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“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴 Vol.13

戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第12弾! 「一度はポルシェの“オープン”に乗っておかなきゃいけないと思って、ボクスターを選びました!」

2023.03.16

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戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第12弾! 「一度はポルシェの“オープン”に乗っておかなきゃいけないと思って、ボクスターを選びました!」

業業界でも屈指の “クルマ通”である戸賀編集長。数々の名車を乗り継いで来た彼が「何を基準にクルマを選んだのか?」、または「そのクルマのどこが魅力なのか?」を語ります。J PRIMEをご覧の貴兄の“今後のクルマ選び”の参考になれば…と思います。今回は再びポルシェに…でも、911ではなくボクスターにしたお話。聞き手は戸賀編集長の雑誌編集者時代の先輩、フリーランスエディターの高(「“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴」参照)です。

「ポルシェ党orスポーツカー好きを気取るなら、ボクスターは絶好の選択です」

高 イタリアの小型大衆車プントからスポーツカーに乗り替えたって言ってたから、てっきりまたポルシェ911にしたのかと思ったよ。なんでまたボクスターにしたの? ボクスターって1996年に登場して以来、世界的に大ヒットして、当時のポルシェの経営危機を救うきっかけになったことが影響したのかな?

初期型のボクスターは2.5リットルの水平対向6気筒だったので、1気筒あたりの排気量が少なく、従ってトルクに「いまいちパンチが足りない」という声を聞かれました。一方、2代目のボクスターSは3.2リットルに拡大されトルクが豊かになり、「しかも高回転まで滑らかに吹け上がる」と絶賛されていました。

戸賀 1996年にデビューした当初は、2.5リットルの水平対向6気筒エンジンのみの設定でした。その後2000年には2.7リットルに拡大。で、2004年にフルモデルチェンジした2代目が登場しました。初代の“涙目”フロントライトからフォグランプ一体化のライトに変わるなど、外観がスタイリッシュになりました。僕が買ったのはこの2代目、それもボクスターSですね。

高 そうそう、この2代目でノーマルの「ボクスター」と、280PSを発揮する3.2リットルのエンジンを積んだ「ボクスターS」が加わったんだよね。

戸賀 僕は「愛車ヒストリー第8弾!」の時にも語りましたが、996前期型911とボクスター初期型が共通する“涙目ライト”が好きじゃなかったんで、フロントライトがシャープなデザインに変わった2代目ボクスターを選んだんです。それにエンジンが拡大しパワーアップした「S」が加わったことも、購入に踏み切った理由に挙げられますね。

高 なるほどね。確かにボクスターの初期型は、996前期型と同様、フロントマスクのデザインに納得できない意見が少なくなかったからなぁ。あれっ!? 戸賀っちの華麗なる愛車遍歴で、オープンカーはこれが初めてだっけ?

戸賀 いや、「愛車ヒストリー第4弾!」で語ったとおり、MG RV8が最初のオープンカーですね。でも、MG RV8って実用性がほとんど無くて、それでいてオープンカーのくせに女性にまったくモテなかったので、あんまり良い思い出はなかったですね。その点、ボクスターは魅力的なファクターがたくさんありました。ボクスターもMGRV8も「屋根が無くて2人しか乗れなくて荷物も積めない」クルマなのですが、ボクスターの場合はその「何にも無い」ことが、逆に余裕に感じられたんです。911カブリオレの方がラグジュアリーさでは勝っていますが、余裕という点ではボクスターの方が優っていると思います。

高 ほう、余裕ねぇ…。それって、昔から戸賀っちが言ってる「オープンカーは2シーターに限る」ってヤツかな!?

戸賀 それもありますが、もっと概念的&心情的なことも影響しているかな。僕のクルマ人生(嗜好や趣味性など)においては、ポルシェ911の存在がデカ過ぎるんです。あまりにも好き過ぎるというか…。それに対してボクスターは911ほどの強い思い入れがない分、純粋に「屋根が無いこと=オープンカーの爽快感」や「ミッドシップのピュアスポーツ=気持ち良い走り」をダイレクトに楽しめたんじゃないでしょうか。

高 う〜む。よく解らないようで、実はよく解るよ(苦笑)。戸賀っちのその気持ちを鑑みると、クルマって「溺愛の一歩手前」の車種を選んだ方が幸せになれるってことなのかな。さて、それでもまだボクスターを選んだのか、ちょっと合点がいかないなぁ…。

