地方銀行,メリット
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地域の発展のために貢献することを目指す地方銀行には、メガバンクにはないさまざまなメリットがあります。預貯金に利用するだけでは気づきにくい地方銀行を利用するメリットとあわせ、地方銀行のこれからの行方について展望します。

目次

  1. 地方銀行とメガバンクの違い
    1. メガバンク、地方銀行は何を指している?
    2. 営業エリアによる違い
    3. 取引先による違い
  2. 個人が利用する場合の地方銀行のメリット
  3. 法人が利用する場合の地方銀行のメリット
  4. 富裕層が地方銀行を利用する理由とは
  5. 再編続く地方銀行の未来はどうなる?

地方銀行とメガバンクの違い

給与振込や公共料金・カードショッピングの口座引き落としなどの用途別に、複数の銀行の口座を開設し、メインバンク、サブバンクと使い分ける方は多いでしょう。「地方銀行」をメインバンクとする方もいれば、「メガバンク」をメインバンクとしている方もいると思います。

メインバンクを選ぶ理由や都合はさまざまですが、地方銀行とメガバンクの違いを押さえた上で選ぶことが望ましいでしょう。

本稿では地方銀行にフォーカスを当ててメリットを解説しますが、まずは基本知識とも言えるメガバンクとの違いを押さえておきましょう。

メガバンク、地方銀行は何を指している?

「メガバンク」は三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3行を指すのが一般的です。“3メガバンク”とも明示される場合も少なくありません。

「地方銀行(地銀)」は、全国地方銀行協会の会員である“第一地方銀行”を指す場合と、第二地方銀行協会の会員である“第二地方銀行”を含めた総称として使われる場合があります。両者の違いは設立経緯に起因していますが、この記事では便宜的に、第一地銀・第二地銀の総称として解説します。

なお通常、地方銀行には信用金庫や信用組合は含まれません。銀行とは異なり、信用金庫・信用組合は非営利である点などが特徴です。

営業エリアによる違い

メガバンクの営業エリアは日本全国だけでなく、世界各地に及びます。対して地方銀行は、基本的に本店がある都道府県とその周辺が営業エリアになります。特定の地域で見るとメガバンクよりも支店やATMの数が多い場合もあります。

取引先による違い

銀行は個人や法人への融資も業務の1つですが、その取引先はメガバンクと地方銀行とで大きく異なります。メガバンクは上場企業や大企業が主な融資取引先になります。資金力があることから大企業の資金需要に対応することができます。街の中小零細企業の場合、法人用口座を持っていても、融資を受けるにはややハードルが高い印象があります。

一方の地方銀行は、地域の個人や中小企業に積極的に融資しています。地域の発展に寄与するのが地方銀行の使命であるため、メガバンクよりも融資の基準は緩やかといわれています。そのため、利便性が高いメガバンクと、融資を受けやすい地方銀行を使い分けることでそれぞれのメリットを活かすことができます。

個人が利用する場合の地方銀行のメリット

個人が地方銀行を利用する一番のメリットは上述したように「融資が受けやすいこと」です。マイホームを持つときの住宅ローン、子どもの教育・進学費用としての教育ローン、自動車を購入する際のカーローンなどです。お金に関する身近な相談先としても、地方銀行との付き合いは大事といえます。

地方銀行は本店所在地をホームタウンとするプロスポーツチームとコラボしている例が多く、チームのマスコットキャラクターがデザインされた通帳やキャッシュカードを選べる場合があります。該当チームのシーズン順位によって定期預金の金利が優遇されるなど、ユニークな取り組みをしている銀行もあります。

法人が利用する場合の地方銀行のメリット

一方で、法人が地方銀行を利用する場合は「信用保証協会付の融資」を受けやすいというメリットがあります。全国に51ある信用保証協会は、中小企業や小規模事業者等に対する金融の円滑化を目的に事業を行っています。

たとえば、東京信用保証協会は「信用保証協会法」に基づく公的機関で、中小企業が金融機関から事業資金の調達のため融資を受けたり、私募債を発行する際に保証人となり、借入をしやすくしています。中小企業や小規模事業者等に限定しているため、地方銀行と相性がよいのも特徴です。

