株価下落,初心者,大物投資家,やること
(画像=Number1411/Shutterstock.com)

リスク管理の基礎

2018年9月末から10月初めにかけ、日経平均株価は2万4200円台と26年ぶりの高値をつけ、株式市場はおおいに盛り上がった。このとき、株を持っていなかった人は「さぞかし株をやっている人は儲かっているんだろう」と思っていたことだろう。あるいは、これから株を始めようと考えていた人は「これだけ株が上がっているのだからきっと自分も儲かるにちがいない」と思っていたのではないだろうか。

ところが、その後米中間の貿易摩擦問題に対する悲観的な見方が広がったのをきっかけに世界的に株価が下落している。

株で利益をあげるためには株価の値上がりを待つだけでなく、損失をコントロールする力、すなわち「リスク管理」の知識が必要になる。

株の下落局面での初心者と大物投資家の考え方や行動を比較しながら、株のリスク管理について学んでいこう。

株価下落にどう向き合うか

株に投資した際のもっとも典型的なリスクが株価の値下がりだ。企業の株価は、世の中のお金の動き(為替)や個別企業の動向(売上や利益)といった要素に左右され、上下動する。そのため、タイミング次第では、まさに値下がり寸前の株を買ってしまうこともしばしばある。

これは株をやる限りはどうしても付き合わなくてはならないリスクである。どんなに実力のある投資家であっても、値下がりのリスクだけは避けて通ることはできない。問題は、その値下がりが生じたときの対処法である。

値下がりへの対処法は大きく分けて以下の3つに分けられる。

1.戻るまで待つ(塩漬け)
2.損失を受け入れてその株から離れる(損切り)
3.株を買い増しする(ナンピン)

初心者がまず考え、実際に行いがちなのが、1と3である。

1の場合、株価が戻らなかった場合には損失リスクのみならず、時間のロス、他の投資機会を見逃す可能性がある。これは、できれば避けたい。ちなみに、損失を抱えたまま株価が戻らない状態を、「塩漬け」という。

3の方法も、初心者がやりがちなパターンで、通称ナンピンと呼ばれる。ナンピンは成功すれば損失がなくなるだけでなく、大きな利益を手にする可能性もあるので、必ずしも間違っているわけではないが、「下手なナンピン、スカンピン」という言葉があるように初心者には仕掛けるタイミングが難しい。

実は初心者がもっとも苦手とする2の「損を受け入れてその株から離れる」というのが、損失を回避するという意味では、もっとも効率がよい対処の仕方だと言える。名だたる大物投資家の多くも、損切りの大切さに言及している。

値下がりリスクは投資にはつきものだが、ある程度見込んだ範囲の中で、損失を出すということは、長期的に見れば「合計利益>合計損失」となる布石でもあるのだ。

落ちるナイフをつかむな

株式投資の世界には多くの格言が存在している。その中でも「落ちるナイフをつかむな」という格言は株のリスクを表す言葉としてもっとも示唆に富んでいる。これはナイフが落下している最中に無理につかもうとすると思わぬ怪我をするということであり、ナイフが床に落ちてからから拾っても遅くはないという意味である。

株も同じで、株価が下がり始め、株価が手ごろな値になったような頃は、どうしてもそれまでの上昇局面が頭に残っているので、思わず株価が安くなっていると思って飛びつきたくなる。しかし、まだ下落は止まっておらず、結局損失を抱えてしまうというのが、典型的な投資の負けパターンである。

人間心理(投資家心理)でアンカリング効果とも呼ばれているが、先に提示された高値を見ているとどうしても10%やそこらの下げで飛びつき買いをしてみたくなるものだ。しかし、それは株価下落の始まりである場合も多く、株価がいわゆる底をつくまでに時間を要することもある。

リスク管理に必要な知識としてアンカリング効果などの投資家心理はぜひ覚えておきたいところだ。

信用取引は本当に便利なのか?

現行の証券会社の制度だと、信用取引を利用することで証券会社に預け入れている資産の3倍程度の株を買うことが可能だ。これは言ってみればお金を借りて株の取引をするということであり、使用する際には高度な知識と豊富な経験が必要である。

現に口座開設後、信用取引を行うためには一定の審査が必要である。審査の内容は証券会社によって異なるが、一般的には1年半程度以上の投資経験と一定額以上の余裕資産がないと、審査には通らない。

なぜ、審査があるのかというと、信用取引は、使い方を間違えるとリスクが一気に膨らむ危険な取引なのだ。

例を挙げてみよう。

ある企業の株式を100万円分購入したい場合、もし手持ちの資金が40万だったとしても信用取引を使えば、株式購入が可能である。ただ、もし購入した株式の価格が20%下落した場合には、100万円の株式の価値が80万円になってしまうので、一気に20万円分の資金がなくなるということになる。つまり元本の40万円のうち、半分が消し飛んでしまうことになるのだ。

ちなみに20%程度の株価下落は銘柄にもよるが日常茶飯事で起きるので、信用取引を利用するには銘柄選定の知識も必須である。株を買う量を調整しないと思わぬ大損失が生じることを覚えておいてほしい。

株をやるなら常にリスクへの心配りを

株の利益があがると人間はどうしても強気になり、さらに利益を得ようとするものである。強気になるので、いつもはしない行動や自分のキャパシティーを超えた行為をすることもしばしばある。 しかし、株のリスクは突然やってくるもので、強気になったときにこそ注意しなくてはならない。

「勝って兜の緒を締めよ」と言う。兜の緒が緩んでいないか、それを確認しながら取引を続けていくことこそ株式投資のリスクにのまれないための秘訣なのだ。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。著書に「超優待投資・草食編」がある。

文・ZUU online

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