YOSHIKI & TAROUT


本当のラグジュアリーな食事とは何だろう。
四季折々に旬の食材がとれる日本において、その時に一番美味しいものを食す。それを、自分の手で料理して、大切な人に食べてもらう。食材にこだわり、道具にこだわり、みんなを楽しい気持ちにさせる飯。毎日じゃなく週末だからできる、ちょっとわがままかもしれない“ラグメシ”。

Vol.13は、イタリアンの冷菜を代表するカルパッチョ。実は日本で広まった白身魚と、本場イタリアで親しまれる牛生肉の代わりにローストビーフを使用した2つのレシピとともに、見た目が格段に美しくなる盛り付けのアイデアもご紹介。こだわりのTOOL情報や、タロアウトによるDL可能なレシピPDFもあります。

1. 白身魚と彩り野菜のカルパッチョ
2. ローストビーフと赤い野菜のカルパッチョ

“カルパッチョ”の由来は、画家の名前!?

“カルパッチョ”の由来は、画家の名前!?

YOSHIKI(以下Y) 人をもてなす際も、デイリーな食事でも、さっと作れるおしゃれな副菜がレパートリーにあると便利ですよね。ということで、今回は火を使わないレシピです。さてタロアウトさん、イタリアンの冷菜と言えば……?
TAROUT(以下T) 僕の大好きなカルパッチョですね!
Y ご名答。では、カルパッチョと聞いて思い浮かべるのは?
T 白身魚ですね。
Y 実はイタリアでは、生の牛肉が主流。諸説ありますが、ヴェネツィアの老舗レストラン『ハリーズ・バー』のオーナーシェフ、ジュゼッペ・チプリアーニ氏によって誕生したと言われています。“体調が優れず油っぽいものは避けたい、でも肉が食べたい”という客のために、赤身の生肉を薄くスライスして提供したのが始まりだそう。
T 目から鱗です。ちなみに料理名の“カルパッチョ”は、どういう意味ですか?
Y これもまた、おもしろい秘話があるんですよ。一説によると、由来はヴェネツィア出身の画家、ヴィットーレ・カルパッチョ。赤い生肉を並べた皿から、鮮やかな赤を好んで用いた彼の画風を連想したチプリアーニ氏がその名を採用したと言われています。
T なぜ日本では、白身魚を使うようになったのでしょう?
Y 日本で白身魚のカルパッチョを創ったのはイタリアンの先駆者で、『ラ・ベットラ・ダ・オチアイ』の落合務シェフ。今ほど生肉を食べる習慣がなく、代わりに鯛を使って提供したところ大好評となり、瞬く間に流行したそうです。
T 料理の知識が深まると、愛着も増しますね。今回は魚と肉のどちらを作りますか?
Y カルパッチョは火を使わずとても手軽なので、豪華に両方作りましょう。料理を始める前に、まずは白身魚の下ごしらえから。捌きたてでも、刺身用のサクでも、“水抜き”のひと手間を加えるだけで格段に美味しくなるんです。
T 確かに、魚に水っぽさを感じることがありますね。

『ピチット®』


Y レシピにある水抜きの方法でも、もちろんいいのですが…個人的に、『ピチット®』を使うことを強くおすすめしたい! ご存知ですか?
T 初めて見ました。
Y シェフや料理家がよく使っている、食用品専用の脱水シートです。ピチット®の優れた点は、水分とともに臭み成分も吸収してくれるところ。また、包んだ状態で冷蔵庫に置くので、切り身の表面が乾燥する心配もありません。水分が抜けると、驚くほど味が凝縮して、焼くとふっくら、生だともっちりするんです。(※詳細はページ下部「今月のこだわりTOOL」へ)
T 本当だ。触っただけで、全然違います!
Y ですよね。白身魚の下ごしらえさえしっかり行えば、美味しさは確約されたも同然。そしてもうひとつ重要なのが、盛りつけと添え野菜の彩りです。
T シンプルな料理ほど、盛りつけに悩みます。
Y 彩りのバランスを極めるだけで、仕上がりが格段に良くなりますよ。僕は大別して2通り、「3色で彩る」か「同系色で統一する」ということを意識しています。今日は白身魚を3色、生肉代わりのローストビーフを同系色にします。

YOSHIKI & TAROUT

T シンプルな白身魚に3色が加わると、華やかですね。
Y 野菜の大きさや厚みは、主役の素材に合わせることが大切。とくに白身魚は味わいが淡白なので、パプリカのような味わいの強い野菜で切り方も大きいと、味が負けてしまうんです。また、野菜は切り方で印象も変わります。トマトは縦に薄く、パプリカは細かく刻むと、上品に仕上がりますよ。
T 白身魚は野菜の上と下、どちらが正解ですか?

