アースポロからリ・コットンソックスまで再生繊維をまとう夏
(画像=HollyHarry/stock.adobe.com)

最近インスタグラムのファッション系アカウントで、「サステナブル」というハッシュタグをよく見かけます。これまでファッション業界では、安価な商品の大量生産、売れ残りの大量廃棄、発展途上国などでの劣悪な労働環境、水質汚染など、多くの課題を抱えてきました。

そこで今、注目されるようになったのが「サステナブル(=持続可能な、維持できる)」です。リサイクル素材で服を作ったり、服をリサイクルしたりといった、環境に配慮したサステナブルな取り組みを行うブランドが増えてきました。

ラルフローレンが表明したサステナブルへの取り組みとは

アメリカの「ラルフ ローレン コーポレーション」では、2025年までに「すべてのバージンポリエステルの使用をリサイクルポリ繊維へ転換する」「海洋や埋め立て地から1億7,000万本のペットボトルを回収・使用することで、主要な生産素材と包装材を100%持続可能なものにする」「水の使用量を20%削減する」「すべてのオフィスや店舗を再生可能電力に転換する」という目標を打ち立てました。

その目標を達成するための取り組みの1つが「アース ポロ」です。ペットボトル由来の再生糸のみを使用したポロシャツで、独自のウオーターレス処理プロセスによって、水を使わずに染色しています。1枚あたりに使用されるペットボトルは約12本。非営利団体のファーストマイルが、タヒチや台湾など低所得地域の起業家と協力して回収しています。

また、高級ブランドとして初めて、「ザ・ローレン ルック」という商品のレンタルサービスを開始しました。定額制で月額125ドル(約1万3,500円)を支払い、バーチャルクローゼットの中から好みのアイテムを4点チョイスします。

すべて返却すると、新たに別の服をレンタルでき、気に入ったものがあればそのまま購入も可能なシステムです。各アイテムにはレンタル品として利用する期間があらかじめ設定されており、利用期間終了後は貧困世帯に衣類などを提供する慈善団体に寄付されることになっています。購入したものの数回しか着ないこともある服の使用期間を延長し、さらに使用後も活用することで、服が長く循環すると考えられます。

リサイクルコットン、リサイクルウールなど、繊維業界の取り組み

サステナブルな動きは日本でも広まっています。その質の高さから、今や日本のみならず世界的にその名が広まった愛媛県の今治タオルです。その老舗メーカーであるコンテックス株式会社では、縫製工場などで不要になった綿・ウールの裁断くずを回収し、色・素材ごとに仕分けています。それらと、ペットボトルからの再生繊維やオーガニックコットンと掛け合わせた糸を使用する「KONTEX RECYCLE」シリーズを展開しています。例えばワッフルタオルの「Re.Brera」は、綿の断裁くずや回収したペットボトル由来のリサイクル糸、オーガニックコットンを使用することで、綿とポリエステルそれぞれの特長をいかしたリネンのような吸水性と速乾性を実現。サステナブルと実用性を兼ね備えたものになっています。

実のところ、サステナブルという動きが広まる前から、日本にはそうした文化がありました。それが愛知県一宮市を中心とした日本最大の繊維産地「尾州」発祥の“毛七(けしち)”です。その名の通り、ウールが70%で、残り30%にナイロンやポリエステルなどを合わせた混紡素材です。

古着のセーターを原料とし、旧式の織機で丁寧に織ることで、一般的なリサイクル素材とは一線を画すものとなっています。誕生のきっかけとなったのは、日本人の「もったいない精神」。尾州が織物産地として名をはせる一方で、どうしても製造のプロセスで生まれる端切れや落ち綿などが増えてしまったことから、それらを再利用しようと考えられました。

安い外国製の製品に押され、一時は衰退していた尾州の毛織物業ですが、サステナブル意識の高まりを追い風に、現地の毛織物卸業・大鹿株式会社の若手社員チームが、自社のリサイクルウールを“毛七”として正式に商標権を取得。国内アパレルメーカーなどから注目を集め、取引高も急上昇しています。

サステナブルはファッション業界の救世主となるのか

ファッション業界が生み出す温室効果ガス排出量は、全世界の排出量の8%を超えていると言われます。そんなファッション業界が不景気に喘ぐ中、サステナブルという言葉に活路を見出そうとしているのは、いささか皮肉な話かもしれません。

しかし、環境破壊にますます関心が高まる中、こういった取り組みはますます広がっていくことでしょう。サステナブルは果たしてファッション業界、そして地球にとっての救世主となるのか、今後の動向が気になるところです。

文・J PRIME編集部

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