米国株式市場で猛威を振るう「ロビンフッダー」。日本への影響は?
(画像=ipopba/stock.adobe.com)

米国株式市場で起きたゲームストップ株の乱高下で一躍話題になったのがロビンフッダーです。彼らはどのようなスタンスで株式投資に取り組んでいるのでしょうか。日本市場への影響とあわせて考察します。

目次

  1. ロビンフッダーとは何者か
  2. 若者を熱狂させた「ロビンフッド」ってどんなアプリ?
    1. どこで提供されているアプリ?
    2. いつ始まった?
    3. ロビンフッドでできること
    4. なぜ若者が熱狂しているのか
  3. 米ゲームストップ株の取引で起きた個人投資家の乱
  4. 日本市場にどんな影響があるか
    1. 現在の影響
    2. 日本で類似アプリが登場したらどんな影響がありそうか
  5. 個人投資家の動向に引き続き注視したい

ロビンフッダーとは何者か

ロビンフッダーとは売買手数料無料のロビンフッド証券などを使って短期売買を繰り返す個人投資家のことを総称する言葉です。素人投資家が増えたきっかけは2020年から感染が拡大した新型コロナウィルスによるとみられています。巣ごもりを余儀なくされた人が米国政府から支給された給付金やコンサートなどの娯楽に行けなくなったお金などを利用して、ゲーム感覚で株取引を始めたというのが理由と考えられます。彼らがおもに使っている株式投資アプリが「ロビンフッド」という名前であることからロビンフッダーと呼ばれるようになりました。

若者を熱狂させた「ロビンフッド」ってどんなアプリ?

ではロビンフッダーが株式取引に利用している「ロビンフッド」とはどんなアプリでしょうか。基本情報を押さえていきましょう。

どこで提供されているアプリ?

アプリを提供しているのは、未上場(2021年4月22日時点)のネット証券大手ロビンフッドマーケッツです。2013年に設立され、証券取引手数料なしで売買できることを最大の特徴にしています。個人投資家の人気を集め、2019年にはユニコーン(企業評価額が10億ドル超で未上場の新興企業)に成長しました。ユーザー数は1,300万人で、2000年代に成人または社会人になったミレニアル世代を顧客ターゲットにしています。

いつ始まった?

アプリが登場したのは2015年です。正式公開する2015年以前は限定されたユーザーのみに登録が許可されていました。既存の証券会社と異なり、「ロビンフッド」には最低取引単位がなく、売買手数料も無料という画期的なシステムが人気を呼び、公開とともにユーザーを増やしていきました。アマゾン・ドット・コムのような高株価の銘柄も1株未満で手軽に投資することができます。

ロビンフッドでできること

「ロビンフッド」の魅力は簡単な操作で短時間に取引できることです。個別銘柄ページにアクセスして、「Trade」ボタンから「Sell」または「Buy」をタップして株数を入力。現在の株価から売買金額が計算されるので、確認画面をチェックして買付または売却が完了します。株式のほかにETF(上場投資信託)やオプション、暗号通貨(仮想通貨)を取引することも可能です。

「ロビンフッド」には日本の証券会社が提供しているような多彩なトレーディング機能はなく、シンプルな取引画面のみで、それが逆に若者に受け入れられた要因になったようです。

なぜ若者が熱狂しているのか

アプリの特長として優れているのは、若者が使い慣れているSNSやモバイルゲームのようなユーザーインターフェースを備えている点です。新たな情報が入るとモバイルアプリが通知してくれるため、アプリを開く回数が多くなる人もいるといいます。必然的に取引回数も増えるという仕組みになります。

また、取引画面がシンプルなのも特徴です。ほかの証券アプリと比較して表示されている情報量が必要最小限で、使いやすいこともユーザーを増やしたポイントと考えられます。もう1つは、手数料無料のサービスが若者にまで投資の裾野を広げたことです。売買手数料ゼロで瞬時に取引を行える手軽さが20~30歳代の若者を惹きつけているものと思われます。

日本経済新聞の記事によると、ロビンフッダーが買っている銘柄は米国5大IT企業GAFAM(グーグルの親会社アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)や電気自動車のテスラ、動画配信のネットフリックスなどの大型ハイテク株に集中しています。ロビンフッダーの買いがコロナ・ショックからの立ち直りが早くなった要因の1つとみられますが、市場ではロビンフッダーの規模が大きくなり過ぎたことで市場に若干のゆがみが生じていると分析しています。