富裕層が地方銀行を利用する理由とは

営利を目的とする銀行にとって、富裕層を取り込むことは重要な営業戦略です。その戦略の1つがプライベートバンクによる資産管理ですが、日本ではこれまでUBSやクレディスイスなどのスイス系プライベートバンクが存在感を示してきました。しかし、近年は国内でもメガバンクだけでなく地方銀行もプライベートバンク事業に乗り出しています。

富裕層のなかには地方銀行を利用している人も少なからずいます。富裕層は地方銀行のどこに魅力を感じるのでしょうか。たとえば、5,000万円の預貯金を持つ富裕層がいるとして、地方銀行の顧客としては上客ですが、メガバンクから見れば驚くほどの資産額ではありません。おのずと扱いは違ってくるでしょう。メガバンクでは普通の顧客でも、地方銀行なら言わば「上客」として重視してくれる。そのような精神的充実感を得られるのが地方銀行を利用する大きな理由かもしれません。

再編続く地方銀行の未来はどうなる?

近年はさまざまな業界で再編や統合が進み、いつ自分が利用しているサービスが変更または廃止になるかわからない時代です。それは地方銀行においても例外ではありません。長引く低金利による業績悪化が報じられ、先行きに不安を持つ方もいるでしょう。

そこで地方銀行の現状と先行きの見通しを確認しておきましょう。

SankeiBizの報道によると、上場地銀の2021年3月期の業績は76社中56社が減益または赤字転落となっています。新型コロナウイルスの影響による融資先の経営悪化に備え、貸倒引当金を積み増したことがおもな原因とみられます。

この経営状況の改善には、「再編」がキーワードとなります。そのメリットはいくつかありますが、たとえば再編によって重複する地域の支店やATMを統廃合し、コストカットを図ることができます。

2021年3月現在、全国の地方銀行の数は102行。一方で3メガバンクは、バブル崩壊前に13もあった大手都市銀行が再編を繰り返し、3社へと収束した姿です。メガバンクで大きく再編が進んでいるのに対し、地方銀行は最多時期からまだ2割程度しか減っていません。今後、地方銀行の再編が起こる可能性は十分にあると言えるでしょう。

2021年3月の時点でフィナンシャルグループ(FG)やホールディングス(HD)として持ち株会社を設立しているのは下表のとおりです。自分が取引している地方銀行がどのグループの傘下にあるか確認するとよいでしょう。

▽再編した地方銀行と現在の社名

現在の社名経営統合された金融機関名
じもとホールディングスきらやか銀行、仙台銀行
めぶきフィナンシャルグループ足利銀行、常陽銀行
東京きらぼしフィナンシャルグループ八千代銀行、都民銀行、新銀行東京
九州フィナンシャルグループ肥後銀行、鹿児島銀行
コンコルディア・フィナンシャルグループ横浜銀行、東日本銀行
西日本フィナンシャルホールディングス西日本シティ銀行、長崎銀行、西日本信用保証
関西みらいフィナンシャルグループ関西みらい銀行、みなと銀行
三十三フィナンシャルグループ三重銀行、第三銀行
第四北越フィナンシャルグループ第四銀行、北越銀行
ふくおかフィナンシャルグループ福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行
ほくほくフィナンシャルグループ北陸銀行、北海道銀行
山口フィナンシャルグループ山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行
トモニホールディングス香川銀行、徳島銀行
フィデアホールディングス荘内銀行、北都銀行
池田泉州ホールディングス池田銀行、泉州銀行

地方銀行の再編が進むと、現在自分が取り引きしている銀行の名前が変わるかもしれません。場合によっては支店がなくなることも考えられます。しかし、経営統合されることで業績が改善し、サービス内容が充実すると前向きに考えることもできます。

また、メガバンクがリードしている「インターネットバンキングサービス」も、地方銀行で充実化が進んでいくことでしょう。店舗に出向かなくても自宅でさまざまな銀行サービスを利用できる仕組みですが、メガバンクに対抗するために、地方銀行も時代に即してデジタル対応を強化する必要があります。

地方銀行には、メガバンクにはない独自のメリットも多数あります。メガバンクのみならず、地方銀行との付き合いを深くしておくのもよいのではないでしょうか。

執筆:丸山優太郎
東京都生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業の金融・経済・不動産ライター。おもに金融・不動産メディアで執筆し、市場分析や経済情勢に合わせたトレンド記事を発信している。

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