ジュニアNISA廃止,学資保険
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子どもの教育資金は人生の三大必要資金といわれ、住宅資金、老後資金と並んで、人生における大きな出費です。子ども1人当たり800万円から2,200万円はかかるといわれています。

教育資金をためる方法はいくつかありますが、そのうち有力な手段が「学資保険」です。廃止決定で人気が再燃しているジュニアNISAも方法のひとつですが、制度廃止後を見据えるなら学資保険に目を向けてもよいかもしれません。この記事では学資保険に馴染みのない方に向けて、その特徴やメリットについてわかりやすく解説します。

目次

  1. 三大資金のひとつ「教育資金」。どのくらい必要?
  2. 教育資金を貯める方法は主に3つ
  3. 学資保険の4つの基本を押さえる
    1. 基本1:保険料の払い込み
    2. 基本2:保険金を受け取る時期
    3. 基本3:返戻率(へんれいりつ)
    4. 基本4:契約者に万が一のことがあった場合、その後の保険料支払いが不要になる
  4. 学資保険には税務上のメリットもある!
    1. 学資保険の税務上のメリット1:学資保険の保険料が生命保険料控除の対象になる
    2. 学資保険の税務上のメリット2:保険金は「一時所得」として扱われ、限度額までは非課税になる
  5. いつから加入するのがベストなのか?
  6. 学資保険と他の手段との比較

三大資金のひとつ「教育資金」。どのくらい必要?

子どもの教育資金に多額のお金が必要なことは周知の事実です。下表をご覧ください。この表は、子ども1人分の教育費をその進路ごとに比較したものです。

▽表1.子ども1人あたりの国公立/私立別教育費一覧

国公立私立
幼稚園67万941円158万3,748円
小学校192万7,686円959万2,146円
中学校146万5,191円421万9,299円
高等学校
(全日制)
137万2,140円290万9,733円
4年制大学248万6,300円404万8,471円

▽表2.進路による子ども1人あたり教育費計

進路による教育費の違い
幼稚園国公立国公立国公立国公立私立
小学校
中学校私立私立
高等学校
(全日制)
4年制大学私立国公立
教育費計792万2,258円948万4,429円1,221万3,959円1,377万6,130円2,235万3,397円

※文部科学省資料をもとに筆者作成
【参考】
・幼稚園~高等学校:文部科学省「平成30年度子どもの学習費調査の結果について」(学校教育費/学校給食費/学校外活動費すべて含む)
・大学(国公立):文部科学省「平成29年度国公私立大学の授業料等の推移」(入学料/授業料のみ 国立/公立の平均値を算入)
・大学(私立):文部科学省「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」(授業料/入学料/施設設備費を含む)

文部科学省のデータをもとに整理すると、子どもを幼稚園から大学まですべて国公立に行かせた場合は約792万円、すべて私立に行かせた場合は約2,235万円かかります。

幼稚園から高校までは国公立で、大学だけ私立なら約948万円、幼稚園・小学校だけ国公立で中学校から大学まで私立に通うと約1,378万円とその中間の金額になります。

これは子ども1人の目安ですから、2人、3人の場合はその2倍、3倍になりますし、大学からひとり暮らしをするとなると上乗せして下宿費用がかかります。

いずれにしても、子どもの教育にはかなりの資金が必要になることは明らかです。

教育資金を貯める方法は主に3つ

子どもの教育資金を貯めるにはいくつかの方法があります。その際に教育ローンや奨学金に頼るのではなく、自己資金で教育資金を確保しようとするならば、次の3つの方法が考えられます。

(1)銀行預金や財形貯蓄などで貯める
(2)ジュニアNISA・つみたてNISAなどで貯める
(3)学資保険を使って教育資金を確保する

(1)の場合、たとえば給与口座などから貯蓄口座へ毎月自動引き落としする方法で貯めるなどが考えられます。しかし、現在の超低金利下では、預金によって元金が増えることは期待しにくい状況です。

(2)は、運用益が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)を使う方法です。NISAとは株式、投資信託などの商品に投資し、それを運用した利益(運用益)が非課税になる制度です。考えられる方法としては、子どもの名義で貯める「ジュニアNISA」や、本人名義で貯める「つみたてNISA」があります。

ジュニアNISAは2023年に廃止が決定されていますが、廃止決定後は2024年以降、お子さんが20歳になるまで払い出しができないという制約が撤廃されました。非課税の投資可能額は年間80万円なので2021年から開始しても2023年までの3年間で240万円分の非課税投資枠を活かし、お金を貯めることができます。

一方、つみたてNISAは年間40万円の非課税投資枠で最大20年間積立できるため、総額800万円が非課税枠として投資が可能です。

両者とも教育資金を貯めるための有力な手段ですが、あくまで投資です。元金保証がないので元金が目減りして、必要な時に必要な金額が手に入らないリスクもあります。

(3)の「学資保険」は、基本的には月払いまたは年払いで保険料を払い込んでいき、お子さんの大学入学の直前などの時期に保険金として今まで払い込んだ保険料が払い戻される保険です。保険料を保険会社が運用して増やしていきます。契約者である親に万が一のことがあった場合には、その後の保険料支払いが免除され、保険金は予定どおり受け取れるという特長もあります。

また学資保険は、銀行預金・財形貯蓄を上回る運用益が期待できる一方で、基本的に途中解約がNGです。途中解約してしまうと多くの場合で元本割れを起こしてしまう設定となっているからです。払込期間にわたって保険料を支払い続ける必要がある点は、半強制的にお金を貯められる意味でメリットでもあり、リスクともいえるでしょう。

