世代を超えて愛されるJ.M.ウェストンの定番ローファー
(画像=FlorencePiot/stock.adobe.com)

紳士用革靴ブランドの最高峰といえば、真っ先に挙がってくるのがイギリスの紳士靴ブランド「ジョンロブ」です。日本では幕末の1866年、イギリス王室御用達として創業した長い歴史を持ち、さまざまなVIPの革靴を手掛けてきました。

革靴を愛用する男性であれば、いつかは世界に名だたる逸品をフルオーダーであつらえて履いてみたいもの。今回はそんな憧れのシューズ、ジョンロブの魅力について解説します。

ジョンロブ ブランドヒストリー

王侯貴族のオーダーシューズ時代

イギリス南西部の端、コーンウォールの農家に生まれたジョン・ロブは事故で足を悪くして、農業ができなくなってしまいます。そこで19歳の時、街の靴職人のところへと見習いに出ました。

2年後の1851年、冒険心旺盛なジョンは、ロンドンまで400キロメートルを徒歩で行く旅を決行します。ロンドンで一旗揚げるつもりだったのでしょう。しかし、ロンドンまで来たのに職を得られなかったジョンは、今度は当時ゴールドラッシュに沸き返っていた、オーストラリアに渡りました。

オーストラリアで鉱山労働者の靴を作ったところ、これが評判になりました。彼の靴は仕立てが良く、実用的で丈夫であることはもちろん、かかとが空洞になっており、金塊を隠せるようになっていたからです。

自信をつけたジョンは1862年、第2回ロンドン博覧会に出品。これが国王の目に留まり受注しました。これをきっかけにロンドンに戻ったジョンは1866年、同地に自分の店を持ったのです。

パリに進出エルメス傘下に

当時のジョンロブの店はロンドンのリージェントストリートにあり、ビスポーク(完全注文製品)専門店でした。名声は外国にも轟き、3年後の1869年にはパリに1号店を構えます。盤石な評判を得たジョンロブは、その後も安定経営を続けました。

その経営基盤も100年後に陰りを見せます。創業以来、顧客は特権階級のみというビスポーク専門で通してきたジョンロブですが、時代の流れにはついていけなかったのでしょう。1976年パリ店、通称“パリ・ロブ”は経営危機に陥りました。

閉鎖寸前だった“パリ・ロブ”の技術力に目を付けたのがエルメスです。パリ支店そのものと商標権を買い取ります。こうして、パリ支店だけがエルメスの傘下に入り、それから、既成靴も生産するようになったのです。

既製靴の取り扱いから世界へ

エルメスは、ジョンロブが素晴らしい技術を持っているにもかかわらず、特権階級の顧客向けにしか靴を作ってこなかったことを知っていました。そのためジョンロブの靴を欲しがる人が、世界中にたくさんいることを理解していたのです。

1981年、エルメス傘下のジョンロブはレディメード(既成靴)のラインを稼働させ、1982年には「ジョンロブ」ブランドで既成靴の取り扱いを開始しました。イギリスの片田舎から出てきた、一人の意気盛んな見習い靴職人による勇気ある行動は、高級既成靴の最高級ブランドの誕生へとつながっていったのです。

これが現在の最高級ブランド「ジョンロブ・パリ」です。

既製靴の王様ジョンロブの優れている点

老舗英国ブランドの型にはまらないファッション性

英国伝統の靴というと、機能性を追求した道具としての靴です。時代が変化しても、品質を落とさず、不変の価値を持つのが特徴です。

頑固な職人かたぎの伝統は、時代とともに移ろうファッションとは、一見無縁のもののように見えますが、ジョンロブの場合、ラスト(木型)を工夫して時代に合ったファッション性を追求してきています。

例えば、「7000」というラストは細身でやや鼻先が長く、細身のスーツが流行しても合わせやすくなっています。

ジョンロブは、パリで鍛えられたスマートなファッションセンスと英国の質実剛健な伝統が見事に融合されています。

最高峰の素材「フルグレインレザー」と熟練の職人たちの技術力

ジョンロブの靴の多くには「フルグレインレザー」が使われています。フルグレインレザーとは、動物の体毛を取り除いた革の表面から、スエードと呼ばれる柔らかい部分の境目までを使った最高級とされる皮革です。

耐久性を持たせ、柔らかくなじみやすい靴を作るために最適の素材です。虫刺されの跡や傷の有無を日光の下で入念にチェックし、選び抜いたこの皮を、一足に一枚贅沢に使用します。熟練の職人が190以上の工程を50時間かけて作るのです。

最上級ラインである「プレステージライン」はビスポークの雰囲気

既成靴を作るようになって世界に広がったジョンロブですが、ビスポークの雰囲気を残す既成靴モデルも用意しています。それが、最上級ラインの「プレステージライン」です。

ビスポークの靴は、多くの場合かかと部分の縫い目がありません。後ろ姿が引き締まって見えるというメリットがありますが、プレステージラインはこれを既成靴で実現しました。かかとに縫い目のない靴を作るには、一枚皮でかかとのカーブを成形しなければならないため、極めて高い技術を必要とします。

また、ソールのかかと部分だけが黒く塗られ、つま先部分までが塗られていないという「半カラス」仕上げになっています。これも、ビスポークの仕様に沿っており、プレステージラインのこだわりです。

ジョンロブ代表定番シューズ3選

ここで、ジョンロブの名品シューズを3つ紹介しましょう。

・CITYII
革靴において最もフォーマルなのが、ストレートチップです。つま先部分に横一直線の切り換えを施しているデザインです。ジョンロブのストレートチップがこのCITYIIです。変わらないデザインなのに、古くささを感じさせないシルエットに、ジョンロブの底力が見て取れます。結婚式や授賞式などのフォーマルな場や大切なビジネスシーンにも、自信を持って合わせられるドレスシューズです。ビジネスマンの必需品といえるストレートチップこそ、最上級の一足を用意しておきたいところです。

・Philip II
前述した最上級プレステージラインの1つであるPhilip IIは、CITYIIのようなストレートチップでは物足りないといった方におすすめです。美しいプロポーションに繊細なパーフォレーション(穴の空いた装飾)がアクセントとなり、フォーマルの場には不向きですが、普段のビジネスシーンではエレガントに足元を演出できます。

一枚革を贅沢に使用したシームレスバックや、半カラス仕上げのソールは、高級靴の中でも最上級の証です。プレステージラインならではの大切にしたいドレスシューズです。

・William
Williamは1940年代に考案された、ひもを用いないダブルバックルのスタイルです。シャープなシルエットが特徴のジョンロブのモデルの中で、Williamはほどよいボリューム感が特徴です。ダブルソールが機能性と耐久性はもちろん、デザインに重厚さを与えています。バックルは美しさと強度を兼ね備えたパラジウム仕上げで、半永久的に変色せず、白く輝き続けます。

ひものシューズが多い中、1940年代のデザインを踏襲しながらも機能的で丈夫なWilliamは、オンオフ関係なくアクティブに使えることからも、永年支持されているモデルです。丈夫さや機能性を重視する方にはおすすめのシューズです。

間違いない革靴選びならジョンロブ

ジョンロブは、始まりが情熱あふれる創業者によるものであっただけに、魂がこもっています。しかも、履く人のことが考え抜かれており、機能的で丈夫なものばかりです。

フォーマル、ビジネス、カジュアルなど用途ごとに何足か用意しておけば、所有する楽しみに加えて、ステイタスやファッション性を得られる満足できる買い物となることでしょう。間違いのない革靴を選ぶならジョンロブがおすすめです。

文・J PRIME編集部

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