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“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴 Vol.11

戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第10弾! 「僕のなかで“メルセデスの分岐点”となった2台」

2023.01.29

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戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第10弾! 「僕のなかで“メルセデスの分岐点”となった2台」

業界でも屈指の “クルマ通”である戸賀編集長。数々の名車を乗り継いで来た彼が「何を基準にクルマを選んだのか?」、または「そのクルマのどこが魅力なのか?」を語ります。J PRIMEをご覧の貴兄の“今後のクルマ選び”の参考になれば…と思います。今回はMEN`S EX編集長時代に乗った、メルセデス・ベンツ2台の話です。聞き手は戸賀編集長の雑誌編集者時代の先輩、フリーランスエディターの高(「“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴」参照)です。

「ワゴンって、乗っているライフスタイルが出るクルマですよね」

高 プジョーの小型車を2台乗り継いだあと、メルセデス・ベンツのワゴンに乗るんだよね!? アウトドアとかをやらないあなたが、どうしてまたワゴンを選んだの?

戸賀 30歳半ばは世界文化社のラグジュアリー男性誌『MEN`S EX』の編集長を務めながら、『メルセデス マガジン』の編集長も兼任していました。だから、あの当時はめちゃくちゃに忙しかったのを覚えています。そのせいもあって、自分としては“クルマ離れ”的な気持ちになっていました。う〜む、本当に欲しいクルマが見つからないというか…。そんな時に、メルセデス・ベンツの良い出物があったんです。それがE500のワゴンだったんですよ。走行1000km未満でほとんど新車のようなコンディションなのに、凄くリーズナブルだったから“即決め”しちゃったんです。

単に「小さいボディに大きなエンジンを搭載」しただけでなく、サスペンションもトランスミッションもステアリングもブレーキも、きちんとポルシェが手がけた1991年デビューのW124型E500。戸賀編集長は若い頃に乗って大感激したとか。

高 俺らの世代はE500というと、1991年デビューのW124型E500の思い出があるからなぁ。なんたってポルシェが作ったE500だからねぇ! ポルシェは重くてデカい5.0リットルV8エンジンを積むにあたってバッテリーをトランクに移設して戦後重量配分を改善したり、ブレーキや排気システムを大幅に変更したり、前後フェンダーとバンパーを専用デザインにしたり…。E500の開発の90%も手がけたそうじゃんか。

戸賀 ミディアムセダンが最高出力326PS、最大トルク48.9kgm(※注:モデルイヤーによってスペックは異なります)で、0-100km/h加速6.1秒、最高速250km/h(※注:リミッター作動)を実現していたというのは当時としては衝撃的でしたね。取材で広報車に乗りましたが、サスペンションも駆動系もブレーキもすべてが剛性が高くて、素晴らしいクルマでしたね。

高 そうそう、モータージャーナリストの吉田 匠さんと一緒にE500で走りに行ったんだけどさ、撮影の時にカメラマンとコーナーに陣取っていたら、もの凄いスピードで迫ってくるわけさ。吉田 匠さんも絶賛していたっけなぁ。そういう思いもあって、今さらながらE500を選んだのかな?

戸賀 いやいやいや、それがですね〜、僕が買ったE500(W211)はクライスラーと合併した直後のモデルだったもんですから、昔のメルセデスが持っていた“オーラ”がずいぶんと希薄になっていたんですよ。1991年に乗った時のような感動はなかったんですよ(泣)。W124のE500とはまったくの別ものです。ステアリングもトランスミッションもブレーキも剛性が低く感じました。周りの人からの反応もイマイチでしたね。ですが、当時、ワゴンブームがそろそろ終焉を迎えていたこともあって、ワゴンがモテ度に影響していたかどうかわかりません。そもそもワゴンは僕の中ではトレンド外…つまり、ワゴンに乗る人のライフスタイルがカッコいいのであって、ワゴンそのものがカッコいいとか思ったことはありませんから。アウトドアをやらない僕にとっては、バリバリにアウトドアをやっていてワゴンの機能&キャパシティを存分に使いまくっている人って「やるな〜!」と憧れますし、そういう人が乗ってるワゴンってカッコいいですよ。それに比べて僕は、キャディバッグを積んでゴルフに行くのがせいぜいでしたから(笑)。

