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時計遍歴を根掘り葉掘り聞いてみました!
腕時計、戸賀の着け方、買い方、選び方
本格時計は男の素性をさり気なく伝えてくれる大事なアイテム。自分のライフスタイルをランクアップさせることはもちろん、仲間と楽しむコミュニケーションツールとなるスペック、それに継承するに値する資産価値を備えたモデルが理想だと、J PRME編集長 戸賀は考えます。時計選びにおいてそのロジックを完全に実践する戸賀編集長のコレクションの一部をご紹介。
名品時計が入手困難な時代だからこそ所有する喜びが増す
男には吟味を尽くすべきアイテムがあり、特に一緒に仕事をしたり余暇を楽しむことを支えてくれる相棒は、入念に選び出す必要があります。その代表例となるのがクルマや靴。自分らしく活動するためのアイテムとして、趣味嗜好に合致した相棒を持つことは非常に大事。それによりさらに人生が価値あるものとなるからです。J PRIMEの司令塔である戸賀編集長も、クルマと靴に相当こだわりを持つエンスージアスト。そんな目利きが、もうひとつ重要な相棒を持つべきと常に語っているのが本格時計です。与える印象やラグジュアリーを演出することはもちろん、ファッションにおいても時計は重要だと主張します。
「後生大事に一本だけというのは論外だし、いかにソレが高級時計であっても、服やTPOに合わないといけないですし、できればリッチさも演出したい。ドレス、スポーツ、ドライブやデートなど、複数本揃えておくのが理想と言えるでしょう。全身スウェットなのに時計だけ一級品であれば、“時計が歩いている人”に見られ、リッチなオジサンとは程遠い世界観に。ですがその日、シーンにあった本格時計が手首から覗けばセンスをアピールすることが可能です。例えば僕はスーツならロイヤルオークかノーチラスを。カジュアルならCODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ、ウブロ、サブマリーナといったように着けわけています。僕は年に数本のペースで新しい時計を購入するようにしていましたが、昨今は入手困難なご時世でもあるため、出会ったときに…!ということも意識していますね」
もちろん、高級であればどんな時計でも良いというワケではありません。
「歴史に名を残す傑作やプロダクトとしてエポックメイキングなスペックを持つもの、それに希少性が高くコミュニケーションツールとなるモデルなど、しっかり背景や素性を見極めセレクトしなければ飽きてしまう」とも戸賀編集長は語ります。
「名品の定義はそれぞれです。しかし要約すると長年作り続けられていて、なおかつマニアや専門家からしっかりお墨付きをもらっていることが大事。そういったアイテムはオーナー同士でアレコレ語り合うことができる奥行きを備えています。時計繋がりの仲間ができたりするのも、名品時計の良いところ。また、クルマと違って時計は子供などに継承することが世界的にも一般的。そういった意味でも資産価値という側面を十分考慮しチョイスする視点も大切だと思っています」
SSケースに当時として最も薄い自動巻きムーブメント、キャリバー「2121」を搭載した名作
J PRIME読者であれば、既にご存知かと思われますが、1972 年に誕生したロイヤル オークは、ラグジュアリースポーツウォッチという新たなジャンルを作った時計史に残る大傑作。防水性、デザインはスポーツウォッチを凌ぐ機能を持ち、厚みをおさえたケースは、まるでドレスウォッチのような、クオリティと高級感を備えます。また、一貫してハンドメイドにこだわり続けるモデルは今年50周年を迎え、さらなる注目を集めています。
「『ロイヤルオーク ジャンボ エクストラシン』は、ステンレススチール製のケースに当時として最も薄い自動巻きムーブメント、キャリバー「2121」を搭載した名作として知られています。当時はセンセーショナルだったロイヤル オークも、発表から既に50年が経過し、いよいよクラシックな領域に突入。誰もが手に入れたいと願うロイヤル オークですから、身につけていれば周囲の人がうらやむことはまず間違いありません。とはいえ、最高峰の一本をTシャツやスウェットなど、ラフなスタイリングで身に着けるのは避けるべき。きれい目のジャケット、スーツに、上質なニットに合わせるなどドレスっぽい香りがあった方がいい、そんなエレガントさとロイヤルオークは相性がいいんです」
どんな服にも上品にハマりながらワル目立ちしないところが実に秀逸
