保険見直し,タイミング
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春は、進学や就職など新しい門出となり、今後について想いを巡らす希望に満ちた季節です。転勤、転職など自分自身や家族のライフスタイルが変わるときでもあります。そんな機会だからこそ、夢の実現へ向けた一歩を踏み出す前に「もしも」に備える「保険」について考えておきたいものです。

この記事では生命保険、医療保険を中心に焦点を当て、ムリ・ムラ・ムダのない「リスク対策」をするための必要性、保険の保障額の考え方、見直しの注意点について、事例をもとに解説します。

目次

  1. ライフスタイルに合わせ、リスク対策を見直す
  2. リスク対策における保険の強み
  3. 保険に加入する「目的」を考える
  4. 見直しの物差しになる「必要保障額」とは?
    1. モデルケースで考える必要補償額
  5. 見直した結果、必ずしも保険を乗り換えなくてもよい
  6. 保険は高価な買い物。見直しの機会を大切に

ライフスタイルに合わせ、リスク対策を見直す

5年後の自分、10年後の家族、定年後の生活……。思い描く「未来」のために一歩ずつ生きていても、人生には思いどおりにいかないことが多々あります。特に子どもの成長、卒業、進学、就職、転勤、転職などライフスタイルが変化すると、さまざまな想定外の問題に直面するものです。

ライフスタイルが変われば、起こりうるリスクも変わります。ライフスタイルが変化した際には将来に向けたライフプランの軌道修正をすると同時に、「リスクへの対策」を見直すことが重要です。

リスク対策における保険の強み

「もしも」に備える手段として「保険」が考えられます。医療保険であれば、病気になった場合に突発的な金銭負担をカバーしてくれます。必要な治療を安心して受けることも、また特定の病気や症状に備えることも可能です。生命保険であれば、万一の場合に、保障により遺された家族がこれまでどおりの生活を送ることができます。「たとえ自分がいなくても、経済的理由で希望の進学や職業への道を諦めさせたくはない」というのが親の想いでしょう。

保険に頼らず必要な金額を貯蓄で備えることも有効ですが、目標額に達するまでには時間がかかるのが課題です。その点、保険は加入直後から保険期間内であれば、あらかじめ決められた金額が保障されているため、「万が一のときに十分な備えがなかったらどうしよう……」といった心配をする必要がありません。

保険に加入する「目的」を考える

「保険」を考えるにあたって、もっとも重要なポイントは「目的を明確にすること」です。主な目的としては次が挙げられます。

  • 【医療保険】病気に備える、成人病に備える、ガンに備える、先進医療の費用に備える など
  • 【生命保険】万一に備える(家族の生活資金、住まいの確保、教育資金、相続税納税資金) など

もともとは、「万一(死亡)に備える」目的で保険に加入することが主流でしたが、最近では医療技術の発展などにより平均寿命が延び、老後資金準備、認知症や介護への不安など「生きるリスク」を想定し、自分のための備えとして保険を活用するケースが増えています。

たとえば、35歳の方が保険金額2,000万円の終身保険に「老後資金」を目的に加入します。毎月5万円の保険料で払込期間を60歳までとすると支払期間は25年。もしもの場合には遺族が保険金2,000万円を受取りますが、60歳まで健康に過ごし払込みを終えると、総支払額1,500万円(※)を上回る資産形成ができます。
※仕組みを説明するための概算であり、運用利率や保険会社各社の商品特色によるため実際の数字ではありません。

もし途中解約した場合、解約金などのペナルティがある場合があります。ですが、保険の利息と加入期間によっては、ペナルティを差し引いても、上回った利息分が資産として増えることになります。このように保険をうまく活用することで、終身にわたる保障を維持しつつ、必要なタイミングで一部解約により取り崩して生活資金に充てる仕組みをつくることが可能になります。一般的に「保険」は長期間にわたる契約です。時間を使って積み立てる資産形成の手段としても有効です。

また核家族化により、家族のコミュニケーション不足から相続発生後に「争族」となるケースも散見されます。保険では、あらかじめ保険金の受取人を定めておくことで、遺産分割で揉めないための対策にもなりえます。

見直しの物差しになる「必要保障額」とは?

