コロナ,確定申告
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昨年同様、引き続くコロナ禍により、2021年も確定申告の期限が延長されました。申告の手続きに時間を取りにくい事情のあった人や、税務署の混雑を避けたかった人にとっては、ありがたい措置と言えます。一方で気になるのが、還付金の受け取りです。確定申告のスケジュール変更によって、受け取り時期などに影響はあるのでしょうか。

この記事では、申告期限の延長に伴う還付金の受け取りへの影響と合わせて、受け取り方の種類、注意すべき点を解説します。

目次

  1. 令和2年分の確定申告の期限が、昨年同様に延長へ
  2. 還付金の支払いのタイミングへの影響は?
    1. e-taxを利用すれば申告と還付がスムーズに
    2. 還付を早く受けるには税務署が混雑する前に申告するのがベター
  3. 還付金の受け取り方は2種類
    1. (1)自身の預貯金口座に振り込んでもらう方法
    2. (2)現金で受け取る方法
  4. 口座振り込みで受け取る場合の注意点
    1. 注意点1:指定できる預貯金口座は、申告者本人名義の口座のみ
    2. 注意点2:一部のネット銀行は対応していない
  5. まとめ:早めに還付を受けるには申告も早めに

令和2年分の確定申告の期限が、昨年同様に延長へ

確定申告は、前年の1月1日から12月31日の間の所得とそれにかかる税額について、自ら税務署に申告をするというものです。通常は、2月16日から3月15日の1ヵ月間に行う必要があります(休日の場合は、翌営業日)。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、確定申告に訪れる人で税務署が混雑することを避けるために、2020年にはその期限が1ヵ月間延長されました。

そして、いまだ収束の兆しを見せないコロナ禍のなか、2021年も確定申告の受付は2月16日から4月15日までに延長されることになりました。同じく贈与税についても、本来2月1日から3月15日までに行う必要がある手続きの期限が4月15日まで延長されています。

例年とは違う生活となって確定申告の手続きに時間を取りにくかった人や、コロナ感染が収まらない時期に混雑を避けたいと考えた人にとっては、期間延長はありがたい措置であったと言えます。

さらに、自分自身や依頼している税理士などが新型コロナウイルスに感染した場合などでは、4月15日でも確定申告が間に合わないケースもあるかもしれません。住んでいる地域に緊急事態宣言が出るなどといった事情が生じた人もいると思います。そうした止むを得ない事情においては、申告や納付の期限のさらなる延長を個別に申請できる措置もとられています。

【参考】国税庁「令和2年分確定申告における感染症対策に関するFAQ」

還付金の支払いのタイミングへの影響は?

会社員で源泉徴収などによって税金を払いすぎていた場合には、確定申告によって還付金として還付されることとなります。還付金の支払いは一斉に行われるのではなく、基本的に確定申告書が受理された順に、随時支払いが行われます。ただし、支払いまでにかかる時間は確定申告の方法によって若干異なります。

e-taxを利用すれば申告と還付がスムーズに

申告には、印刷した申告書を税務署に持ち込んだり郵送したりする方法と、インターネット経由で電子データとして送信する「e-Tax(イータックス)」と呼ばれる方法があります。

e-Taxの制度は2004年に導入されました。当初はあまり普及が進まなかったものの、使い勝手の向上が進んできたこともあり、近年利用者も増えてきています。また、自宅から申告が完了できるe-Taxは、新型コロナの感染拡大対策にもなるとして、国税庁があらためて積極的な活用を呼び掛けています。

例年では、持ち込みか郵送による申告の場合、還付金の支払いは、受付けされてから、おおよそ1ヵ月から1ヵ月半程度で行われていました。一方、e-Taxの場合は受付後3週間程度となっています。

これが、新型コロナの影響によって期間が長引いたりしないか心配されるところでしたが、今のところそのような事態には至っていないようです。

国税庁のホームページでも、新型コロナウイルス感染症に関する対応等についてのFAQ(よくある質問)の中で、「還付金が従来のスケジュールで還付されるのか」を尋ねる質問を掲載しています。

その回答として、以下のように述べられております。

還付金については、従来どおり、申告後、自宅等からのe-Taxの場合は3週間程度、それ以外はおおむね1か月から1か月半程度で還付することとなります。
(引用:国税庁「令和2年分確定申告における感染症対策に関するFAQ」 2021年3月5日更新)

