イカスミリゾット&イカのカルピオーネ

本当のラグジュアリーな食事とは何だろう。 四季折々に旬の食材がとれる日本において、その時に一番美味しいものを食す。それを、自分の手で料理して、大切な人に食べてもらう。食材にこだわり、道具にこだわり、みんなを楽しい気持ちにさせる飯。毎日じゃなく週末だからできる、ちょっとわがままかもしれない“ラグメシ”。 vol.15は、イカのさばき方をマスターしたい!と言うタロアウトさんのリクエストに応え、イカの下ごしらえを徹底解説。さばきたてのイカを使い、日本米で美味しく簡単に作れるイカスミのリゾットと、イタリア版南蛮漬けことカルピオーネを作ります。 こだわりのTOOL情報や、タロアウトによるDL可能なレシピPDFもあります。

1. イカスミのリゾット
2. イカのカルピオーネ

イカの下ごしらえは、コツさえわかれば意外と簡単!

YOSHIKI & TAROUT


YOSHIKI(以下Y)今回は、タロアウトさんのリクエストによるイカ料理です。イカを選んだ理由は?
TAROUT(以下T)イカが大好きなので、自分でさばけたらいいなと。新鮮なイカを使って、ちょっとグレードの高い料理を作れるようになりたい!と思い提案しました。
Y 実は、イカの構造はとってもシンプルで、魚より簡単にさばけるんです。すぐにコツをつかめますよ。
T 三枚におろすとか、包丁のテクニックがいらないんですよね。今まで苦手意識を抱いていたのが、もったいなく感じます。

YOSHIKI & TAROUT


Y そうなんですよ。さばいたイカでぜひ挑戦してほしいのが、一品目のイカスミのリゾット。取り出したイカスミはもちろん、刺身用の新鮮なイカなら、ワタを包丁でペースト状にたたいて混ぜ入れても美味しいですよ。
T 自分で取り出したイカスミを使うなんて、ワクワクします。
Y ただしイカは種類によって、スミの量にバラつきがあります。スーパーや市場で手に入りやすいヤリイカやアオリイカは、一杯からとれるスミの量はわずか。大量のイカが必要になるため、市販のイカスミペーストで補いましょう。
T なるほど。イカスミペーストがあれば、たとえ自分でさばかなくても下ごしらえが済んだイカを使って、手軽にイカスミリゾットが作れるということですね。
Y その通りです! vol.4のアクアパッツァの回でリゾットを作ったのを覚えていますか?
T はい。美味しかったなぁ。
Y 要はあの時のリゾットの応用です。アクアパッツァを作ってできたスープがイカスミソースに代わっただけ。つまり、このリゾットの基本レシピを覚えておけば、さまざまなソースを使ってアレンジが可能ということです。

YOSHIKI & TAROUT


T トマトソースとかチーズとか!
Y ぜひ試してみてください。ちなみにリゾットは、お米の品種にこだわるとより失敗しにくくなりますよ。
T なぜですか?
Y 日本のお米は全般的に海外のものと比べて水分量が多く、粘りが出やすいんです。だから中でも比較的水分量が少なく、粘度が低い品種を選んでください。そのほうがお米の形が崩れず、より本格的な味わいに仕上がりますよ。おすすめは、ササニシキやヒノヒカリなど。ただし新米は、どの品種でも水分量が多いため、さらりとしたリゾットにしたい場合は避けましょう。
T なるほど。
Y リゾットのお供にぴったりなのが、二品目のイカのカルピオーネです。
T カルピオーネ? 初めて聞きました。
Y カルピオーネは本来、北イタリアで好んで食べられていた小魚の名前。油で揚げて、野菜と一緒にビネガーに漬ける調理法が主流だったことから、魚の名前がそのまま料理名になったようです。カルピオーネ以外にも、アジやイワシなどで作るのが定番ですが、今回はイカでアレンジしました!
T 南蛮漬けと似ていますね。
Y まさに、その通り。いわゆる南蛮漬けとの大きな違いは、ドライフルーツとナッツを入れることくらいです。ビネガーと白ワインのさっぱりとした酸味に砂糖を加えると、甘ったるくなってしまう。代わりにドライフルーツを使うことで、酸味と甘みのバランスが良くなるんです。今回はプルーンを使いましたが、レーズンやアプリコット、ピーチなど、お好みのものでOK。コクと食感が豊かになるナッツは、カシューナッツのほか、アーモンドやピスタチオを使っても美味しいですよ。

