実用化,自動配送ロボット
(画像=JHVEPhoto/stock.adobe.com)

2021年は、日本における自動配送ロボット元年となる可能性があります。自動配送ロボットが普及すれば、私たちの暮らしがさらに便利になるだけでなく、人手不足や少子高齢化などの社会課題の解決につながるといわれています。この記事では、自動配送ロボットの展望と課題を経営とテクノロジーの視点から解説します。

自動配送ロボットの実験は始まっている

日本でもすでにさまざまな企業が、自動配送ロボット(UGV:Unmanned Ground Vehicle)の実用化に向けた実験をはじめています。特に注目したい3社の事例を見てみましょう。

楽天

実用化,自動配送ロボット
画像引用:楽天 プレスリリースより

楽天は2020年12月から、神奈川県横須賀市と連携して、自動走行ロボットで店舗から自宅まで商品を配送する実証実験を進めています。

この実験にはパナソニックが製造した機体が使用され、最大で時速4キロメートルの速度で走行することが可能です。楽天は、機体から5キロメートル離れて遠隔監視しながら、障害物への対応力を検証するとしています。

自動走行ロボットを活用することで、宅配業務に必要となる人員を減らし、物流の人手不足を解消することが期待できます。2021年前半には、「西友 馬堀店」で自動走行ロボットを使った配送サービスを期間限定で行う計画です。

【参考】 楽天「楽天と横須賀市、自動配送ロボット(UGV)によるスーパーからの商品配送サービスの実現に向けた公道走行実証実験を開始」

日本郵便

実用化,自動配送ロボット
画像引用:日本郵便 プレスリリースより

日本郵便は、2020年10月までに自動走行ロボットを使った配送の実験を実施しました。実験では、荷物を受け取ったロボットが700メートル先の郵便局まで、通行人や電柱をうまく避けて走行することに成功しています。使用されたのは、東京・文京区でロボット開発を行っているZMPの「DeliRo(デリロ)」。同ロボットは、最高で時速6キロメートルで走行することが可能です。

日本郵便は、配送ロボットの導入を通じてコロナ禍で高まっている非接触ニーズと、物流業界で深刻となっている人手不足という2つの社会課題を解決したいと述べています。実証実験終了後は、安全性の確認が完了次第、3年以内の実用化することを目指しています。

【参考】日本郵便「日本初!物流分野での配送ロボットの活用に向けた公道走行実証実験」

パナソニック

実用化,自動配送ロボット
画像引用:パナソニック プレスリリースより

楽天にも自動配送ロボットを提供しているパナソニックは、2020年12月から2021年3月まで神奈川県藤沢市内の“サステナブル・スマートタウン”で自動配送ロボットの実証実験を計画しています。そして、2021年度中には有償でのサービス開始を目指しています。

2月から3月にかけて行う実験では、自動配送ロボットの配送実験だけでなく、「スマートフォンのアプリを通じた時間や配送先の指定と受け取り」「ロボットを介した遠隔コミュニケーション」といった、同社が構想する新しいサービス体験を検証します。

【参考】パナソニック「小型低速ロボットによる住宅街向け配送サービスの実証実験をFujisawaサスティナブル・スマートタウンで実施」

自動配送ロボットに課題はあるのか?

便利な自動配送ロボットですが、ビジネスに導入するにあたっては以下のような2つの課題があります。

・交通上の安全性を確保する必要性がある
自動配送ロボットは公道を走ることを想定しているため、人や自動車と接触する危険性があります。低速で走行することはもちろん、遠隔監視などの取り組みを徹底し、安全性を確保する必要があります。

・人件費が高騰していく懸念も拭えない
自動配送ロボットの運用に当たっては、常に担当者が遠隔で監視し、必要に応じて現場に応援要員を出せる仕組みが導入される予定です。ひとりの監視員が担当するロボットの数次第では、多額の人件費が発生すると予想されます。

欧米の一部地域ではサービスを開始している

欧米の一部地域では、すでに自動配送ロボットを使ったサービスが展開されています。たとえば、米ドミノ・ピザは、2016年にロボット開発のNuroと提携を発表。自動配送ロボットでピザを宅配するサービスを開始し、大きな話題となりました。

そのほかにもドイツや中国、アメリカなど、多くの地域で実用的なロボットの開発が進んでいるため、配送分野でのロボット活用は今後さらに増加するでしょう。

自動配送ロボットは物流の新潮流

人口減少や高齢化、新型コロナウイルスの拡大などの影響により、自動配送ロボットの活用にますます期待が高まっています。今後は、人手不足の企業や無人化を目指す業種などを中心に、ロボットの活用が加速度的に進んでいくでしょう。

文・J PRIME編集部

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