食和食器,たち吉,能作
(画像=小野島聡/stock.adobe.com)

日本の伝統的な食文化である和食。世界的な健康志向の追い風も受けて、2013年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されました。料理の内容はもちろんのこと、その盛り付けの繊細さや美しさも、和食が世界から評価されているポイントです。

そんな和食を彩るのに欠かせないのが「和食器」です。今回は和食器にフォーカスを当て、その種類や産地ごとの特徴、代表的なブランドも紹介します。

形状で見る、和食器の主な種類

和食器の形状のバリエーションの多さは海外でも類を見ません。まずは、ごく一般的なものを用途別に紹介します。

・わん
いわゆるご飯を食べる器は「飯わん(めしわん)」、みそ汁など汁ものをよそう器は「汁わん」といいます。いずれも中身が熱くても持ち上げやすいよう高台がついています。また、飯わんは陶磁器が主流ですが、汁わんには軽量で熱を伝えにくい木製のものが好まれます。木製の場合、一般に漆加工を施したものは高価とされます。

・皿
言葉のとおりですが、主菜・副菜などを盛りつける平らな器です。大きさによって、大皿、中皿、小皿、豆皿などに呼び方が変わります。大皿は直径30センチメートル前後のものが多く、およそ“一尺”の長さにあたるため「尺皿」とも呼ばれます。中皿は直径15~21センチメートルの大きさのものを指し、1人分の主菜の盛りつけや取り皿に使います。小皿、豆皿は直径約12㎝以下の皿のことで、取り皿やしょうゆ皿、薬味用などに用います。

また、ひとつあると重宝するのが「角皿」と呼ばれる四角形の皿。焼き魚や刺身の盛りつけに適しているほか、円形の皿が並ぶ中でアクセントにもなります。

・鉢
皿よりも深みのある器は鉢(はち)と呼ばれ、こちらも主菜や副菜の盛り付けに使用します。大きさによって名称がわかれており、大鉢(直径24~30センチメートル)、中鉢(直径15~21センチメートル)、小鉢(直径~約12センチメートル)と呼ばれます。大鉢は煮ものなど汁気のある料理を盛りつけるのに使います。中鉢は1人分のサラダや煮ものの盛りつけ、丼としての用途も。小鉢は酢のもの、おひたしなど、1人分の副菜を盛りつけるのに適しています。

このほか、縁に注ぎ口がついた片口(かたくち)、茶わん蒸しなどに使われる蓋物(ふたもの)、酒器で言えば猪口など、和食器にはあらゆる種類があります。

和食に欠かせない焼き物は、名産地でさまざまな特長

和食器の種類の多さを反映するように、その産地もさまざまです。挙げるときりがありませんが、佐賀県(有田焼)、岐阜県(美濃焼)、長崎県(波佐見焼)などが代表的です。そのほかにも滋賀県(信楽焼)、石川県(九谷焼)、栃木県(益子焼)など各地に人気の窯があります。

有田焼は、数ある磁器のなかで特に有名です。絢爛豪華な絵付けを施したものからシンプルなものまでさまざまあります。ガラス質の原料を多く含む陶石を使用して高温で焼くため、硬く、繊細でありながら耐久性に優れています。

美濃焼は特に様式がなく、「特徴がないのが特徴」とも言われるほど、窯元ごとに独創的でバラエティー豊かな作品があります。いずれも現代人の食生活にも合わせやすいものが多く、美濃焼で有名な岐阜県は国内の陶磁器のシェアが50%ともいわれる随一の焼き物の生産地です。

波佐見焼は白磁に藍色の絵付けが特徴。壊れにくいことから、江戸時代より庶民の食器として愛用されてきました。最近では人気の北欧デザインを取り入れたモダンな器も人気で、脚光を浴びています。

注目の和食器ブランド2選を紹介

日本には多くの和食器ブランドがありますが、今回は中でも有名な「たち吉」。そして鋳物の和食器で注目を集めている「能作」を紹介しましょう。

たち吉

創業は1752年(たち吉の前身の「橘屋吉兵衛」)。戦後は、自ら窯元に発注した器を販売する「創作陶器」というスタイルを確立し、器のある暮らしの楽しさや器が贈りものになるという新しい提案をし続けています。1950年台半ばからは百貨店への出店も積極的に行っています。

たち吉には、多くの人気定番商品があります。そのひとつが、市松シリーズです。その名の通り、市松模様と呼ばれる大胆な格子柄がひし形の器に施されているのが特徴で、目を惹きつつ料理を鮮やかに演出します。

また、市松シリーズには大皿や小鉢などのバリエーションがそろっています。煮物でいえば、春に食べたい若竹煮なども高さのある小鉢なら品よく収まります。市松の緑の色味とのコントラストが、料理をよりおいしそうに引き立てます。

この市松模様は縁起も担ぎ、柄が途切れずに続いていくことから、子孫繁栄や事業拡大の願いが込められています。慶事やおもてなしの際にも活躍しそうですね。

能作

高岡銅器の伝統を受け継ぐ鋳物メーカーです。創業は1916年で、当初は仏具や花器、茶道具の生地を製造していましたが、2000年ごろからは技術力をいかして風鈴などのインテリア雑貨や、抗菌性の高い錫(すず)を使ったテーブルウェアを開発してきました。いまでは、ビールがまろやかに泡立つビアカップなど、美しさと機能を兼ね備えた商品が人気となっています。

刺し身やオードブルなどを盛り付けるのにうってつけなのが、この能作の錫100%の器です。抗菌性や熱伝導率の高さを生かし、器を冷蔵庫で数分冷やしてから料理を盛り付けることで、食材の鮮度を保つだけでなく、冷たいものをより冷たく、おいしさを引き立たせてくれます。金属の器であっても1つひとつ職人の手によって仕上げているため、どこか温かみを感じられるのも特長です。陶器や木製の器が主流の和食器の中で、金属の器は日常の食卓のアクセントとなるでしょう。

美しい和食器で食卓を彩る

和食は舌だけでなく、目でも味わうもの。そのためにも、お気に入りの和食器を探してみるのもよいかもしれません。どの和食器を選び、どのように料理を盛り付けるか。また、食器同士の相性など、いろいろ試してみるのも和食の面白さのひとつでしょう。

文・J PRIME編集部

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