文化庁の「Art Platform Japan」が目指す、日本の現代アートマーケットの未来図
(画像=Alena/stock.adobe.com)

文化庁は、現代アートをサポートするプロジェクトとして「アートプラットフォーム事業」を始動しました。今回の記事では、その事業の一環として2021年3月に公開された「Art Platform Japan」というウェブサービスについて解説します。

ウェブサイト「Art Platform Japan」とは

Art Platform Japanは、文化庁が行う「文化庁アートプラットフォーム事業」の一環として、日本の現代アートに関する情報を国内外に広く発信するために立ち上げられたウェブサイトです。

具体的にArt Platform Japanでは、以下3つのコンテンツを軸に日本語と英語で情報発信が行われます。

・全国の美術館・博物館の収蔵品データを集約したデータベース(SHŪZŌ)
・戦後美術を対象とした国内の単行本や評論、カタログ寄稿文などの英訳文献
・過去に開催された国際的なワークショップやシンポジウムなどに関するアーカイヴ記事

コンテンツの発信を通じて、海外の専門家から頻繁に指摘されている「日本のアートに関する情報にアクセスすることが難しく,知りたくても手がかりがない」という状況を改善する狙いがあります。

国内外における日本の現代アートの評価向上が期待されている

文化庁アートプラットフォーム事業では、Art Platform Japan以外にも下記の取り組みを行います。

・文化庁現代アートワークショップの開催
・全国の美術館に収蔵されている作品情報に横断的にアクセスできるデータベースの構築
・日本の現代アートの国際的な評価を高めるために必要な調査研究の実施
・国際シンポジウムの開催

こうした取り組みは、日本における現代アートの取り組みを英語で発信することで、国際的な評価を高める目的で実施されます。現在、世界的に活躍している日本人現代美術家の多くは、海外で活動し作品が海外で評価され、日本に逆輸入される形で価値が上がってきました。

現在に至るまで日本の現代アート分野では、積極的に投資を行い、たくさんの作品を生み出すという土壌づくりが行われてきませんでした。国際的に評価される作品を生み出すには、投資と作品の創出が活発に行われる土壌が不可欠です。

Art Platform Japanを初めとする文化庁アートプラットフォーム事業は、現代アートの土壌を整え、国内外で評価されるアーティストを育てることにつながるのです。

⽂化庁が考えるその他のアート振興策

文化庁を主体として、国は積極的にアート振興策を考案・実行しています。

例えば2021年4月から始まった新たな税制優遇では、価値の高い文化財を持っている個人が、美術館に作品を長期寄託することで、相続税の8割を猶予することができます。

なおアメリカでは、所有する作品を美術館に寄贈することで、作品の時価で税金が免除される優遇制度があります。今後日本でも、アメリカのように現代アートの資産価値を高めたり、美術館への寄贈を促す制度作りが加速したりすることが期待されます。

また、現時点では実施されていないものの、企業による現代アートへの投資活動が文化に還元されるサイクルの検討も進められています。

既に海外では、「公共建築にかかる費用の1%を、その建築物に関連する芸術・アートに支出する制度」が法制化されているなど、現代アートや芸術に対する取り組みが実施されています。

今後日本でも、国内アーティストの評価を上げる施策の一環として、こうした取り組みや法制度の創設が進むでしょう。

“Art Platform Japan”は国内アート市場の活性化を担うツールとなる

文化庁によるアートプラットフォーム事業などの取り組みにより、今後は日本の現代アートに対する世界的な評価が高くなることが期待されています。海外で評価されることで国内における現代アートの市場は盛り上がり、長期的に若いアーティストを育てる土壌が整うでしょう。

また、税制優遇の制度が拡充されることで個人や企業による現代アートへの投資・所有はますます増加すると考えられます。

3月に公開された Art Platform Japanは、国内アート市場の活性化に不可欠な「国内外に向けた情報発信」を担うツールとなるのではないでしょうか。

文・J PRIME編集部

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