日本,ワイン
(画像=BillionPhotos.com/stock.adobe.com)

お店に並ぶワインの種類もひと昔前からずいぶんと増え、近年のワイン人気の高まりを感じます。毎年、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁に大きな注目が集まるのも、いまや秋の風物詩として定着しています。

そんななか、いまワイン好きが注目しているのが「日本ワイン」です。海外から高い評価を受ける銘柄も出てきており、国内におけるワインの造り手は増加の一途を辿っています。

この記事では、世界に誇る日本ワインの魅力はもちろん、主要な生産地、産地による味の特徴を紹介します。

そもそも「日本ワイン」とは何か

最近になって、「日本ワイン」という言葉を耳にした方も多いのではないでしょうか。それもそのはずで、実は日本ワインという言葉に明確なルールが適用されるようになったのは2018年のこと。現在では「果実酒等の製法品質表示基準」に則り、“国産ブドウのみを用いて、日本国内で醸造されたワイン”だけが「日本ワイン」と表示することができます。

なお、海外で栽培されたブドウや果汁を用いて国内で製造されたものは「国産ワイン」といい、区別されています。

日本ワインは海外ワインと何が違う?

日本ワインと海外ワインの違いは、単にブドウの産地だけではありません。産地が変われば、ワインの味わいにも違いが表れます。なぜなら原料となるブドウは、テロワール(産地の土壌や気候など)の影響を強く受けるからです。

とはいえワインの世界は奥深く、産地ごとの特徴をひと括りに表現するのは難しいものですが、一般的に知られている“産地らしさ”としては以下のとおりです。

ワイン王国「フランス」の特徴

フランスには誰もが聞いたことがある産地が複数あり、それぞれ次のような特徴が知られています。

・ボルドー
しっかりしたボディの赤ワインが有名で、はっきりしたインパクトある口当たりと強めの渋みがあります。シャトーに“格付け”があることや、長期熟成させて楽しむワインが多いのも特徴です。

なお、赤ワインの原料としてポピュラーなブドウ品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローはボルドーが原産といわれ、この産地を特徴づける品種でもあります。各シャトーは、これらの品種をブレンド(アッサンブラージュ)することで、複雑でありながら調和のとれた味わいや個性を生み出しています。

・ブルゴーニュ
ボルドーワインが「ワインの女王」と称されるのに対し、双璧をなすブルゴーニュワインは「ワインの王」と呼ばれます。ボルドーと異なり、基本的に1品種のみ(モノセパージュ)でつくられるため、畑の個性が表れやすいのも特徴です。ちなみに、世界で最も高価なワインといわれる「ロマネ・コンティ」は、ブルゴーニュ地方の畑の名前です。

赤ワインは、ブルゴーニュ原産のピノ・ノワールを用いたものが代表的です。渋みがまろやかで、やや酸味が感じられる味わいで、鮮やかなルビー色が特徴です。白は、シャルドネを用いたものが代表的で、厚みや果実味がある辛口ワインが知られています。

・シャンパーニュ
フランス北部のシャンパーニュ地方は冷涼な気候のため、ブドウが栽培できる北限とされます。最も有名なスパークリングワインの産地といっても過言ではなく、「シャンパン」はこの地方でつくられたスパークリングワインのうち、特定の条件をクリアしたもののみが名乗ることができます。

味わいはメゾンと呼ばれる造り手により多様ですが、辛口の発泡酒が多くを占めています。モエ・エ・シャンドンの「ドン・ペリニヨン」が有名です。

イタリア

イタリアは、フランスにも並ぶワインの生産国です。トスカーナ州やピエモンテ州が代表的な生産地となっていますが、その恵まれた気候から全土でワインが生産されています。

イタリアワインの特徴は、さまざまな品種のブドウによって生産されているため多様性に富んでいる点です。優雅で気品あるものや、力強さが感じられるものなど、個性や情熱的なイメージのあるイタリアの特徴とよく合っているようです。

アメリカ

ワインといえばフランス、イタリアなどヨーロッパのイメージがありますが、アメリカはワイン生産量で第4位を誇ります。歴史は浅いものの、アメリカ、チリ、オーストラリアなどでつくられたワインは「新世界ワイン」とも呼ばれ、注目を集めています。

アメリカワインの中でも特に魅力的といわれるのがカリフォルニアワインです。カリフォルニアは地中海性気候でブドウを生育しやすい環境が整っていますが、なかでもナパ・ヴァレーと呼ばれるエリアは、オーパス・ワンやドミナス・エステートなどの有名ワイナリーがあり、高級ワインの産地として広く知られています。カベルネ・ソーヴィニヨンが多く用いられるナパワインは、濃厚かつ華やかといわれ、ワイン好きをひきつけてやみません。

チリ

新世界の一角として紹介した、チリワイン。2015年からは、日本の国別ワイン輸入量ランキングで首位を走ります。

チリワインの魅力は、コストパフォーマンスの高さです。カベルネ・ソーヴィニヨンやソーヴィニヨン・ブランなどの品種はもちろん、カルメネールやパイスなど多様な品種からワインを生み出します。ヨーロッパに比べ日照時間が長く、ブドウは太陽の恵を受けて育つことができるため、チリワインは果実味が強い味わいとされています。

一方の日本は……?