W211型のEクラスのワゴン(※注:本文の会話では「ワゴン」となっていますが、正しくは「ステーションワゴン」です)。「後席の背もたれを半分だけ倒せば、キャディバッグ3個を縦積み出来るキャパシティはとても便利でした」と、戸賀編集長は当時を振り返ります。写真はE350ですが、戸賀編集が選んだのはE500で、しかもボディカラーはシルバーでした。

「初めてのAMG。このクルマはとても気に入ってましたね」

戸賀 そんなこんなで、E500ワゴンは半年くらいで手放してしまいました。で、次に選んだのが、AMG CLS55です。

高 えっ? またCLS? ちょっと前にも乗ってたんじゃなかったっけ!? そして、銀座の女性に「まるでプロ野球の人気球団の若手選手みたい」って、現実を悟らされたんじゃなかったっけ?(笑)。

戸賀 それはCL500。銀座の女性の痛烈なひと言で、カッコいいクルマ選びとかっこ悪いクルマ選びを痛感し、その後にCLSを買ったんですけどね。CLSは質実剛健なメルセデスのラインナップの中で唯一、“色気”を持ったクルマとして気に入ってたんですよ。でも、そのCLSは色が渋いグリーンメタだったのが玉にキズ! だから、今度は流行色のCLSにしてもいいかなと思ったんですよ。MEN`S EXとメルセデスマガジンの編集長を務めていたこともあって、「人気車種のAMGに乗ってもいいだろ!? それも大人気のパールホワイトに!」と決断したってわけです。

W219型のAMG CLS55。写真はボディカラーがシルバーですが、戸賀編集長は当時の大人気カラーのパールホワイトをチョイス。「AMGだから男性のクルマ好きにウケが良かったし、パールホワイトは女性にモテましたよ」と笑う戸賀編集長。

高 あの時代のAMG CLS55(※注:発売当時は「CLS55 AMG」と表記)というと、W219だね。エンジンは5.4リットルのV8で、それをスーパーチャージャーで加給して、最高出力は476PS/6100rpm、最大トルクは71.4kgm/2650〜4000rpmか。20年近く経った今でも、凄いスペックだね。

戸賀 僕は前回のSL→CL→CLSと乗り継いだことと、今回のE→AMG CLSと乗り継いだことで、2つのことがわかったんですよ。ひとつは「クルマ選びには車格と排気量がマッチしていなければいけない」ってこと! つまりフラッグシップの2座スポーツであるSLはSL500が相応しいけど、中間グレードのCLSなのにCLS500を選ぶのは無駄に感じる…それを銀座の女性は見事に見抜いたわけです。だから、今回のEはE350でも良かったし、セダンでも良かったんです。でも、出物がE500ワゴンしかなかった…そんな妥協が周りの人には不評だったし、自分自身も満足しなかったんでしょう。逆に、スポーティかつラグジュアリーなAMGとはベクトルが違うんですね。改めてAMGはメルセデスの上なんだなと感じ、別格としてAMGが存在しているのだなと。だからこそ僕は大満足だったわけです。

高 う〜む、相変わらず鋭いクルマ選び! で、もうひとつは?

戸賀 もうひとつは、やっぱり僕は「メルセデスが好き」だったってこと。いや、好き“過ぎる”かもしれません。だって、当時メルセデスマガジンの編集長をやってれば、嫌っていうほどメルセデスのクルマを目にするのに、自分のクルマとしてメルセデスを選んじゃうんですから(笑)。

高 メルセデスのブランド性、すなわちクルマ作りへの姿勢などが唯一無二のものであるから、そんなにものめり込むことが出来るんだね。でも、この次に意外過ぎるクルマに乗るし、さらにはのめり込むブランドがもうひとつ増えるんだよね。それについては次回にお聞きしましょうか。

文 高 成浩(POW-DER)

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