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TOGA×PORSCHE Car Impression

戸賀編集長が語るポルシェ・インプレッション〈緊急試乗〉「ポルシェ好き&スポーツカー好きは、絶対ボクスターに乗るべき!」

2022.09.18

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戸賀編集長が語るポルシェ・インプレッション〈緊急試乗〉「ポルシェ好き&スポーツカー好きは、絶対ボクスターに乗るべき!」

911タルガ4→パナメーラ ハイブリッドに続き、ポルシェの緊急試乗の第3弾は718ボクスターTです。ポルシェのミッドシップ・ピュアスポーツカーの印象を、ちょっと独断と偏見が入った“戸賀目線”で語ります。聞き手は彼の雑誌編集者時代の先輩、フリーランスエディターの高(「“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴」参照)です。

「やっぱりオープンカー専用設計のボクスターは美しいし、楽しいですね」

高 今回ポルシェジャパンにお借りしたのは、718ボクスターTです。広報担当者の方から「6速マニュアルトランスミッションですが、大丈夫ですか?」って、心配されちゃいましたよ(笑)。

戸賀 (笑)。944ターボに始まり、何台もMTを運転してきましたよ!(笑)。

高 まぁ、それを見越して、わざわざマニュアルトランスミッションを用意してくれたんじゃないの。それも“走りを楽しむ”ために走ることを象徴する「T」を!

気軽にピュアスポーツドライビング&オープンエアモータリングを楽しめるのが、718ボクスターTの魅力です。そんなカジュアルなクルマのキャラに合わせ、戸賀編集長はいつもよりはラフ&カジュアルなファッションでコーディネート。で、シートに座るや否やGTスポーツステアリングホイールに付いた走行モードスイッチを操作して「スポーツプラス」に変更!

戸賀 ポルシェの「T」と言えば、すぐに911のナロー時代…1968〜1973年までの6年間に生産・販売されていた低出力版・廉価モデルの「911T」を思い出します。「低出力・廉価モデル」と言っても、レース活動に積極的だったポルシェがプライベーターたちにレースマシンのベース車として提供していただけで、基本的には当時のハイグレードの911Sと変わりませんでした。「どうせレースの際には交換するパーツのみ簡素なものを装着しとけばいいだろ」っていう、極めて走りを意識したモデルです。それから50年近く経った今、718ボクスターに「T」がラインナップしたのは、ポルシェがいつの時代も走りを、ピュアスポーツドライビングの楽しさを忘れていないという証ですね。

高 お〜、まさにそのとおり! この718ボクスターTは水平対向エンジンをドライバーのすぐ後方に低重心にマウントし、車高をPASMシャシーによってさらに20mm低く設定。そしてドアハンドルをストラップにしたり、ポルシェコミュニケーションマネジメント(PCM)を標準装備から削除したりして軽量化を図っているんだ(※注:実際にはベースのボクスターより15kg増)。そうすることで極めてダイナミックかつピュアな走りを実現しているってわけ。そんなピュアスポーツカーの718ボクスターTを運転してみて、どんな印象を持ったのかな?

戸賀 ボクスターはオープンモデルとして設計・製造されたクルマですから、オープンカーとは思えないほどのボディ剛性と、それがもたらすしっかりとした走行性にはなんら問題はありません。僕はずいぶん前にボクスターを2台乗っていたんですけどね…久しぶりに新しいボクスターに乗ってみて、改めてボディ剛性の素晴らしさに感動しましたよ。この718ボクスターTの評価ポイントはズバリ、エンジンに尽きると思いますね。

ドアを開けるとサイドシルに「Boxster T」のロゴが! そのほかリアやタコメーター中央にもロゴが入り、“走りを楽しむ”ためのクルマであることを主張しています。

高 718ボクスターTのエンジンは、2リットルの水平対向4気筒ツインターボだよ。で、最高出力は300PS、最大トルクは380Nmを発揮し、0-100km.h加速は5.1秒、最高速度は271km/hを実現。俺が試乗した印象としては、低速トルクがちと細いかな!? 信号待ちからの発進では、何度かエンストこいちまったし、2速のまま右左折で曲がろうとしたらストール寸前になっちまったよ。

戸賀 えっ? トルクが細い!? エンスト? 僕はそんなことは全然なかったですよ。高さんのクラッチミートが雑だったんでしょ!!(笑)。高さんが昔乗っていたR32GT-Rのニスモ強化クラッチみたいにスパッと繋ぐんじゃなく、ポルシェのクラッチは女性と手を繋ぐように優しくそっと扱わなきゃ!…というのはさておき、718ボクスターTのエンジンについて語りましょうか。スポーツカーのエンジンというのは、まず「速いこと」が前提です。その点ではボクスターTは300PSもあって吹け上がりもよく、「速さ」では合格点を付けることができます。次に「味付け」という要素があります。

高 「味付け」? 塩・コショーとか???

戸賀 そういうボケをかますと思っていました(苦笑)。スポーツカーのエンジンっていうのは速さはもちろんですが、ドライバーが運転中に感じる「味」っていうのも大事なんですよ。サウンドとかレスポンスの良さとか、低回転からグ〜ンと乗ってくる感じとか…。それこそ専門誌の試乗レポートで、多くのモータージャーナリストが40年間アレコレ表現してきた「味」ですよ。718ボクスターTのフラット4に、はたしてその「味」があるのかどうかが、評価が分かれるところですね。

ボクスターTには「GTスポーツステアリングホイール」が標準で装備。スポーツシートはスライドが手動で、リクライニングが電動です。

高 う〜む、そういう持って回った言い方をするってことは、戸賀っち的には718ボクスターTの印象は良くなかったのかな?

戸賀 いやいやいや、逆に良すぎたのかもしれません。さっきも言ったように十分に速いし、吹け上がりはシャープだし、レスポンスも良いし…でも、言い方を変えるとソツがないと言うか、優等生過ぎると言うか…。ボクスターの不利なところは、同じポルシェの中に911(=フラット6)という超々魅力的な存在があることです。何台も911を乗り継いできた僕としては、「いけない」とわかっていても、つい911とボクスターを比較してしまうんです。

高 なるほど。戸賀っちみたいに911ヲタ&エンジンヲタではない一般の人なら、718ボクスターTのエンジンは素晴らしいことこのうえないってワケだね。

戸賀 そのとおり! この718ボクスターTはピュアスポーツドライビングの素晴らしさを、オープンエアモータリングの楽しさを、そしてポルシェというブランドの良さを知るには格好のクルマです。クルマ初心者の若い人にぴったりのスポーツカーだと思います。また、「俺ったらスポーツカーのことを知ってるもんね」と豪語しているリッチなオジサンも、改めてボクスターに乗ってみると新しい発見があると思いますよ。

Porsche 718 Boxster T
●エンジン:2リットル水平対向4気筒ツインターボ
●最高出力:300PS/6500rpm
●最大トルク:380Nm/2150〜4500rpm
●全長×全幅×全高:4379×1801×1264mm
●車両重量:1350kg
●価格:¥9,210,000〜(税込)

ポルシェジャパン
https://www.porsche.com/japan/jp/
※外部サイトに移動します

撮影 北畠主税
文 高 成浩(POW-DER)

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