靴好きをうならせるガジアーノ&ガーリングを知っていますか?
(画像=mihailsemenov/stock.adobe.com)

「ガジアーノ&ガーリング」という靴のブランドをご存じでしょうか。ロンドンと言えば、「ジョン・ロブ」「エドワードグリーン」「チーニー」など、歴史ある世界的に有名なブランドがめじろ押しなのですが、ガジアーノ&ガーリングは中でも創業25年足らずと、比較的新しい靴ブランドです。

ガジアーノ&ガーリングは、イタリア系イギリス人でデザイナーのトニー・ガジアーノと、ロンドンでの指折りのフリーランス靴職人として名をはせてきたディーン・ガーリングによって2006年に設立されました。新興ブランドにもかかわらず、その品質とデザイン的なセンスの良さにより、たちまち紳士靴ファンをとりこにしました。

この記事では、靴メーカーとしてのガジアーノ&ガーリングを紹介すると同時に、その各モデルの魅力に迫ります。

ガジアーノ&ガーリングとは

トニー・ガジアーノとディーン・ガーリングは、どちらも紳士靴業界で輝かしい業績を残してきた人物です。

トニー・ガジアーノは、世界的に有名なシューメーカーたちの集まるノーザンプトンでデザイナーとしての腕を上げてきました。

チーニー・ジェフェリー・ウェストでデザイナーとして名をはせた後は、エドワードグリーンで、ビスポーク部門の責任者としてその手腕を発揮してきました。現在のエドワードグリーンのネームバリューは彼の活躍によるものが大きく、手がけたラストのうち「#82」や「#888」などは傑作といわれています。

一方、ディーン・ガーリングは、ロンドンでも有名なフリーランスの靴職人で、ビスポークシューズを中心としていたシューメーカーのジョン・ロブ、ジョージ・クレバリー、フォスター&サンなどで難しい注文を数多くこなしてきたことで、その腕はレジェンドとしてうわさされるほどの人物です。

モノづくりの現場では、デザイナーと職人がぶつかり合ったという話をよく耳にするものですが、ガジアーノとガーリングに関してはそのようなことはありません。むしろ“史上最高の一足を作る”という理念を共有する2人は、対等の立場で建設的・発展的にコラボレーション作業が行われ、それは世界中どこを探しても見当たらないほどに奇跡的なほどに見事に融合しました。

ガジアーノが提唱するイタリア的な現代性とガーリングが作り上げる英国の質実剛健さが共存しています。わずか数年の間に名だたる老舗ブランドに追いつき追い越すほどの有名ブランドとなったのです。

ガジアーノ&ガーリングシューズの魅力

・ANTIBES(アンティーブス)
「アンティーブス」はガジアーノ&ガーリングの顔ともいえるローファーです。モカ部分の縫い目はなるべく表に出さないよう、革の裏側で縫い込まれるというシャドウステッチで縫い込まれており、職人技が映えています。

見た目の軽快さが長所のローファーですが、ほかのメーカーの多くはマッケイ製法を用いています。ところが、ガジアーノ&ガーリングでは英国の伝統グッドイヤーウェルト製法が用いられています。

グッドイヤーウェルト製法といえば、コバ部分にステッチが現れるものですが、アンティーブスのコバは、ほとんどその存在がわからないほどの水準です。さらに、すべて手作業で作られているために絞り込まれたウエストやフィドルバック、ヒールに一工夫がされているなど、ありふれたローファーとは違うことを見せつけます。

そして、リボンのようにねじれたサドルは、ガジアーノ&ガーリングの証し。ローファーでありながらも徹底した高級感が追求されているのです。

・TATTON(タットン)
タットンは、エラスティックシューズといって、ゴムを織り込んだ伸縮性のある生地を甲から踝(くるぶし)にかけてのトップラインに配しています。コバとゴムが仕込んである場所以外に縫い目はなく、ひもも羽根もない分、革の品質の良さが引き立ちます。ひもがついていないので、脱ぎ履きしやすく、シンプルでスタイリッシュであることもタットンの魅力です。

よほどの良い品質の革でないと成立しない造りと言えます。縫い目の少なさは職人の腕の証です。

・SAVOY (サヴォイ)
チップのラインがスクエアトウのとがったイメージを和らげるダイヤモンドカットは、ガジアーノ&ガーリングの代表的なデザインです。そのダイヤモンドカットに羊の角をイメージしたメダリオンを施したのがサヴォイです。

冒険したデザインなのに奇抜には見えず、上品さを持つのは、ギンビングというギザギザにカットする革端の処理やメダリオンの細かさが秀逸だからこそです。

頑丈なグッドイヤー製法ですが全然武骨な印象を与えないスタイリッシュさは、さすがガジアーノ&ガーリングです。上品で遊び上手な紳士をほうふつとさせるモデルです。

・WESTBURY(ウエストバリー)
靴の内羽根を、たて琴の形にしたアデレードタイプの靴ですが、内羽根は、職人の驚くべき技巧で糸が表面に出ないようにスキンステッチで縫い付けられ、レース模様を表現しています。

イタリアンテイストであろうと英国風であろうと、どんなスーツにも合わせることができるウエストバリーのような飽きの来ないデザインは、ガジアーノ&ガーリングの得意技でしょう。

ビスポークレベルの既成靴

ガジアーノ&ガーリングの工場は、静かなのだそうです。これは機械を使っていない証。時折熟練の職人が魂を込めて革を切る音が、「シャーッ」と響くだけです。

すなわち既成靴もすべて、手づくりだということです。ラストの完成度が高いからこそできるガジアーノ&ガーリングの強みだと言えましょう。造りに一切妥協しない、まるでビスポークのような既成靴こそ、ガジアーノ&ガーリングの本骨頂なのです。

英国紳士靴の新生ガジアーノ&ガーリングの未来は

2006年に創業したガジアーノ&ガーリング。これまでの老舗シューメーカーの良い所だけを組み合わせたスタイルは、老舗シューメーカーのビスポークに手が出なかった層からも熱烈な歓迎を受けました。

伝統的なスタイルを崩さないのに、細かいところが現代的で新しい。素晴らしい素材を使って熟練の職人が作る既成靴は、まるでビスポークのようです。

日本の販売店もこの英国靴の新星を歓迎しているように見えます。今後のガジアーノ&ガーリングの動きに注目です。

文・J PRIME編集部

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