「約4年前のスイス・ジュネーブサロン取材のときに『CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ』と対面。手に取ってみた瞬間に、この新世代ウォッチのポテンシャルの深さに気づき、一気に虜になってしまいました。当時、関係者の多くも話題にしていたのをよく覚えています。そして、すぐに購入したのがクロノグラフ。と言っても納品まで半年は焦らされましたが(笑)。手に入れたときは、取引先、友人などからの視線をビシビシと感じ、その都度、CODE 11.59の魅力を解説。コミュニケーションツールとしての高いポテンシャルもさすがはオーデマ ピゲだと感じましたね。コンセプトの着想から、仕上げに至るまで、最先端の技術と受け継がれてきた職人技の調和によって生み出された『CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ』は、一見シンプルながらも、ディテールに唯一無二な仕様が施されている。そして、アイテムを選ばず上品にハマりながらワル目立ちしないところも秀逸」
「『CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ』は今や、オーデマ ピゲの中でもロイヤル オークに続く人気モデル。新作にして矢継ぎ早にニューモデルを追加するのは、世の中から認められている証拠なんです。僕は、新世代ラグスポと対峙したいと考え、クロノグラフ購入した後にあえてベーシックな三針を購入しています。三針モデルは言わばスッピンですから、仕立ての良さが勝負どころ。この一本はケース形状、数字やロゴを含めた文字盤のデザイン、風防と視認性の関係など、まさに完璧です。何よりも僕が手に入れた三針モデルにおいてはバーガンディという色みが最大のポイント。非常にエレガントで色気があり、その美しさは言うまでもありません。何より僕が持っているエルメスのバッグも、オールデンも同じくバーガンディカラーでこれらと合わせるのがベストですが、差し色として使っても悪目立ちしないところが一番気に入っています。コーディネートする楽しみも増やしてくれたと思っています」
時計で向き合う人へのリスペクトを表現できることを知った
1976年にステンレススティール製の防水ケースを備えた時計として登場し、高級時計の概念を一新した「ノーチラス」。舷窓からインスピレーションを得たオリジナリティあふれるケースや水平エンボス文字盤などにより、パテック フィリップならではのカジュアル・エレガンスを体現。「Ref.5980/1A」は、そんな“ 買えない時計”の代表格であるパテック フィリップの「ノーチラス」のフライバッククロノグラフ版。6時位置に同軸のクロノグラフ計を配しており、ワンカウンターゆえに非常にエレガントな顔つきとなっています。SS ケースは、現行のラインナップからは外れており、現在は金無垢かコンビのみの展開となっています。
「経営者の先輩としても尊敬する義父が自分の起業の記念にプレゼントしてくれたもので、そのストーリーも含めて、まさにお守りのようなモノ。名作が持つオーラは尋常ではなく、50代となった今、ようやく似合うようになったのではないかと思っています。クライアントと回るゴルフの往来の際、格式ある時計を着けることは相手への敬意を意味します。そのことを気づかせてくれたのもまた、この時計なんです」
業界初となる年次カレンダー搭載モデル
1996年に発表され、年次カレンダー・コンプリケーションの祖とされる「5035」。3時位置に月、6時位置に24時間表示と日付、9時位置に曜日表示を備えます。当時シンプルな3針モデル以上の高級時計を欲していたパテックフィリップファン。そんな彼らに複雑なカレンダーウォッチを提供することに成功した記念碑的モデルとしても有名。
「ホワイトゴールドのケースにレアなサーモンカラーダイヤル。敬愛するプロゴルファーであるグレッグ・ノーマンも所有するモデルとくれば、その想いも別格に。今後、何があっても手放したくないですね」
防水性能4000M! ラグジュアリーダイバーズの先駆け的モデル
ウブロ史上最大級の48㎜というケース径を持ち、水深4000mもの水圧に耐える潜水能力を備えた「キング・パワー オーシャノグラフィック4000 チタニウム」。高い水圧からリューズを守る特殊なガードを備え、潜水時間の目安となる回転ベゼルは、2時位置のリューズで操作。
「オーバースペック且つ、贅沢なディテールを備えたラグジュアリーダイバーズの先駆けともいえるモデルで、他のウブロのモデルとは違う硬派な魅力に一目惚れ。2011年当時、4000m防水の時計は驚異的で、どうしても欲しいと思っていたら…妻が誕生日プレゼントとして贈ってくれたんです」
