なぜユニクロはルメール、ジル・サンダーなどデザイナーとコラボするのか
(画像=OceanProd/stock.adobe.com)

日本を代表するアパレル企業となったユニクロは、リーズナブルさが売りのブランドです。しかし意外にもジル・サンダーやルメール、エンジニアドガーメンツ、アンダーカバー、マメ クロゴウtなど、デザイナーズブランドとのコラボレーションも行ってきました。

今回の記事では、マスブランドであるユニクロが、ニッチなデザイナーズブランドとコラボする理由を推察します。

コラボ流行のファッション業界

ファッション業界では、他の業界と同じくらいか、それ以上にコラボレーションが行われています。今回取り上げているユニクロのように、ファッションブランド同士がコラボすることはもちろん、RAGEBLUEと餃子の王将など異なる業界とのコラボレーションも盛んに行われています。

ユニクロがコラボしたデザイナーたち

ユニクロは、世界中の第一線で活躍するデザイナーとコラボレーションを行い、新しい世界観を表現する商品を生み出す「デザイナーズインビテーションプロジェクト」を2006年から行ってきました。

具体的には、過去に以下のデザイナーとのコラボレーション商品を生み出してきました。

2007年:スリーワン・フィリップ・リム
2008年:アレキサンダー・ワン
2009年:ジル・サンダー
2012年:アンダーカバー
2014年:イネス・ド・ラ・フレサンジュ
2015年:ルメール

上記は一例であり、これ以外にもマメ クロゴウチをはじめとしたそうそうたる一流デザイナーとのコラボレーション商品を展開しています。

各デザイナーズブランドから見えるマーケティング

次に、ユニクロが過去にコラボレーションしてきた各デザイナーズブランドの特徴、およびそこから見えてくるコラボの理由を推察します。

ユニクロがコラボしてきたデザイナーズブランドの特徴

ユニクロが過去にコラボレーションした主要デザイナーズブランドの特徴は以下のとおりです。

ジル・サンダー:本物志向
ルメール:エフォートレス(気取らないスタイル)
エンジニアドガーメンツ:こだわりある大人の男性
マメ クロゴウチ:女性らしさ、エレガントさ

一目でわかるとおり、リーズナブルさや手軽さが特徴のユニクロと比べると、各ブランドともコンセプトが大きく異なっています。そのため、上記のブランドを好んで購入する顧客層は、基本的にユニクロをあまり着ないと考えられます。

ユニクロがデザイナーズブランドとコラボレーションを行う理由

ユニクロが一線で活躍するデザイナーとコラボレーションする理由は、大きく2つあると考えられます。まず1つ目は、新たな顧客層を獲得することです。

前述したとおり、ユニクロとデザイナーズブランドの顧客層は異なっています。そのため、コラボすることで、自社のみで企画・開発した商品を販売するだけでは取り込めない顧客層を獲得できます。

近年日本の人口は減少しており、既存顧客のみを対象としたマーケティングだけでは、今後業績が悪化するおそれがあります。こうした事情を考慮すると、ユニクロのコラボ戦略による新規顧客の獲得は非常に有用な戦略と考えられます。

2つ目の理由は、ブランド力の維持・向上です。近年は顧客ニーズの複雑化や商品のコモディティ化により、ファッションブランドが単体でブランド力を維持することは難しくなっています。

これまで通り商品を販売していると、他社ブランドとの差別化が困難となったり、既存顧客のニーズ変化に対応できなかったりすることで、ブランド力の低下(≒売り上げの減少)を招く可能性があります。

一方で、価値観や顧客層が異なるデザイナーとコラボすれば、既存の商品にはない革新的なデザインのファッションを生み出せる可能性があります。また、有名ブランド同士がコラボすることで、ターゲットとなる顧客層はもちろん、ファッションに疎い層からも注目を集める効果が期待できます。

コラボによる新たな価値観の創出や注目の獲得により、ユニクロ単体で事業を行う場合と比べて、よりブランド力の維持・向上につながると言えるでしょう。

コラボはマーケティングの有用な手法

今回紹介したように、コラボレーションは「新規顧客の獲得」や「ブランド力の向上」などの効果を見込める有用なマーケティング手法です。

ユニクロがファッション領域で圧倒的な業績を生み出している背景には、SPA(製造小売業)のビジネスモデルだけでなく、こうした他社とのコラボ戦略もあると言えるでしょう。

文・J PRIME編集部

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