CAR
ポルシェがチューニングを手掛けた至極の1台
メルセデスファンのみならず、マニアックなポルシェファンの問い合わせ殺到か?

今回は、メルセデス・ベンツ品川にお邪魔をしているフリーランスエディターの菅原(スガ)。じつはオールタイムスターズ(ATS)の森さんから、まだ買い取ったばかりのクルマが品川に入庫したとの情報を頂いたので、その姿をどこよりも早くお伝えしようと息巻いている訳です。
その個体とは、『ポルシェがチューニングしたメルセデス』としても知られる、あのE500。1991年~1995年の5年間に渡り製造され、その生産台数は累計でわずか10,479台。さらに日本への正規輸入台数は1,184台と記録が残っています。
当時は並行輸入も多かったため、最盛期には3,000台ほどが日本にあったと言われていますが、現在では再輸出が増え、日本に残る個体は減少の一途。
その内の希少な1台を、今回もATSの森さんからご紹介して頂きます。
菅原 森さん、今回もよろしくお願いします。
森さん よろしくお願いいたします。菅原さん、こちらが今回ご紹介する、94年式E500、ボディカラーはブルーブラックの1台です。


菅原 やっぱりフェンダーの張り出しがE500ですよね。どのような来歴を持つ1台なのですか?
森さん 日本には並行輸入で入ってきた1台ですね。その後複数のオーナーチェンジがあったようですが、コンディションは非常に良い状態です。塗装の状態からもおそらく、まったく紫外線が当たらない状況での保管をしていたことが伺えます。地下の駐車場や室内ガレージなどでしょうね。メーターやインテリアにも、まったくカビがありませんでしたから、湿気の対策もしっかりしていたと考えられます。
菅原 以前、森さんにお話しを伺った時も、E500に関してはインテリアのパーツを入手することが難しいので、購入を考えるならインテリアのコンディションが良いものが好ましい的なことをおっしゃっていましたもんね。
森さん そうですね。走行距離が10万Kmを超えていても、ドイツ車でメンテナンスをしっかりしてきた個体なら、機関、足回りをリフレッシュすればまったく問題は無いですから。でもインテリアのパーツは本当に手に入らない。だからこそ、内装の状態が良い個体を手に入れる事がおススメですね。
菅原 先ほど室内を覗かせて頂いたんですが、内装の状態も本当に良いですよね。シートも破れているところは無いし、気になる擦れや傷も見当たらない。複数のオーナーに所有されていてもこんなに状態の良い個体もあるんですね。


森さん 所有されてきた歴代のオーナーたちが、本当にこのクルマを大事にしようと思っていたことが感じとれる1台だと思います。我々も買い取りの時は五感を働かせて、そのクルマの状態を読み取るようにしているんですよ。そういう眼でクルマを観察していると、ただ保管されていただけじゃなく適度に走らせてもらっていただろうし、定期的にメンテナンスもされ、大事に乗られてきた個体なんだろうな、という雰囲気を感じ取れる時がある。そういった1台と巡り合えた時の喜びは、他に代えがたいものがあります。今回の個体は、まさにそんな1台。まれに見るコンディションの良さから、ATSで外装、内装に手を入れることは無いと思います。強いて言うならば、センターのシフトレバーの所にクラックがあったので、そこを直すのか、クルマが30年を超えて生き抜いてきた証としてそのままにするのか? その辺は、次のオーナー様にお任せしたいと思います。
気になる価格は?
菅原 今回のE500ですが、走行距離はどのくらいなんですか?
森さん 7万5000Kmです。以前にもお話しさせて頂いていますが、10万Km以下の個体では800~1,000万円ほどが買い取り額となります。しかし今回の個体は、コンディションが抜群。買い取り額もいくぶん上乗せすることになります。むやみに販売価格を上げるつもりはありませんが、買い取り額が上がれば、販売価格も上がる。その辺りのことからも、販売価格はお高めになります。
菅原 言える範囲で良いので、おおよその販売価格を予想して頂くことはできますか?
森さん そうですね。おそらく最低でも1400万~1500万円前後になるかと思います。確かに価格は高めですが、E500はメルセデスでありながらポルシェ・ミュージアムにも展示されている歴史的な1台であり、今回の個体がまれに見るコンディションの良さである事を加味すれば、それだけの価値は間違いなくあると思います。
ポルシェ・チューニングが生み出す、唯一無二の走り
菅原 今回の個体に限定した話ではなく、E500が歴史的な1台と呼ばれる所以はどこのあると森さんは思っていらっしゃいますか?
森さん こんな話をするのもどうかと思うのですが、確かにノーマルのメルセデスの直進安定性、乗り味などは確かに凄い。でもワインディングロードなどではちょっともたつく様な感じがあって、あまり私の好みじゃないんです(笑)。売っている人間の言う言葉じゃありませんよね。だから、あくまでも私の個人的な意見です(笑)。でも500E、E500は、メルセデスのEクラスとはまったくの別物。ハンドリングも素晴らしいし、クルマの傾き方というのでしょうか、全体の方向の変え方というのが普通のメルセデスとはまったく違う、やはりポルシェの手が入った特別な1台なんです。これは乗って頂ければすぐに分かると思いますし、その走りでポルシェ・ミュージアムに展示されている事にも納得ができると思います。
菅原 そんな特別なクルマのグッドコンディショな1台が入庫したんですね。ちなみにE500は年間で何台くらい買い取りのお話しがあるんですか?
森さん 何台ということは言えませんが、多くはないのが現状です。さらに残念なことに、お話が合っても、実際に車両を見に行くと、事故を起こしたであろう車両や、かなり改造されてしまった個体が多い。外装だけではなく、マフラーやブレーキなども変えられていることがあります。ATSは、車両をオリジナルな状態に戻すことが命題ですから、そのような車両を買い取ることは難しい。また、ノーマルに近い状態であっても、メンテナンスをまったくしてこなかった車両が多いのも現状です。おそらく発売から10年くらい、クルマの価格が良い具合にこなれてきた時に購入した人が、きちんと手を掛けてくれなかったんでしょうね。特別な1台でありながら、走らせればオートマで、エアコンもバッチリ効く、普段使いが出来てしまうミディアム・セダン。そんな素性も影響したんだと思います。これがフェラーリのような特別な形状なら大事にされたんだと思います。だからこそ、今現在、生き残っているクルマを大事にしていかなければと考えています。