価値が急騰したRef.16520の最終品番とされる2000年Pシリアル
1963年に誕生した「コスモグラフ デイトナ」は、時速計測ができるタキメーター目盛りをベゼルに刻むことでスポーツマインドを刺激するデザインが特徴となっています。手巻きキャリバーを搭載していた「コスモグラフ デイトナ」が、88年から自動巻き化を実現したRef.16520は、毎時3万6000振動のベースムーブメントの振動数を毎時2万8800振動に抑えることで耐久性を向上させたCal.4030を搭載。戸賀編集長所有モデルは、2000年に後継機Ref.116520が発表されたあと、価値が急騰したRef.16520の最終品番とされる2000年Pシリアル。6時位置の夜光表記がルミノバ夜光へと変更後のためTの表記が消えて『SWISS MADE』に。
「23年前、当時『メンズエクストラ(のちに戸賀が編集長となりメンズイーエックスに)』の副編集長を務めていた時にグアムのカロネル・ウオッチ・センターで購入したもので、この時計を買うためだけに月に二度、弾丸ツアーでグアムに行くハメに(笑)。結果として、幸運にも黒文字盤と白文字盤の2本の「コスモグラフ デイトナ(当時日本円でそれぞれ60万円くらい)」を購入することができたのですが、いま思い返してもなかなかの大冒険でしたね。今では、このメモリアルなストーリーも含めて自分にとっての宝物となっています」
自称“白の伝道師”としても、所持したい時計としても外せない白デイトナ
カーレースのために生まれたクロノグラフである「コスモグラフ デイトナ」の大きな特徴のひとつが、トレードマークであるタキメーターベセルです。2016年に登場したRef.116500LNでは、「コスモグラフ デイトナ」のステンレススチールのモデルでは初となるモノブロック セラクロム製のタキメーターベゼルを搭載したことで話題を集めました。究極の計時ツールにふさわしい永遠に美しさを保つタキメーターベゼル。この新しいタキメーターベゼルが作り出すスタイルは、ブラック プレキシガラス製のベゼルインサートが取り付けられた手巻き時代のデイトナを彷彿させます。美しさはもちろんのこと、耐蝕性と耐傷性に優れ、紫外線による影響を受けにくいことからも分かるように、強度の面においても右に出るものは見当たりません。ブラックのベゼルが加わることで一段と端正な顔立ちに仕上げた「Ref.116500LN」は、ホワイトとブラックの2色のダイヤルで展開されています。
「2018年に購入したもの。自称“白の伝道師”を謳っていますが(笑)。そのきっかけとなったのが、この白デイトナ。歳を重ねてから纏う白は合わせるアイテムを間違えなければ決してチャラく見えない。特に時計においては、簡単にリッチと大人の奥行きを演出することができるアイテムだと、この白デイトナが教えてくれた気がします」
60代から難しいイエローゴールドをつけこなすために
1953年に発表されたオリジナルモデルの特徴を忠実に継承し、2020年に発表された新世代サブマリーナー。ケースサイズは40mmから41mmに変更され、Cal.3235搭載。さらに文字盤6時位置には王冠マークが追加されています。ブルーセラミック製セラクロムベゼルインサートを備えた逆回転防止ベゼルとオイスターブレスレットにロイヤルブルーダイアルといった仕様がなんともゴージャス。大人にこそ相応しい逸品となっています。
「3年前にラスベガスでこの時計を見つけて、その場で購入しようと思ったんですが、調べてみたら日本で買う方が少しお得だったんです。で、その場はグッと堪えて、帰国していざ購入しようと思ったら、コロナ禍も影響して、なかなか納品されず…。それから3年、待ちに待ってようやく入手したのがこちら。若造のソレとは一線を画すズッシリ重みのある金無垢サブマリーナーは、50代の現在、着こなしのアクセントの究極版として最高に重宝しています」
まだまだ所有したい時計はあるそうで、常に出会いを待っているのだとか。さまざまな時計を所持している戸賀編集長ですが、決してコレクションで終わるのではなく着こなしやシーンに合わせて着け変えています。傷に神経質になるわけでもなく、ブレスとの重ね付けも実践。今回ご紹介したものも一部なので、新たに“出会った”時計も含めて再び紹介していきます!
※時計はすべて本人私物、写真は本人ブログ
文 J PRIME編集部
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