戸賀 前回のフィアット・プントの時に、当時はMEN`S EX編集長だったこともあり、今は亡き徳大寺有恒さんと懇意にさせていただいたことは話しましたよね!? その徳大寺さんが「クルマはロードスターから始まったのだ」とおっしゃっていたんですよ。だから、クルマ好きを自称するなら、一度はロードスター=オープンカーに乗っておかないといけないと思ったんです。で、ボクスターの2代目の前期型にしました。購入したのは確か、2004年か2005年の夏の終わりか秋の初めだったと思います。というのも、ポルシェって秋口にモデルチェンジをする傾向があって、僕はその期に新車の売れ残りを買ったから。ボディカラーは白、内装は黒、左ハンドル、ティプトロのボクスターSですね。

2代目のボクスターS。戸賀編集長が載っていたのは、ボディカラーが白、内装が黒というコンビネーションでした。戸賀編集長曰く「ボクスターはオープンボディ専用設計なので、屋根を開けても閉じてもカッコいい」とのこと。オープンカーを選ぶ際、この戸賀編集長の言葉を思い出して下さい。

高 あらっ、戸賀っちにしてはティプトロなんて珍しいね。で、ドライビングインプレッションを含む、クルマの評価はどうだったのかな?

戸賀 ボディそのものも、ハンドリングも剛性はがっちりしていて、非常に硬派な印象でしたっけ。それでいてワインディングを走るとノーズがすいすいって曲がる方向に入っていくので、とても軽快で気持ち良かったのを覚えています。ティプトロでも十分に楽しかったですよ。むしろ、街乗りではティプトロは楽チンでしたね。それに女性ウケが格段に良かったのも、ボクスターの魅力と言えるでしょう。女性って911もボクスターも区別無く、単に「ポルシェのオープンカーだ💓」と感激してくれるんですよ(笑)。

高 へ〜、大絶賛じゃないか。それなのに、半年ほど乗って手放してしまうんだよね。どうして?

戸賀 ん〜む、決定的だったのは、キャディバッグが乗らないってこと! いや、ボクスターにキャディバッグが乗らないというのは、歴然とわかっていたんですけどね。また、その当時ポルシェがボクスターに積めるキャディバッグを作っていたことも知っていたんですけどね…。もちろんそのボクスター専用キャディバッグは買いませんでしたが…、「それでもボクスター1台でなんとかなるんじゃないか」と無理に自分を納得させて乗り続けていたんですが、やっぱり半年で破綻をきたしてしまいました(苦笑)。それと、ボクスターに乗ったことによって、「ポルシェのラインナップの中にヒエラルキーがある」ってことを再認識してしまったんです。ボクスターの「S」に乗っていたにもかかわらず…。

高 ポルシェの中のヒエラルキーって、戸賀っちが911の時によく話していたヤツのこと? 911カレラ<911カレラS<911GTS<911ターボ<911ターボS…というオーナーだけが感じてしまう序列のこと?

戸賀 そうです。ボクスターの場合はもっと簡単な「ボクスター<911」なんですけどね。街中を運転していてそれを痛感してしまったことが、手放す決意を促進させたと思います。

高 う〜む、やっぱりポルシェ好きは911に思いが集約されるのかな。そして、やっぱり2シーター・オープンにはもう1台、足代わりのクルマが必要になるのかな。

戸賀 でもね、ボクスターに乗っていてもう一つ痛感したのは、ボクスターは紛れもなくピュアスポーツカーであるってこと。運転していて楽しいし、見た目もカッコいいし、女性にもウケるというのはスポーツカーの証しと言えるでしょ!! それも正真正銘ポルシェのスポーツカー! だから、スポーツカーが好きな人、ポルシェが好きな人には絶対お薦めの1台だと思うんです。昔も今も!

高 なるほど。ボクスターに満足できなかったのは、戸賀っちがあまりにもクルマヲタ=ポルシェヲタ=911ヲタだったからとも言えるでしょう。さて、そんな戸賀編集長はボクスターを手放した後は、ガラリと方向転換したラグジュアリーSUVに魅了されるとか。それは次回にお聞きしましょう。

文 高 成浩(POW-DER)

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