ZURRIOLA(スリオラ)


海と山を有する豊かな自然、上質な素材をシンプルにいただく調理法。食材が生まれる環境や料理の方向性において、意外なほど日本との共通点が多いのがスペイン料理だ。ふたつの国の魅力を探りながら独自の料理を追求する銀座の「ZURRIOLA(スリオラ)」は、日本を代表するモダンスパニッシュレストランのひとつ。バラエティ豊かな食材を目と舌で味わい、“美味しい幸せ”を享受できる食空間をご紹介します。

「60歳でも作っていたい」と魅了されたスペイン料理

「スリオラ」のオーナーシェフは本多誠一さん。1998年に渡仏し、フランスやスイスで修行を積むさなか、旅行で訪れたスペインに魅了された。
「訪れたのはスペインのバスク地方です。当時は『エル・ブジ』が“世界のベストレストラン50”で一位を獲得するなど、ガストロミーの世界でスペイン料理が大きな注目を浴びていました。ですがそれ以上にスペインがすごいと思ったのは、街なかにある普通のお店まで、素材が上質でとても美味しいこと。最初は1年くらいと軽い気持ちでスペインに渡ったのですが、日々充実していて、気づけは4年を過ごしていました」

計9年の海外修行から戻った後は「日本料理 龍吟」に在籍、続いて「レストラン サンパウ」ではスーシェフを務めた。2011年に独立してオープンした「スリオラ」は、『ミシュランガイド 東京 2021』で2つ星、『ゴ・エ・ミヨ 2021』で3トックを獲得するなど高い評価を受けている。
「自分の店を持つにあたり、料理人としてのこれからを考えました。『60歳でどうしていたいか』と自問した時、スペイン料理を作っていたいと思ったんです。とはいえフランスやスイスでの経験だって幻ではないですし、自然に出てくる技や感覚もあります。これまで培ったものを発展させながら、日本の食材を活かした自分の料理をお出しできればと心がけています」

ZURRIOLA(スリオラ)
「3種のタパス」。奥から時計回りに、肉厚のホタテをビネガーとオリーブオイルのソースで和えた“ホタテのエスカペチェ”、“タコが入ったサルモネホ(トマトの冷製スープ)”、下にキノコの風味をつけたオブラートとゼリーで固めたハーブのソースを敷いた“イワシのモホソース”。


「スリオラ」で提供されるのは、モダンスパニッシュらしい華やいだ雰囲気を持ちながら、素材の美味しさをストレートに味わえる料理。例えば序盤の「3種のタパス」は、それぞれが独立した器に盛られ、イワシがクリアなキューブにのせられるなどモダンな演出が印象的。それでいて「どうぞイワシは手で召し上がってください」というカジュアルさも嬉しい。半身のイワシや大きめにカットされたホタテなど、海の幸をふんだんに使った3品はどれも満足度十分で、次の料理への期待が高まる。

スペインとバスクへ思いを馳せた、ふたつのスペシャリテ

「ホワイトアスパラとペドロヒネメス香るフォアグラ」は、アスパラガスの白、ソースの緑、オリーブオイルとエディブルフラワーの黄色が目にもみずみずしいひと皿。実はソースの下にはアスパラガスと並ぶもうひとつの主役、なめらかなフォアグラのペーストが潜んでいる。まずはアスパラガスとソース、次はフォアグラとソース、そしてすべてを一緒にと食べ進めるほどに味わいが変化。なお料理名にあるペドロヒネメスとは、スペインで好まれるシェリー酒の原料にもなる糖度の高いブドウ。このペドロヒネメスのビネガーとフォアグラのペーストを合わせるのは「スリオラ」のスペシャリテのひとつで、時季により異なるアレンジで提供される。

ZURRIOLA(スリオラ)
「ホワイトアスパラとペドロヒネメス香るフォアグラ」。緑のソースはアスパラガスの茹で汁にナッツとハーブを加えたもの。濃厚なフォアグラのペーストに爽やかなコントラストを添える。


