米国株,初心者
(画像=oben901/stock.adobe.com)

世界の時価総額の上位企業にはアップルやアマゾンなど20世紀に入って急成長を遂げた米国の巨大プラットフォーマーが名を連ねており、こうした事実からも米国株の長期のパフォーマンスは優れています。米国株投資をしないことは、ある意味で、こういった世界的企業がもたらす収益機会を損失しているといえます。

いまから米国株投資を始めても決して遅すぎることはありません。誰も最初は初心者です。今回は、米国株投資を始めるにあたって知っておきたいポイント3点を紹介しましょう。

目次

  1. 米国株の人気上昇。海外株投信の残高は急増
  2. 米国株投資のポイント1:米国株は長期的なパフォーマンスに優れている
  3. 米国株投資のポイント2:米国企業の世界での存在感は高まっている
  4. 米国株投資のポイント3:コロナバブル崩壊のリスクも織り込むべき
  5. 分散投資の観点でも有効な米国株投資

米国株の人気上昇。海外株投信の残高は急増

日経平均は2020年11月に29年ぶりの高値をつけましたが、投資マネーの流れをみると、日本の個人の投資資金は明らかに海外に向かっています。投信情報のモーニングスターによると、日本株が高値をつけた2020年11月における公募追加型投資信託(ETFを除く)の動向では、新規買付から解約を差し引いた純資金流入額が4,364億円の流出でした。特に、日本株に投資している国内株式型投信から4,575億円の流出。国内株式型からの流出は8ヵ月連続です。

一方、海外株に投資する国際株式型の投信で流入額は2020年11月で2,842億円。5ヵ月連続の流入で、5ヵ月とも流入額は投信のカテゴリー別でトップでした。つまり、日本株がひさしぶりの高値をつける段階で、多くの投資家は日本株にやれやれの売りを出し、その資金を海外株投信に向けているというマネーの流れが見えてきます。

【参考】モーニングスター「投資信託への資金流出入速報」(12月3日)

下の表は、現在の日本で純資産残高の多い公募投信のランキングです。なんとトップ5が海外株のファンドなのです。通常、私たちは日本人なので日本株の投信を買う「ホームカントリーバイアス」が強いはずなのですが、日本人が海外株投信に投資するのが当たり前になってきているのです。海外株で運用する投信の純資産残高の総額は20兆円を超えたようです。

▽公募株式投信の純資産残高ランキング

ファンド名運用会社純資産残高
1ピクテグローバルインカム株式(毎月分配)ピクテ9,411億円
2グローバル・プロスペクティブ・ファンド日興アセット8,655億円
3グローバルESGハイクオリティ成長株式(H無)アセットマネジメントONE8,654億円
4A・バーンスタイン・米国成長株投信D アライアンス6,964億円
5G・ハイクオリティ成長株式ファンドアセットマネジメントONE6,664億円

(出典: モーニングスター12月24日時点)

投信だけでなく、個別銘柄で米国株を買う動きも表面化してきています。たとえば、楽天証券では米国株の売買高は日本株の5%程度とまだまだ大きくはないものの、2020年4月から日本株のスマホアプリで米国株を発注できるようにしたことで、同年6月の米国株の約定数は前年同月比で17倍。同年9月でも同14倍と急増しているようです。アプリなどで海外株の注文も簡単になると同時に手数料も安くなってきているために、投信でなく直接投資をする個人投資家も増えているのです。

人気が高まる米国株投資ですが、いまから始めても決して遅くはありません。米国株投資を始めるうえで、初心者が知っておきたいポイントを3つお伝えします。

米国株投資のポイント1:米国株は長期的なパフォーマンスに優れている

なぜ個人の資金が米国株にシフトしているのでしょうか。それはズバリ米国株のパフォーマンスがよいからです。日本株を代表する株価指数の日経平均と、米国株を代表するニューヨークダウ(NYダウ)のパフォーマンスを比較してみましょう。

▽日経平均とNYダウ、ナスダックの過去10年のパフォーマンス比較

2010年末2015年末2017年末2019年末2020年12月23日
日経平均株価(円)10,228.9219,033.7122,764.9423,656.6226,524.79
パフォーマンス(%)259139117112-
NYダウ(ドル)11,577.5117,425.0324,719.2228,538.4430,129.83
パフォーマンス(%)260173122106-
ナスダック(ドル)2,652.875,007.416,903.398,972.6012,771.11
パフォーマンス(%)481255185142-

※パフォーマンスは、(各年末の終値)/(2020年12月23日の終値)で求めた
【出典】日本経済新聞「ヒストリカルデータ」Yahoo Finance「Dow Jones Industrial Average」Yahoo Finance「NASDAQ Composite」

過去10年(2010年末~2020年12月23日)の比較では、日経平均もNYダウも約2.6倍とほぼ同じパフォーマンスでした。過去5年(2015年末~2020年12月23日)では、日経平均は+39%、NYダウは+73%とNYダウが大きく上回ります。

過去3年(2017年末~2020年12月23日)では、日経平均が+17%であるのに対し、NYダウが+22%と依然として上回っています。過去1年(2019年末~2020年12月23日)では、日経平均が+12%、NYダウが+6%。今年、日本株が29年ぶりの高値となったために直近1年だけでは日本株が勝っていますが、長期的にはほとんどが米国株のパフォーマンスが上でした。