ただしこれは、申告内容に誤りや不備が無いことが前提です。もし申告内容に問題等があった場合には、このスケジュールの通りとは当然ならないものと考えられます。

還付を早く受けるには税務署が混雑する前に申告するのがベター

還付までのスピードについては、実際のところはコロナなどよりも申告の混み具合によって影響を受ける部分が大きそうです。申告書の数が増えるにつれて、税務署も審査処理などへの対応が立て込んできます。このため、税務署の業務へのゆとりが比較的大きいうちに申告をするほど、還付金を早く受け取れる可能性が高まると考えられます。つまり、早めに申告するのがベターということです。

実は、還付金を受け取るための還付申告の期限は、一般の確定申告の期限とは異なります。還付申告は、翌年の1月1日から5年間行うことができるのです。国税庁がホームページでe-Taxについて説明する中で、「e-Taxで1月・2月に提出された場合は、2~3週間程度で処理しています。」と記載しているのはそのためでしょう。確定申告が本格化するより前の申告については、「3週間程度」より早い対応ができる可能性は十分にあります。

【参考】国税庁「令和2年分 確定申告特集」

来年以降に少しでも早い還付金の受け取りを望むなら、年明け早々にe-Taxで申告することを検討して見るとよいかもしれません(当然ながら不備のない申告書であることが必要です)。

ただ、もし今後コロナが還付金のタイミングに影響を与える可能性があるとすれば、税務署の一時的な閉鎖などがあるかもしれません。税務署で新型コロナのクラスターが発生するなどして一時的に閉鎖された場合には、その分だけ還付などに係る作業が滞ることも想像されます。

ただし、今のところそのような事例は報告されていません。ちなみに国税庁のホームページでは、「税務署の執務状況(新型コロナウイルス感染症関連)」として、業務を中断している税務署がある場合にはそれを公表しています。

【参考】国税庁「新型コロナウイルス感染症に関する対応等について」

還付金の受け取り方は2種類

還付金の受け取り方法としては、以下2種類の方法があります。

(1)自身の預貯金口座に振り込んでもらう
(2)現金で受け取る方法があります。

詳しく解説していきましょう。

(1)自身の預貯金口座に振り込んでもらう方法

振込みを希望する場合には、申告書内の「還付される税金の受取場所」欄に、自分の口座内容を記載します。すると、申告書の内容が受理されて還付が決定したタイミングで、「国税還付金振込書」というハガキが届きます。これに前後して、指定した預貯金口座に還付金の振込があるはずなので、入金を確認します。

(2)現金で受け取る方法

一方、現金で受け取りたい場合には、同欄に受け取りを希望するゆうちょ銀行の支店名(出張所名)か、郵便局の名前を記載します。指定する支店や局は自分の住まいの近くである必要はなく、どこでもかまいません。ただし、記載した支店か局でしか受け取れず、変更するには電話などでの新たな手続きが必要となるため、注意が必要です。

現金受け取りの場合は、還付金額が確定すると「国庫金送金通知書」が送られてきます。この通知書と本人確認書類を持参して指定した支店か局に出向き、窓口で還付金を受け取ることとなります。

口座振り込みで受け取る場合の注意点

一般的には、窓口に出向くに必要がない口座振り込みの方が便利だろうと考えます。ただし、口座振り込みには大きく2つの注意点があります。

注意点1:指定できる預貯金口座は、申告者本人名義の口座のみ

自身の口座であっても、事業などに使っている口座の場合、口座名義として自身の名前以外に店名や屋号(事務所名などの名称)などを付け加えているケースがあります。こうした口座は還付金の振込先として指定することができません。

また、結婚などで姓が変わった場合、旧姓のままの名義となっている口座も指定できません。

注意点2:一部のネット銀行は対応していない

指定できる預貯金口座はメガバンクや地銀だけにとどまらず、信用金庫や信用組合、労働金庫、農業協同組合、漁業協同組合の預金口座までも対象です。しかし、一部のインターネット専用銀行については、還付金の振込みができません。

主だったところでは、auじぶん銀行やセブン銀行などで振り込みによる還付金受け取りが、現時点ではできないようです。ネット銀行を指定したい場合には、あらかじめ還付金の振込が可能かどうかを確認しておくことが必要となります。

まとめ:早めに還付を受けるには申告も早めに

新型コロナの感染拡大は、生活のさまざまな部分に大きな影響を及ぼしました。そうした状況に鑑み、確定申告においては期限が延長されるなどの措置が取られました。例年とは違う生活に、時間や心の余裕が持ちにくかった人には助かる措置といえます。ただ、もし還付金を早めに受け取りたいなら、早めの申告をする方がよいことも、知っておきたいところです。

執筆:北垣 愛
国内外の金融機関で、金融マーケットに直接携わる仕事を長く経験。現在は資産運用のコンサルタントを行いながら、主に金融に関する情報発信も行っている。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、FP一級技能士、宅地建物取引士資格試験合格、食生活アドバイザー2級

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