YOSHIKI & TAROUT


T 美味しそうですが、イカを揚げるのが少々面倒ですね…。
Y 揚げ物の手間を省けるのが、炒め物よりも多めの油を使った“揚げ焼き”。揚げるよりも簡単で、油を処理する面倒もありません。
T それはお手軽!
Y あとは野菜とともに容器に詰めて、冷蔵庫で冷やすだけです。

YOSHIKI & TAROUT


T これからの暑い季節にぴったりですね。
Y タロアウトさんの大好きなイカづくしメニュー、いかがでしたか?
T 自分で食材をさばき、料理した達成感で、胸がいっぱいです。
Y 学び、楽しみ、美味しく味わう。これぞ、最高のラグジュアリーですね!
T さすが、“イカ”したこと言いますね!(笑)

1. イカスミのリゾット

イカスミのリゾット


【材料/2名分】
◆イカスミソース◆
イカ       1杯(200~250g)
タマネギ     50g(1/4個)
ニンニク     小1/2片
唐辛子      1/2本
オリーブオイル  大さじ1
A
アンチョビ    1尾
白ワイン     大さじ2
トマトピュレ   大さじ2
イカスミ     1杯分
イカスミペースト 1袋

◆リゾット◆
米       150g(1カップ)
オリーブオイル 大さじ2
湯       約400ml
塩       小さじ1/4


【イカの下ごしらえ】

イカスミのリゾット
<イカをさばいて分ける主な部位>左奥から、ゲソ(足)と頭。その上に付いている黄色がかった部分がワタ(肝)で、イカスミが入ったスミ袋もここに張り付いてる。ほぼ三角形のものがエンペラ(耳)。透明の棒状のものが軟骨(中骨)。手前の筒状のものが胴。


イカスミのリゾット
まずは胴とゲソを引き離す。胴の内側に指を入れ、軟骨に沿ってくっついているワタの部分を、やさしくはがす。


イカスミのリゾット
ゲソを握って、胴からワタごと引き出す。再度胴に指を入れ、軟骨がくっついている部分をはがし、ワタと同様に取り出す。


イカスミのリゾット
目のすぐ上あたりに包丁を入れ、ワタを頭から切り離す。ワタに付いている“スミ袋”を指でそっとつまんで、破れないようにゆっくりとはがし取る。目玉は指で取り外す。


イカスミのリゾット
ゲソを逆さにしてぐっと開くと、付け根にクチバシがあるので、付け根の裏から指でクチバシを押し出し、指で引きちぎる。ゲソの吸盤は指でしごき落とす。エンペラは指で胴から胴から引き離す。胴部分の皮は、キッチンペーパーでこすってはがす。


【作り方】
1 イカスミソースを作る。イカは下ごしらえをし、ゲソはみじん切り、胴は輪切りにして分けておく。
2 タマネギとニンニクをみじん切りにする。唐辛子は種を取り、2mm幅の輪切りにする。
3 2とオリーブオイルをフライパンに入れ、タマネギがしんなりするまで中火で加熱する。
4 3にみじん切りしたゲソとAを加え、中火で1分ほど加熱したら、イカスミソースの完成。
5 別のフライパンに水と輪切りにしたイカの胴を入れて、中火で加熱する。イカの身がピンクと白の中間くらいの色になったらザルにあげる。※白くなるまで完全に火入れすると身が硬くなるため、“温まっているが柔らかい”程度に。

イカスミのリゾット


6 リゾットを作る。フライパンに米とオリーブオイルを入れ、中火で加熱する。


イカスミのリゾット


7 オイルがさらりとして米全体に行き渡ったら、湯と塩を加えてフタをする。中火で加熱し、沸騰したらごく弱火にして約15分加熱する。
8 米が好みよりも少し硬い程度になったらフタを外し、ヘラで引いた線が保たれる程度のとろみの状態になるまで中火で煮詰める。※フライパンを傾けても動かないくらい濃度がついてしまった場合は、少量の湯を加える。


イカスミのリゾット


9 ヘラで引いた線が保たれる程度のとろみの状態になったら、イカスミソースを加えて混ぜ合わせる。皿に盛り、下茹でしたイカの胴の輪切りをのせる。


イカスミのリゾット


【POINT:ゲソと胴を分けて調理することで、食感と風味を最大限に生かす】


イカスミのリゾット
イカの胴は熱を通しすぎると硬くなってしまうので、しっかり炒めるイカスミソースにはゲソの部分のみを使い、胴はさっと茹でて仕上げに盛り付ける。「部位ごとに使い分けることで、イカの食感と風味を存分に楽しめます」(藤田さん)


