陽山長(さんようやまちょう)」です。

三陽山長とは?

海外の老舗メーカーにも引けを取らない匠の技術を持つ、と言われる「三陽山長」は、チヨダ靴店(現チヨダ)出身で数多くのブランドを立ち上げた長嶋正樹氏が中心になり、2000年に設立した「山長印靴本舗」を前身としています。その後2001年10月にアパレル企業三陽商会傘下のシューズブランド、三陽山長として再スタートしました。

三陽山長の靴は、欧米の革靴に多く採用されている「グッドイヤー製法」や「ボロネーゼ製法」など多様な製法が取り入れられています。これらの製法を本場以上の技術力で行い、さらには三陽山長の通常ラインよりもワンランク上の「匠ライン」で採用している「フレキシブルグッドイヤー製法」を考案しました。通常のグッドイヤー製法の靴にはない、革靴の履き始めから柔らかくしなやかさを実現しました。

この独自製法に加え、靴のスタイルに応じたさまざまな製法を活用しながら、日本の四季による湿度や暑さ、寒さなども考慮した材料を使い、日本人独特の足の形にフィットする革靴を生み出してきました。これにより、履きやすさと同時にスタイリッシュで、独特の雰囲気を足元に醸し出すと、高く評価されるようになっています。

日本の靴作りのレベル

日本に西洋靴が入ってきたのは明治維新以降で、海外と比較してそれほど長い歴史を持っているわけではありません。そのため昭和、平成を経て令和という時代を迎えても、消費者はやはり、海外ブランドに対するあこがれの方が強くなっているようです。

日本の革靴職人、そしてメーカーは、輸入された西洋靴をリバースエンジニアリングし、日本人に履きやすいものとして仕上げていきました。そうしたなかで、職人が少しずつ育ち、技術が練り上げられていき、いまではグローバルでも高いレベルに達しています。

独自の製法を編み出すなどして、工夫を重ね、高いレベルを持つ紳士靴を市場に出す会社もありますし、海外製の靴修理のレベルも高く、外国人からも高い信頼を得ています。

日本人の足に合うラスト作り

三陽山長では、木型(ラスト)そのものを日本人向けのものを使用しています。ラストは、足の原型サイズを決めるもので、基本的には生産国を基準にしたものが使用されます。

日本人を基準にして作られているため、三陽山長の靴は、足と靴のサイズ、フィット感は最上のできとなっています。日本人男性には、海外製の高級製品を購入したばかりのころ、足の痛みに耐えながら履き続けたという苦い思い出を持つ人も多いようです。そんな人にとって、この履きやすい靴は夢のようなものに映るかもしれません。

三陽山長では「R201」「R2010」「R2013」といった複数種類のラストをベースに製品づくりをしています。R201は凹凸が少なく端正なシルエットが魅力で、「勘三郎」や「友二郎」といったファーストモデルに採用されました。R2010は、現在の三陽山長主要モデルに採用されるラストで、10年間のあいだに獲得した、顧客からの情報を結集しています。より多くの人の足に合うよう甲を低く抑えています。R2013はローファーモデルで採用されており、さらに甲を低く、かかとのフィット感を向上させました。

代表的な三陽山長のモデル

では、代表的な三陽山長のモデルを紹介します。同社のモデル名はすべて、前述の勘三郎のように男性の名前がつけられています。

まず、勘三郎というモデルは、ラストはR2010を使用し、二の甲を低く抑え、アーチとヒールを絞り込んだシルエットが特長です。革の断面を手で縫い合わせるスキンステッチは匠の技が光っています。履きこめば履きこむほどに味が出て、磨けば磨くほどに光沢を発するきめ細やかなインポートレザーを採用しています。

友二郎は三陽山長のマスターピースと言えるモデルで、製法はグッドイヤーウェルテッド製法が使われ、ラストはR2010を採用しています。スワンネックと呼ぶ、ピッチの細かいステッチワークが、上品さを醸し出しています。レザーソール、ラバーソール、Fウィズ、防水、と豊富なバリエーションがあります。

奏之介はつま先のメダリオンに、たて琴を模したアデレイドの曲線が美しいデザインが光ります。しっかりとしたホールド感とスタイリッシュなシルエットが特長のR309というラストを採用しています。日本製のオリジナルラバーソールを採用しグリップ性、耐摩耗性に優れています。

日本製の良さを味わいたい

日本の革靴製作の歴史は、西欧に比べれば短いですが、日本人の職人がもつ優れた技巧、丁寧さは、世界中から定評があります。

三陽山長の前身である山長印靴本舗は、日本人が豊かさを本格的に享受し始めた1990年代に誕生しました。その時代に、豊かになったからこそ、あこがれの海外ブランドに流されるのではなく、高い技術力、技巧性を誇る職人の「自国ブランドを育てたい」という志向が強く表れていたのです。

履きやすさという利便性と、手仕事による美しいフォルムとディテールを併せ持つ三陽山長は、まさに「メード・イン・ジャパン」の良さをとことん味わえる良品だと言えるでしょう。

文・J PRIME編集部

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