米ゲームストップ株の取引で起きた個人投資家の乱

ロビンフッダーの存在が一躍クローズアップされたのが、米国株式市場で起こったゲームストップ株の乱高下です。「個人投資家の乱」と呼ばれニュース番組でも報道されました。ロビンフッダーがSNS「レディット」で声をかけあって、ヘッジファンドが空売りを積み上げていたゲームストップ株に一斉に「買い」を入れたのです。ヘッジファンドは赤字予想に対して株価が割高だったため、下落を見込んでゲームストップ株を空売りしていましたが、予期せぬ上昇から高値で買い戻さざるを得なくなりました。ヘッジファンドは大きな損失を計上する結果となり、市場の大きな関心を集めたのでした。

その後「ロビンフッド」の運営会社が一方的に取引を制限したことで、ゲームストップ株は急落。一方的な措置で損失を受けたとして利用者が運営会社を提訴する事態に発展しました。米国株式市場には日本のようにストップ高・ストップ安という仕組みがないため、値動きが極端になるリスクがあります。そのため短期売買を繰り返すロビンフッダーは、資産が増えるのも早い半面、積み上げた資産が一気に消える例も少なくありません。

日本市場にどんな影響があるか

最後にロビンフッダーが日本市場へ与える影響について考えてみます。日本でまだ「ロビンフッド」が使えない現在の影響と、類似のアプリが日本に登場した場合の影響はどの程度あるのでしょうか。

現在の影響

2021年1月25~29日の週に上述したように米国株式市場で個人投資家の乱が起こり、ニューヨークダウが急落しました。その影響を受け、日経平均も1週間で960円値下がりしました。

▽日・米・中主要株価指数のチャート

日・米・中主要株価指数のチャート
画像出典:楽天証券「トウシル」

ロビンフッダーの件に限らず、日本市場は米国株式市場の影響を受けやすい傾向があります。チャートにあるように、2021年1月の急落場面では日・米・中が同じように下落しています。ロビンフッダーが米国市場を混乱させれば日本市場にも影響を与えることは明らかでしょう。

日本で類似アプリが登場したらどんな影響がありそうか

米国の個人投資家に受け入れられた「ロビンフッド」ですが、日本で類似のアプリが登場する可能性はあるのでしょうか。

現在日本でも「ロビンフッド」に似たような機能のアプリはいくつかあります。たとえば、SBIネオモバイル証券が提供する「ネオモバ」は、「ロビンフッド」と同じように単元未満の株も売買することができます。1ヵ月の取引金額が50万円までの場合月額利用料は220円(税込)ですが、200円相当のTポイントが付与されるため、税抜価格分が実質無料となります。Tポイントを買付代金にも充てられるため、少額取引なら「ロビンフッド」と利便性で大差はないと思われます。

また、「STREAM」というアプリは従来型の手数料はすべて無料になっています。何十万円以下までは無料という制限もなく無制限に無料である点が画期的です。さらにデザインもシンプルで、ニュースから関連銘柄や取引画面に遷移できるなどの機能もあります。すでに「ロビンフッド」の類似アプリはあると考えてよいでしょう。

ただし、ロビンフッドは2021年に上場を予定していることから、同社株が再び市場を乱高下させる可能性には警戒が必要です。上場企業となり海外進出する場合は、日本でもアプリの「ロビンフッド」をリリースする可能性がないとはいえません。そうなれば日本のスマホ証券にある程度の影響を与えることが考えられます。

個人投資家の動向に引き続き注視したい

日本でも新型コロナウィルスの影響があった2020年3月の株価暴落場面では、証券会社の口座開設数が急増するという現象が見られました。日米ともにコロナをきっかけに急増した個人投資家の売買がその後の株価上昇に貢献した可能性はあるでしょう。日本市場にも影響を与えるロビンフッダーの動向は今後も注視する必要がありそうです。

執筆:丸山優太郎
東京都生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業の金融・経済・不動産ライター。おもに金融・不動産メディアで執筆し、市場分析や経済情勢に合わせたトレンド記事を発信している。

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