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Y 皿に並べてから、野菜を盛るのがオーソドックスです。野菜の上に盛るカルパッチョもありますが、それはカルパッチョというよりも海鮮サラダのようなイメージになります。
T 平皿を使う印象が強かったですが、今回のような、深みのあるお皿を使ってもおしゃれですね。
Y 中央のくぼみに野菜を高く盛れば、それだけでこなれて見えますよ。

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T 肉に添える野菜は、赤一色ですね。
Y 肉との統一感で、洗練された印象に仕上がるんです。ちなみに今日は、生肉の代わりにローストビーフを使います。
T 苺を使うのが新鮮です。
Y フルーツを一種入れると、見た目も味わいも華やぐのでおすすめです。ただし、二種類以上入れると甘さが際立ってしまうので注意しましょう。
T 本当だ。赤で揃えるの、いいですね。苺も効いていて洗練されています。
Y 赤のほかにも、オレンジ(柑橘類&ニンジン)、白(タマネギ、梨、カブ)、黄色(グレープフルーツ、パプリカ、トマト)などの組み合わせがあります。
T とびきり手軽なのに、見栄えもおいしさも満点。まさしく“ラグメシ”ですね!

1. 白身魚と彩り野菜のカルパッチョ

YOSHIKI & TAROUT 白身魚と彩り野菜のカルパッチョ


【材料/4名分】
刺身用白身魚(今回は真鯛を使用)   1サク(約100g)
塩                  2つまみ
ミニトマト              2個
ベビーリーフ              20g
黄パプリカ              10g


A オリーブオイル   大さじ1
レモン汁       大さじ1
塩         1つまみ
白こしょう     適宜

【作り方】
1 白身魚の全体に塩を振り、キッチンペーパーを敷いた皿にのせて、ラップをせずに冷蔵庫で一晩(最低4時間、最長12時間程度)置く。※ピチット®がある場合は、塩を振った白身魚をピチット®で包み、冷蔵庫で一晩(時間は同上)置く。
2 ミニトマトはへたを取り、縦1/8のくし切りに。パプリカは5mm角に切る。ベビーリーフは洗って、ボウルに重ねたザルに入れる。濡らして硬く絞ったキッチンペーパーをかぶせ、冷蔵庫で水切りする。※濡らしたキッチンペーパーをかぶせるのは、乾燥を防ぐため。冷蔵庫で水切りすると葉がシャキッとなり、食感が良くなる。
3 1を5mmほどの薄さにスライスし、皿に並べる。
4 Aを混ぜ合わせ、3にかける。ベビーリーフを中央に高く盛り、ミニトマトを散らす。白身魚の上にパプリカを散らして完成。


【POINT 1:白身魚は断面を指で押しながら切ると、美しくスライスできる】

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断面を指で押すと身が盛り上がり、包丁の刃が入りやすい状態に。刃のお尻から入れて、ひじを後ろに引きながら刃を通す。「包丁の刃を端から端まで使うイメージで、一度で切り落とすのが理想。一度で切り落とせなかった場合は刃を抜き、再度、刃のお尻から入れて切りましょう」(藤田さん)


【POINT2:白身魚にはカラフルな野菜を盛って華やかに】

YOSHIKI & TAROUT
皿に薄く並べるのが、カルパッチョのオーソドックスな盛り付け。「調味料は野菜を盛り付ける前にかけることで、味が魚にしっかり馴染みますよ」(藤田さん)


YOSHIKI & TAROUT

YOSHIKI & TAROUT
野菜は赤・黄・緑の3色を使うと、彩りのバランスが良くなる。「イタリアンで盛り付けに迷ったときは、この3色を使えば間違いありません。トマトは薄いくし切りにすると、カジュアルすぎず上品。黄パプリカのように、小さく刻んだ野菜を加えると、よりプロっぽく仕上がります」(藤田さん)


2. ローストビーフと赤い野菜のカルパッチョ

ローストビーフと赤い野菜のカルパッチョ


【材料/4名分】
ローストビーフ  100g
苺        4個
ラディッシュ   1個
赤タマネギ    1/8個(縦切り)
赤パプリカ    1/8個(横切り)
塩         適宜
バルサミコ酢    適宜