2. イカのカルピオーネ


イカのカルピオーネ


【材料/4名分】
イカ       1杯(胴のみ、約200〜250g)
小麦粉      大さじ1
オリーブオイル  約100g
ニンジン     100g(約1/2本)
タマネギ     100g(約1/2個)
ニンニク     1片
オリーブオイル  大さじ2
A
白ワイン     50g
白ワインビネガー 50g
ドライフルーツ  20g(今回はプルーンを使用)
好みのナッツ   20g(今回はカシューナッツを使用)
唐辛子      1/2本
塩        小さじ1


【作り方】
1 タマネギは薄くスライスする。ニンニクは皮をむき、包丁の腹で潰す。ニンジンは千切りにする。
2 イカは下ごしらえをし、胴を一口大の輪切りにする。キッチンペーパーで水気をよく拭き取り、全体に小麦粉をまぶす。
3 フライパンに2を入れ、オリーブオイルを注ぎ入れる。中火で約5分ほど揚げ焼きし、小麦粉が固まりほんのり色づいたら、網の上に取り出す。
4 フライパンに1とオリーブオイルを入れ、ニンジンがしんなりするまで中火で炒める。
5 4にAを加え、水分が半量程度になるまで中火で煮詰める。
6 耐熱容器に3を入れ、上から5をかける。冷めたら冷蔵庫に入れて2時間以上冷やし、味をしみ込ませる。


【POINT:揚げ焼きで、揚げる手間を軽減】

イカのカルピオーネ


イカのカルピオーネ
魚を使ったカルピオーネは油で揚げるのが通常。「火の通りやすいイカは、小麦粉をまぶしてちょっと多めの油でさっと焼くだけでOK。ただし水分が多いので、油ハネにはご注意を」(藤田さん)


【今月のこだわりTOOL1:『ZADES』のイカスミ ペースト】

『ZADES』のイカスミ ペースト


「市場やスーパーで手に入りやすいヤリイカやアオリイカはスミ袋が小さく、リゾットを作るのに十分なイカスミをとるには約4〜5杯が必要。なので、足りない分を市販のイカスミペーストで補うのがおすすめです。僕のお気に入りはスペインのブランド『ZADES』のもの。塩以外の余計な味付けがされていなく、イカスミそのものの風味がストレートに味わえるんです。瓶詰もありますが、長期保存が可能なパウチが断然おすすめ。ひとつのパウチでリゾット2名分という、使い切りサイズも便利です」(藤田さん)


【今月のこだわりTOOL2:『ニトリ』の油はね防止ネット】

『ニトリ』の油はね防止ネット


「ソース作りや揚げものに大活躍の“オイルスクリーン”。網目の細かいステンレス製ネットが張られており、その名の通り油はねはもちろん、ソースなどもブロックしてくれます。ただし湯気はしっかり逃すので、通常のフタのように水滴が落ちて油がはねる心配がなく、ソースが水っぽくなることもない。買って損はない!と断言できます。購入する際に気をつけたいのが、サイズ選び。フライパンに対して大きすぎるものを使うと縁が焦げてしまうため、ジャストサイズがおすすめです」(藤田さん)


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イカスミのリゾット
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イカのカルピオーネ
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ラグメシ
藤田承紀 / FUJITA YOSHIKI
(プロフィール)
料理家。イタリアでの修業後、日本で野菜作りをしながら活動を開始。料理教室、ケータリング、飲食店立ち上げ、雑誌やテレビ出演等多岐にわたって活躍。王道のイタリアンから、アレルギーやヴィーガン対応の旬の野菜を使ったイタリアンも提案。日本では2020年に初めて開催された料理コンテスト「ベジタリアンチャンス ジャパン第1回」にて〈サスティナビリティ賞〉を受賞した。書籍は『野菜のスープ』(主婦と生活社)、『野菜のチップス・果実のチップス』(文化出版局)。http://fujitayoshiki.com/
ラグメシ
タロアウト / TAROUT
(プロフィール)
キャラクターアーティスト。ひとつひとつに愛情あふれるストーリーを設定して誕生させる作品が、国内外から絶大な支持を集める。これまでディオールやフェンディ、ポール・スミス、ナイキなど、名だたるブランドとコラボレート。また、現在『VOGUE GIRL』で大人気連載中の「しいたけ占い」のキャラクターデザインを担当。運動を始めてから健康を意識する中で料理に目覚め、藤田氏とフード&デザインユニット「LUNNY’S VEGGIE」を結成。2017年、「未来の笑顔をシェアする」をコンセプトに活動をスタート。

題字デザイン/タロアウト 撮影/野頭尚子 文/中西彩乃 企画編集/横山直美(cat)


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