日本のワインは、これら本格的でメジャーな世界的産地のものに比べると低い評価に甘んじてきたのですが、近年国際的なワインコンクールで賞を取るものも出てきました。

雑味が少なく、繊細でフルーティ、日本人好みで和食によく合うというのが特徴です。甲州、マスカット・ベーリーAといった、日本でしか栽培されていない品種のブドウを使ったものもあります。

日本ワインは着実に成長し続けている

日本におけるワインづくりは、諸外国と比べるとあまり古い歴史はありません。文明開花の流れのなかで明治時代の1870年ごろからはじまりました。それから150年ほど経った現在、ワインは国内でどれくらい親しまれているのでしょうか。参考になるのは、国税庁が調査する課税移出数量(出荷量)です。

ワインは酒税法上、「果実酒」に分類されます。日本における果実酒の消費量は平成に入ってから増えはじめていますが、ビールや焼酎、ウイスキーなどを含む、すべての酒類の出荷量に占める果実酒の割合はわずか4.1%(2018年度)にとどまっています。

【参考】国税庁「酒のしおり(令和2年3月) 7  酒類課税数量の推移(国税局分及び税関分の合計)」

しかし、果実酒はこのところ生産量が上昇傾向にあります。2008年度の果実酒の出荷量は24.6万キロリットルであるのに対し、2018年度は35.5万キロリットル。10年で約1.4倍に増加しています。

果実酒の出荷量とともに「日本ワイン」も着実に成長しています。2018年度の国内製造ワインの生産量は8.2万キロリットルのうち、日本ワインは1.7万キロリットルで、国内ワイン製造量の2割を占めるまでに成長しています。

【参考】国税庁「国内製造ワインの概況 (平成30年度調査分)」

日本ワインが増加した原因は、新興ワイナリーの増加にあります。年々、国内のワイナリー数は伸び続け、2018年には300場を超えました。すでに、日本ワインの時代が訪れているのです。

国内の主要ワイン産地は?それぞれの特徴も紹介

日本ワインの生産地は日本各地にありますが、ワイナリー数が上位5位の道府県と、それぞれの特徴を見てみましょう。

1. 山梨県
日本で初めて本格的なワインづくりが行われた山梨は、名実ともに日本一の生産地。甲州やマスカット・ベーリーAといった日本固有種を使った日本ワインづくりが盛んです。フランスの高級ワインと比較しても引けを取ることのない銘品もあります。

2. 長野県
長野県は、年間を通じて日中の気温差が大きく、ブドウは酸味が引き締まって糖度の高いものができます。雑味の無い洗練された味、柑橘のような酸味、ハーブ系のさわやかな香りなど、日本ワインの特徴がよく出たワインがつくられています。

3. 北海道
北海道では、ドイツのブドウ品種ケルナーを用いた白ワインがよく見られますが、近年では黒ブドウのピノ・ノワールの栽培も増加。いまや世界から注目されるほどのワインの銘醸地となっています。ケルナーからつくられた白ワインは、花やフルーツのような香りと辛口で魚料理とよく合います。

4. 新潟県
新潟には、角田浜というエリアが“新潟ワインコースト”として注目を集めています。この地域のワインの特徴は、砂丘地の土壌にも適したスペイン沿岸部原産のブドウ品種アルバリーニョが比較的よく使用されていることでしょう。味わいはフルーティななかに海を思わせる風味があり、海鮮料理との相性は抜群とされます。

5. 大阪府
意外にも、大阪はワイナリー数が全国5位の生産地です。そもそも大阪は生食用ブドウの生産地として長い歴史があり、スーパーなどでも見かけるデラウェアの生産量は全国3位を誇ります。大阪ワインでは、このデラウェアをワイン用としても栽培し、使用していることが特徴のひとつです。優しさが感じられる豊潤さがあり、甘口のものから辛口のものまでつくられています。

ここで紹介した5道府県に限らず、こだわりのワインが日本各地で次々と誕生しています。ブドウの栽培には向かないといわれるような場所であっても、ものともせず取り組む姿勢には感服せざるを得ません。

これからの日本ワインに期待

ワインの個性は、産地ごとにさまざまです。そのぶん料理と合わせるのは難しいと思う方も多いかもしれませんが、マリアージュの基本のひとつは“産地”を合わせること。日本ワインの魅力の一部にすぎませんが、日本の旬の食材や、和食との相性がよいことはいうまでもありません。

海外ワインもよいですが、ますます期待が高まる日本ワインをぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。

文・J PRIME編集部

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