クルードラゴン,宇宙ビジネス
(画像=alonesdj/stock.adobe.com)

「クルードラゴン」は、民間が開発した有人宇宙船として初めて正式運用されたアメリカの宇宙船です。2020年11月の初号機の打ち上げには、日本人宇宙飛行士の野口総一さんが搭乗したことでも話題となりました。

クルードラゴンを開発したのは、2002年にアメリカで創業した民間企業「スペースX」です。今回のクルードラゴン打ち上げ成功は、民間企業が宇宙空間で有人ビジネスを展開する先例となったのです。

この記事では、クルードラゴンの打ち上げ成功から考える、日本の宇宙ビジネスと今後の展望について解説します。

クルードラゴン打ち上げ成功がもたらした宇宙ビジネスの飛躍とは

民間企業が開発した有人宇宙船が「クルードラゴン初号機」です。その打ち上げ成功によって、今後は民間主導による宇宙の商業利用が加速すると期待されています。

今回クルードラゴンを開発し、打ち上げたスペースXは、NASA(米航空宇宙局)と契約している座席以外を一般の顧客に販売することができます。そのため、今後は宇宙旅行やエンターテインメントビジネス(映画の撮影など)を目的に、スペースXが販売する座席を購入する民間人が出てくるでしょう。

また、民間企業による宇宙船開発の競争が激化すると予想されています。競争が生まれれば宇宙船の打ち上げ費用が低減する可能性があり、宇宙ビジネスの飛躍という意味では追い風となるでしょう。

宇宙産業は世界全体で約40兆円の市場規模

クルードラゴン打ち上げ成功は日本でも大きな話題となり、民間の宇宙ビジネスへ期待が向けられることとなりました。しかし、宇宙ビジネスの市場規模を比較すると、日本と諸外国の間にはまだまだ壁があるようです。

内閣府が公表している「宇宙産業ビジョン2030」によると、2017年時点における日本国内における宇宙ビジネスの市場規模は1.2兆円。一方で世界全体での市場規模は2019年時点で3,660億ドル(2019年末の為替レートで約40兆円)であり、日本は宇宙ビジネスの分野で諸外国に後れをとっているといえます。

【参考】内閣府 宇宙政策委員会「宇宙産業ビジョン 2030」、Satellite Industry Association「State of the Satellite Industry Report」

なお世界全体の市場規模の内訳としては、「衛星サービス」が1,230億ドル(33.6%)と「地上設備」が1,303億ドル(35.6%)と大部分を占めており、「ロケット打ち上げ」はわずか49億ドル(1.3%)にとどまっています。

このことから、レポートが示す2019年時点における民間企業の宇宙ビジネスは、あくまで衛星データの有効活用が主流といえる状況がみえてきます。ロケット打ち上げによる宇宙旅行などのエンターテインメント分野の市場規模は、世界的に見ても、まだまだ割合としては小さいようです。

日本の宇宙ビジネスのこれから

日本において宇宙ビジネスは、今後どのように発展するのでしょうか。2015年に政府が策定した宇宙基本計画では、2030年代早期までに宇宙産業全体の市場規模を倍増させることを目指しています。

そこで政府では、国際宇宙ステーションにある「きぼう」日本実験棟を民間の研究開発で利用できるようにしたり、官民一体となって宇宙ビジネスの市場開拓を目的とした「宇宙システム海外展開タスクフォース」を設置したりするなど、積極的な動きを見せています。

一方で日本の民間企業の間でも、ベンチャー企業を中心に宇宙ビジネスに本格的に注力する動きが加速しています。たとえば超小型衛星を短期間かつ低コストで生産する事業を行うアクセルスペースは、利用者が衛星データを手軽に利用できるようになることを目指して、2022年までにおよそ50機の衛星の打ち上げを目指しています。

ほかにも、宇宙資源の開発に取り組むispaceや宇宙ゴミの除去サービスを行うアストロスケールなど、有力なベンチャー企業が続々と現れています。

欧米と比べると後れをとっているものの、官民が積極的に取り組む姿勢を見せている点を考慮すると、今後日本の宇宙ビジネスは急速に市場が拡大すると予想されます。

投資対象や新規事業の選択肢としての宇宙ビジネス

日本を含めた世界全体で宇宙ビジネスの市場は拡大しています。特に、クルードラゴン打ち上げ成功により、民間主導による宇宙ビジネスの普及が期待されています。

宇宙ビジネスは今後大きく成長する可能性が高いため、投資対象や新規事業の選択肢としても有力となるでしょう。

文・J PRIME編集部

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