学資保険の4つの基本を押さえる

学資保険とは、先述のとおり保険を使って教育資金をためる方法になります。具体的にどのような金融商品なのか、まずは基本を押さえましょう。

基本1:保険料の払い込み

原則として月払いまたは年払いとなります。払込期間は、たとえばお子さんが0歳から10歳の10年間、または15歳までの15年間というように、お子さんの年齢をベースに検討されることが多いようです。

基本2:保険金を受け取る時期

お子さんが一定の年齢に達した場合に、保険金が支払われます。受け取る時期は、基本的に契約者の希望に応じて設定・見直しが可能です。最も多いのはお子さんの大学入学時で、ほかに大学○年目が終了したときなど、大学の入学金や授業料払い込みの時期に合わせて保険金を受け取ることができます。

基本3:返戻率(へんれいりつ)

支払われる保険金の合計額を、払い込んだ保険料の合計額で割ったものを「返戻率」といいます。たとえば、合計300万円の保険料を払い込んで、330万円の保険金が支払われる場合、返戻率は110%ということになります。

このように、銀行の預金金利が年利○%という形で表されるのに対し、学資保険では返戻率として107%や109%といった数字で表される点が大きな特徴です。学資保険を選ぶにあたっては基本的に「返戻率」の高い商品を選ぶべきです。

基本4:契約者に万が一のことがあった場合、その後の保険料支払いが不要になる

学資保険の特長は、保険料を支払っていた親御さんが万が一死亡された場合、その後の保険料を支払う必要はなくなり、かつ保険金は契約通り支給されるところにあります。

すなわち、学資保険は、生命保険の機能も兼ね備えているわけです。これは銀行預金、財形貯蓄、ジュニアNISA、つみたてNISAにはない特長だといえます。

学資保険には税務上のメリットもある!

ほかにも学資保険には、銀行預金やつみたてNISAにない利点があります。それは、税務上の2つの優遇措置を受けられることです。

学資保険の税務上のメリット1:学資保険の保険料が生命保険料控除の対象になる

契約者の方は毎年学資保険の保険料を支払いますが、その保険料の一部が所得控除のひとつである「生命保険料控除」の対象になり、支払った保険料に応じた所得税が戻ってきたり、住民税が減額されたりします。

年末調整でその年に支払った生命保険料や地震保険料の証明書を提出されている方もいると思いますが、学資保険の保険料も生命保険料の一部になり税負担を軽減するのに役立つということです。より端的にいえば、税金が減った分、実質的に保険料が減額になるということです。

学資保険の税務上のメリット2:保険金は「一時所得」として扱われ、限度額までは非課税になる

前項では「返戻率」の説明をしました。返戻率とはもらった保険金と支払った保険料の比率で、学資保険の場合、保険金と保険料の差額が運用益になります。

通常、株式投資や投資信託の運用益には約20%の税率が課されます。ところが、保険金を一時金として受け取った場合は税法上「一時所得」という扱いになり、保険金と保険料の差額が50万円以内であれば非課税となります。

現在のような超低金利下では、保険金と保険料の差額が50万円を超えることはまずないので、保険の運用益は実質非課税ということになります。

いつから加入するのがベストなのか?

ここまで学資保険のメリットについて解説してきましたが、保険に入るのならいつがよいいでしょうか。この問いへの答えは、お子さんが0歳の時点ということになります。

たとえば、お子さんが15歳の時点まで保険料を払い続けるとしましょう。

▽保険会社が保険料を運用する期間
・お子さん0歳で加入した場合:0歳から15歳までの15年間、
・お子さん2歳で加入した場合:2歳から15歳までの13年間

0歳で加入した場合は保険会社から見て、2年間長くに保険料の運用ができるので、少しでも保険料が安くなり、契約者から見ても有利ということができます。

また、お子さんが0歳の時は契約者である親の年齢も若くなります。学資保険は親に万が一のことがあった場合でも、保険金として学資金が支払われる生命保険としての側面も持っているので、通常は親御さんの年齢の若い時に加入したほうが保険料は安くなります。

すなわち、保険料の運用期間と親御さんの死亡リスクの観点から、お子さんが0歳のときに加入すると保険料は最も安く、返戻率は最も高くなります。

学資保険と他の手段との比較

教育資金を貯める手段としての学資保険について解説してきました。

まとめると次のようになります。

(1)学資保険も他の方法(銀行預金、財形貯蓄、ジュニアNISA、つみたてNISAなど)と同様、長期にわたり毎月積立てる方法なので、お金を貯めるという効果があることは変わらない。しかも、返戻率のよい商品を選べば、銀行預金や財形貯蓄に比べ、一定以上のリターンを得ることができる。

(2)学資保険は、財形貯蓄を上回る利回りが期待できるものの、払込期間中に途中解約した場合は基本的に元本割れとなる。一方のジュニアNISAやつみたてNISAは効率的に貯蓄できる可能性があるが、運用次第で元本割れするリスクもある。

他の方法と比較した学資保険のメリットは次のとおりです。

(1)契約者に万が一のことがあった場合でも、教育資金のもとになる保険金を受け取ることができる“生命保険”と同じ保障機能がある。

(2)学資保険には保険料支払い、保険金受取りの各段階で税務上のメリットがあり、少しでも貯蓄機能の低下を補うことができる。

そう考えていくと、学資保険は教育資金をためる手段として検討の余地はあるといえるでしょう。加入を決める場合は、できるだけ返戻率の高いものを選択されることをおすすめします。

執筆:浦上 登
東京築地生まれ。大手重工業メーカーで海外営業を担当後、保険部門に勤務。現在、サマーアロー・コンサルティング代表。ファイナンシャル・プランナー、証券外務員第一種。ライフプラン等の個人相談および講演・記事執筆を行う。

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