【作り方】
1 ローストビーフを約3mm幅にスライスし、皿に並べる。
2 苺とラディッシュは縦1/8のくし切りに。赤タマネギと赤パプリカは極薄くスライスする。
3 1のローストビーフの上に2を散らす。塩をふり、バルサミコ酢をかける。
※バルサミコ酢は、濃度が高くドロリとした長期熟成のもの(8年以上)がおすすめ。


【POINT1:ローストビーフは冷えている状態で切る】

YOSHIKI & TAROUT ローストビーフと赤い野菜のカルパッチ
肉はしっかり冷やし、脂が固まった状態で切る。「常温に戻すと脂が溶けて、身がゆるむため、均一にスライスするのが困難に。包丁の刃は、肉に対して垂直に入れます。もしわかるようであれば、繊維を断ち切るよう、繊維に対して垂直に切るとより美味しいです。軽く力を入れて、前後に動かしながら切りましょう」(藤田さん)


【POINT2 野菜は同じ色でそろえると洗練されたひと皿に】

YOSHIKI & TAROUT ローストビーフと赤い野菜のカルパッチ
ローストビーフの色に合わせて野菜を赤で統一すると、おしゃれな仕上がりに。「パプリカは輪切りにすると華やかですが、味わいも強いので、辛味が強い赤タマネギ同様、できるだけ薄く切りましょう。フルーツを加えるだけで、一段としゃれ感が出ますよ」(藤田さん)


YOSHIKI & TAROUT ローストビーフと赤い野菜のカルパッチ

YOSHIKI & TAROUT ローストビーフと赤い野菜のカルパッチ
並べたローストビーフの上に、切った野菜をバランスよく盛り付ける。「野菜の色がそろっているので、ラフに散らす感覚でOKです!」(藤田さん)


【今月のこだわりTOOL1:『正広別作(マサヒロベッサク)』の包丁】

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「カルパッチョを作るのに欠かせないのが、優秀な包丁。僕は、『マサヒロ』の『正広別作』シリーズを愛用しています。重さ、切れ味ともに文句なしの使い心地で、1本1万円以下。これに勝るコスパの良い包丁に、いまだ出会ったことがありません。魚のサクを切るときに便利なのが左の「筋引」です。刃長24cmで、幅10cmほどのサクならば、一度でしっかり切り落とせます。もうひとつ持っておくと便利なのが、右の「骨透」。刃長は14.5cmと短いのですが、刃が厚く(約2.5mm)安定感があります。」(藤田さん)


【今月のこだわりTOOL2:『オカモト』のピチット®】

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「スーパーで買った刺身が格段に美味しくなる、魔法のようなシート。“脱水シート”と呼ばれるんですが、その名の通り、魚を包んで数時間置くだけで余分な水気をしっかり吸い取ります。もっちりとした弾力が出て、食感、口当たりともに驚くほど良くなります。水分とともにアンモニアなどの臭み成分を吸収する一方で、アミノ酸などの旨み成分は残す工夫がされていて、味わいも深まる。一度使ったら手放せなくなりますよ!」(藤田さん)


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ラグメシ
藤田承紀 / FUJITA YOSHIKI
(プロフィール)
料理家。イタリアでの修行後、日本で野菜作りをしながら活動を開始。料理教室、ケータリング、飲食店立ち上げ、雑誌やテレビ出演等多岐にわたって活躍。王道のイタリアンから、アレルギーやヴィーガン対応の旬の野菜を使ったイタリアンも提案。日本では2020年に初めて開催された料理コンテスト「ベジタリアンチャンス ジャパン第1回」にて〈サスティナビリティ賞〉を受賞した。書籍は『野菜のスープ』(主婦と生活社)、『野菜のチップス・果実のチップス』(文化出版局)。http://fujitayoshiki.com/
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タロアウト / TAROUT
(プロフィール)
キャラクターアーティスト。ひとつひとつに愛情あふれるストーリーを設定して誕生させる作品が、国内外から絶大な支持を集める。これまでディオールやフェンディ、ポール・スミス、ナイキなど、名だたるブランドとコラボレート。また、現在『VOGUE GIRL』で大人気連載中の「しいたけ占い」のキャラクターデザインを担当。運動を始めてから健康を意識する中で料理に目覚め、藤田氏とフード&デザインユニット「LUNNY’S VEGGIE」を結成。2017年、「未来の笑顔をシェアする」とコンセプトに活動をスタート。

題字デザイン/タロアウト 撮影/野頭尚子 文/中西彩乃 企画編集/横山直美(cat)


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