これはあくまでNYダウとの比較です。米国株を買うとしたら、NYダウの構成銘柄ではなく米国を代表する企業、たとえばGAFAMなどの銘柄を買いたいと思うのではないでしょうか。GAFAMは、アルファベット(グーグルの親会社)、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトの5社の略称です。

NYダウが米国を代表する企業30銘柄で構成された指数なのに対して、GAFAMのウェイトが高くハイテク比率の高い指数がナスダック総合指数です。先ほどの表には、ナスダック総合指数の長期パフォーマンスも記載しています。

過去10年では約4.8倍、過去5年では約2.5倍、過去3年では85%、過去1年では42%上昇しています。ナスダックは、NYダウや日本株と比べても突出したパフォーマンスです。米国株を投資先として考えるべき理由のひとつは、GAFAMの目覚ましいパフォーマンスにあるといっても過言ではありません。

米国株投資のポイント2:米国企業の世界での存在感は高まっている

どうして米国株、特にナスダックやGAFAMの株が大きく値を上げているのでしょうか。株価は長期では企業のファンダメンタルズに連動するといいます。つまり、その企業の業績がよく、成長性が期待できるなら、株価が上がって時価総額も増えるはずだという考え方です。

実際に米国企業の業績は世界的にみて優れているのか、世界全体の企業の時価総額を比較することで確認してみましょう。

2020年12月時点で、世界で一番時価総額の大きい会社は2.15兆ドルのアメリカのアップルです。アップルの成長性は今後も高いという見方を市場は評価しているわけでしょう。2位はサウジアラビアの国有石油会社のサウジアラムコで1.88兆ドルです。そして3位が米・マイクロソフト、4位が米・アマゾン、5位米・アルファベット(グーグル)、6位米・フェイスブック、7位中国・テンセント、8位中国・アリババ、9位米・テスラ、10位米・バークシャー・ハサウェイと続きます。つまり時価総額世界トップ10のうち米国が7社、中国が2社。世界経済を米中がリードしている情勢を象徴しているともいえます。

ちなみに、日本はトヨタ自動車の時価総額が最高で38位です。トヨタは自動車の販売台数で世界首位であり、2019年の販売台数はテスラの約30倍です。ただ、EV(電気自動車)となると、テスラが販売台数世界首位です。株式市場は、テスラの成長性を期待しているために、時価総額ではテスラがトヨタをはるかに上回っているのです。

電気自動車に限らずAI、5G、IoT、自動運転、脱炭素など次世代のテクノロジーが有望視されているなかで、現在の経済状況下ではそれぞれの分野のプラットフォーマーがひとり勝ちするような世界になりつつあります。株価や時価総額は、その期待値を表しています。米国企業の存在感は中国企業の大手とともに、非常に大きいです。だからこそ、世界の成長を株式市場でもとらえたいなら、米国株を中心とした海外株への投資を検討してもよいでしょう。

米国株投資のポイント3:コロナバブル崩壊のリスクも織り込むべき

長期のパフォーマンスでは、米国株やナスダック総合指数は素晴らしいですものがありますが、過去にもITバブルの崩壊、リーマンショックなど、大きな株価の調整局面は経験しています。

たとえば、ナスダック総合指数で振り返ってみましょう。1998年頃から2000年にかけてITバブルという大相場がありました。ドットコムバブルともいわれ、当時黎明期だったIT企業がインターネット社会のニューエコノミーの夢をはやしたてて全面高となりましたが、2001年の同時多発テロの影響も受け、2002年ごろまで下落の一途をたどることとなりました。

現在の米国株を含めた世界株は、新型コロナウイルスによる経済の停滞、経済の落ち込みを防ぐため、各国の中央銀行は過去最大の金融緩和を行い、各国の政府は過去最大の経済対策などで景気刺激をしています。市場は金余り状態となり、コロナバブルともいえる株高状態になっているとも考えられます。なにかのきっかけで株が一時的に急落する事もありえることを肝に命じておきましょう。米テクノロジー株でも上がり続けるわけではありません。

分散投資の観点でも有効な米国株投資

もし世界景気がコロナ禍から回復し、アフターコロナでは世界的にデジタル・トランスフォーメーションが前倒しで進むとすれば、ITに強みを持つ米国企業の多くはさらにメリットを受けることになるでしょう。世界景気、世界のテクノロジーがグローバル化しているいま、株式投資で日本株にこだわる意味はあまりないかもしれません。潜在成長力の高い国に投資するべきでしょう。

一方、仮にコロナバブルがはじけるなら、米国株だけでなく日本株も同じように下げる可能性が高いのです。怖いからといって米株をやらない理由にはなりません。過去どんなに下げがあっても米国経済は立ち直り、米国株も立ち直ってきました。

また、分散投資の観点からも米国株投資は有効です。分散投資は、リスク回避のための投資の原則です。国内株、国内債券、海外株、海外債券、REITや商品などのオルタナティブ投資など分散投資を常に意識しておけばリスクは分散できるはずです。

執筆:平田和生
証券外務員、内部管理責任者、米国証券外務員資格(シリーズ7)保有。慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得る。これまで外資系の投資顧問会社の日本支社の代表、日本投資顧問業協会の部会長、外資系コンシェルジュ会社のスタートアップ社長を努め、現在は主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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