大地の窪みを写し取ったような 渡辺隆之さんのうつわ


うつわはおもに料理のためのものですが、作家が作るそれには暮らし方や社会の捉え方まで変えてくれるほどの思想があります。それを知ることはアートに心動かされる感覚ともよく似ていて、かかわることで自分の中の何かが変わるような体験。そんなうつわの「名作」をたどる連載の第10話は、渡辺隆之さんによる「砂いこみ」のうつわ。

手を触れずに生まれる、手仕事のうつわ

渡辺隆之さんは「砂いこみ」という、独自に編み出した方法でうつわを作ります。それは、大地にできた窪みに粘土を流し、形を写し取るような作り方。焼物というと手で触って形作ることを想像しますが、彼の作品は人の手にほとんど触れないままうつわ型になる。渡辺さんは、人による手仕事とうつわの関係に新しい概念を持ち込んだ人。