保険の目的を明確にできたら、次のステップとして「いくら」必要かを考えます。

ひとくちに「保険金は遺された家族の生活資金のため」と言っても、配偶者の働き方、遺族年金の受給の可否や受給額、子どもの人数や年齢、持ち家か賃貸か、どこに住むのか、など家族の状況はさまざまです。つまり、将来にわたる収入と今後かかるであろう支出を算出し、不足する資金額を保険で備える必要があります。これを「必要保障額」と呼びます。

具体的なモデルケースを例に、必要保障額を考えてみましょう。

モデルケースで考える必要補償額

▼モデルケース

《家族構成》
・Aさん 45歳 会社員(年収800万円)
・妻 45歳 会社員(年収350万円)
・長男 12歳 公立中学1年生 吹奏楽部
《生活費》
・35万円/月あたり(住居費除く)
《住居》
・持ち家(住宅ローンあり)

息子の中学校入学式に出かけた会社員Aさん(45歳)は、我が子の笑顔を見ながら、これから先、高校、大学への進学、就職や結婚、孫の誕生まで思い浮かべます。

「元気で働き続けられれば、これまでどおり生活できるし、貯蓄もできる。大学院まで進学したとしても教育資金は貯められるはず。結婚したときにはお祝い金を渡したい。息子が自立した後は住宅ローンの繰り上げ返済、退職時の妻との海外旅行、しばらく再雇用で働けば100歳まで資金枯渇は回避できそうだ。ただ、自分にもしものことがあった場合には、妻と長男は安心してこれまでどおりの生活ができるのだろうか…」。

なお、Aさんには5年前に購入したマンションの住宅ローンがありますが、ローン申込み時に「団体信用生命保険(団信)」に加入したため、万一の場合は保険金で残債が借入れ金融機関に支払われることになっています。団信のおかげで家族はそのまま自宅に住み続けられるので、住居費については心配しなくてよさそうです。

今後20年先、妻が65歳を迎えるまでの間に遺族に入ってくるお金、出ていくお金については、以下のとおりです。

▼Aさんが万が一死亡した場合のキャッシュフロー(妻が65歳になるまで)

【FPが解説!】ライフスタイルの変わり目は、保険見直しの絶好のタイミング

入ってくるお金-出ていくお金
= 8,082万円-9,612万円
=▲1,530万円

現時点での不足額は、約1,500万円となりました。配偶者の働き方やお子さまの進路について家族で話し合うよい機会かもしれません。次のステップとしては、この「必要保障額」に対し、どのような形で備えるのかを検討します。保険料を重視した掛け捨てタイプや貯蓄性を活かしたタイプなどさまざまです。

保険会社により特約や付加サービスも異なります。迷うこともありますが「何を優先させるのか」という観点で考えると納得のいく商品選びができます。

見直した結果、必ずしも保険を乗り換えなくてもよい

すでに保険に入っている方も多いと思います。独身時代に加入したまま、内容もわからず継続しているケース、知人に紹介された保険募集人から言われるがまま加入したケース、結婚した際に加入したケースなどそれぞれでしょう。

今の状況にあわせて将来を見据えた「保険の見直し」は重要ですが、“見直し”は決して新しい保険に入ることではなく、現在の保障を把握することです。現在の保障内容を確認した結果、このままでよいというケースも多くあります。現在の契約をベースに、不要な部分を一部解約することや不足している部分のみ新たに加入することも可能です。

新しい保険に加入する際には、契約成立を待たずに、いまの保険を早々に解約してしまうのは避けるべき行動です。そもそも保険は「相互扶助(助け合い)の精神」から成り立っており、加入者が公平であることが前提です。そのため、健康状態に不安がある場合には、保険金支払いのリスクが高いと判断され、「加入できない場合」や、割増保険料や部位不担保などの「条件付き」となる可能性があります。必ず、新しい保険の契約成立の連絡を待ってからの解約を心がけましょう。

申込みにあたっては、職業や現在の健康状態、過去の病歴や受診歴(投薬名)など正しく告知する必要があります。故意に虚偽の申告をした場合には、告知義務違反として解約解除や保険金が受け取れないこともあるので注意が必要です。

保険は高価な買い物。見直しの機会を大切に

日々の生活のなかで、なかなか「もしも」について考える機会はないでしょう。ライフスタイルの変わり目は、保険の見直しのよい機会です。長期にわたる契約である保険は、総支払額という点で人生の中でも「高い」買い物と言えます。また毎月の支出の中で「固定費」にあたり、保険料の削減は、家計見直しに効果的です。

見直しの際には、保険の「目的」と「必要保障額」を考える改めて明確にする必要があります。必要保障額を考える上では、今後の「お金の動き(キャッシュフロー)」を見える化することが有効です。

なお、「見直し」は一度きりではなく、次のライフプランの変わり目には、再度の現状把握や確認が必要です。これからをより豊かに自分たちらしく生きるために、ぜひ取り組んでみてください。

執筆:大竹麻佐子
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での勤務を経て独立。相談・執筆・講師活動を展開。ひとりでも多くの人に、お金と向き合うことで、より豊かに自分らしく生きてほしい。ファイナンシャルプランナー(CFP©)ほか、相続診断士、整理収納アドバイザーとして、知識だけでない、さまざまな観点からのアドバイスとサポートが好評。2児の母。
ゆめプランニング URL:https://fp-yumeplan.com/

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