こちらと並ぶスペシャリテが「軽く燻したキャビアのラビオリ」だ。目を引くのはぶどうの木で燻した香りが食欲をそそる、たっぷりのキャビア。I一緒に盛り付けられたチーズソース入りのラビオリは薄切りの大根で包まれていて、ほんのり和のテイストも感じられる。 「キャビアを“きちんと料理して”お出ししたいと考えた一品で、燻すというバスクの伝統的な手法を取り入れています。まずはキャビアをそのまま召し上がっていただき、その後にラビオリや大根と合わせて味の変化を楽しんでいただければ」

ZURRIOLA(スリオラ)
「軽く燻したキャビアのラビオリ」。運ばれてきた時の香りにも気分が上がるひと皿。ラビオリの上にカイワレと共にのせられているのはウナギで、味わいのアクセントに。


「これだけは」の旨みあふれるイベリコ豚を味わい尽くす

できるだけ日本の食材で美味しいスペイン料理を作ることができたらと話す本多さんだが、唯一スペイン産にこだわるものがある。それはイベリコ豚。 「肉の味わい、脂の独特の香りとうまみ。日本にも美味しい豚はたくさんありますが、イベリコ豚は唯一無二だと思っています」 そのイベリコ豚を堪能できるのが「イベリコ豚プレサのアサード」だ。アサードとはスペイン語で“焼く”という意味で、厚切りの肉をこんがりとローストしている。口に入れると適度な弾力がありつつも、柔らかくジューシー。骨からだしを取ったソースでうまみがさらに増し、“肉を食す”高揚感をストレートに感じられる。

ZURRIOLA(スリオラ)
「イベリコ豚プレサのアサード」プレサは肩ロースの一部で、霜降り状の肉質が特徴。白っぽいソースは桜の葉の塩漬けで風味づけしている。付け合わせは桜の葉のチップス、その下にはパンチェッタとキャベツの蒸し煮が。


コースはランチ・ディナーとも、ボリュームなどで選べる2〜3種を用意。どの料理も、口にして「美味しい!」と感じる輪郭のはっきりした味わいがありつつ、細やかで惜しみない手間がかけられているのがうかがえる。 「2021年は10周年となる節目の年。昨年からのコロナ禍は思わぬ事態ですが、料理の世界に限らず、必要なものが残り、そうでないものは淘汰され、今後は大きな変化が起こっていくのではと感じます。私自身は、これまでを振り返り、たくさんの料理を考えるいい機会となったと前向きにとらえながら、より自分らしいスペイン料理を追求していきたいですね」

ZURRIOLA(スリオラ)
店内は写真のカウンター10席をはじめ、ダイニング12席、4人まで利用可能な個室が2室。本多シェフを間近で見られるカウンター席は常連客に人気。


本多誠一シェフ
本多誠一シェフ。昨年は鉄板焼きに特化した初の姉妹店「プランチャスリオラ」を虎ノ門ヒルズにオープン。「2店を通して、これまで以上にスペイン料理の幅広い美味しさを伝えたいと考えています」



【ショップインフォメーション】
「ZURRIOLA(スリオラ)」
東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル4階
☏ 03-3289-5331
営業時間
Lunch : 平日11:30∼13:00(L.O)、土日祝11:30∼13:30(L.O)
Dinner : 18:00∼23:00(20:00L.O)

Lunch
10,780円、20,350円
Dinner
20,350円、21,780円、27,500円
*消費税・サービス料込

休 月曜日

http://zurriola.jp/

撮影/松村隆史 構成・文/末元妙実 企画編集/横山直美(cat)

※新型コロナウイルス感染症対策として、ソーシャルディスタンスへの取り組み、換気、各所の清掃・除菌、営業中のマスク着用などを徹底。
※緊急事態宣言等の状況により営業時間等が変更される場合があります。最新の情報はレストランのホームページ等でご確認ください。

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