転売され、再輸出される事態は避けたい
菅原 国外に再輸出されている話も聞きますよね。転売されることを防ぐ方法はないんでしょうか?
森さん 有効な方法は無いですね。だから、購入してくださる方を信じるしかない。ただ、やむを得ない状況で手放すこともあると思います。そんな時は、我々に声を掛けて頂きたい。お売り頂いたクルマは責任を持って直し、大事に乗ってくれる次のオーナー様への橋渡しをします。実際、30年前に購入した愛車を、次世代の人に引き継いでもらうために手放すという、ご高齢のオーナー様も増えています。そんなクルマ達を、本当にクルマを大事にしてくださる方たちのもとへ送り出すのもATSがやらなければならない事のひとつだと考えています。
菅原 海外に渡ってしまったら、もう戻ってくることはないですからね。
森さん そうならないためにも、ATSも活動していきたいと考えています。
戸賀編集長のひと言
「W124のE500、若い頃に乗って大感激し記憶があります。ミディアム・セダンなのに最高出力326PS、最大トルク48.9kgm(※注:モデルイヤーによってスペックは異なる)で、0-100km/h加速6.1秒、最高速250km/h(※注:リミッター作動)を実現。これは当時としては本当に衝撃的でした。取材で広報車に乗ったんだけど、サスペンションも駆動系もブレーキもすべての剛性が高くて、素晴らしいひと言。そんな思い出もあったから、後年、W211のE500を購入したんだけど、このW211は、クライスラーと合併した直後のモデルだったので昔のメルセデスが持っていた“オーラ”がかなり薄くなっていた(泣)。だからE500は、W124に限ります!」

メルセデス・ベンツE500
全長×全幅×全高: 4755mm×1795mm×1410mm
車重:1,700(1,730)kg
エンジン:5リッターV型8気筒 DOHC
トランスミッション:4速AT
最高出力:330(326)PS/5,600rpm
最大トルク:50.0(48.9)kg-m/3,900rpm
※( )内は後期型
文 菅原 晃

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2024年12月8日(日)パネライ大丸心斎橋ブティックにて戸賀編集長のショッピングアドバイス
【オープニングトークショー】
2024年12月8日(日曜)15時より
J PRIME戸賀編集長によるトーク後におこなわれるショッピングアドバイス(1組15分間 記念写真撮影込み)は
daimarushinsaibashi@panerai.com
に下記の必要事項をお送りください。
*11月15日(金)締め切り
・氏名(漢字・フリガナ)
・同伴者名(お一人でご参加の場合は不要です)
・電話番号
・誕生日
・ご興味のあるコレクション(ラジオミール、ルミノール、サブマーシブル、ルミノール ドゥエの中からお選びください)
パネライ 大丸心斎橋 ブティック
場所:大丸心斎橋店 〒542-8501 大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-7-1