腕時計,リシャール・ミル
(画像=denis/stock.adobe.com)

世界3大腕時計といえば「パテック・フィリップ」「オーデマ・ピゲ」「ヴァシュロン・コンスタンタン」ですが、その平均価格をはるかにしのぐ超高級腕時計があります。極限の腕時計“エクストリーム・ウォッチ”として名高いスイスのメーカー、「リシャール・ミル(Richard Mille)」です。

ブランドとしての歴史は2001年設立からと比較的浅いものの、創業者であるリシャール・ミルは“トゥールビヨン”と呼ばれる機構を備えた初代モデル「RM 001」を約135,000ドルという破格の価格で売り出しました。無名ブランドでありながらRM 001はたちまち完売したといい、ここからリシャール・ミルは超高級腕時計ブランドとしての確固たる地位を築きはじめます。

21世紀を迎えた世界の時計業界に大きな衝撃を与え、超高額腕時計のブームを巻き起こしたリシャール・ミル。今回はこのブランドが超高額であるにもかかわらず、人々の心を惹きつけてやまない、その魅力に迫ります。

誕生してまだ20年あまり、リシャール・ミルの歴史

リシャール・ミルは創業者であり“ブランドコンセプター”であるリシャール・ミル氏の名前から名付けられたブランドです。フランスの老舗ジュエリーブランド「モーブッサン」のウォッチ部門責任者・ジュエリー部門CEOを務めたり、数々のラグジュアリーブランドをわたり歩いてきたリシャール・ミルは、時計職人でもデザイナーでもありませんでしたが、当時の時計業界には存在しない“新たなビジネスモデル、すなわち従来のマーケティング戦略とはかけ離れた完全にオリジナルなもの(腕時計)”をつくりたいという情熱を持っていました。

当時存在していた時計のすべてを超える――。確固たるビジョンを抱きつつ、リシャール・ミルは自身の要求を満たす、一切の妥協のない腕時計をつくるべくブランドを立ち上げました。

そして、彼の考え出した時計のコンセプトを正確に理解し、完璧につくってくれるサプライヤーを見つけます。たとえば、初代モデル「RM 001」はオーデマ・ピゲ傘下のルノー・エ・パピの協力を得て製作しています。こうして“トゥールビヨンは繊細な機構”だという当時の常識を覆す、地面に叩きつけても問題ないほどの究極の耐久性を持った腕時計が誕生することになったのです。

ほかにも生産費用をほとんど顧みないアプローチで、他のブランドが選択しないような素材を使用したり、F1のレーシングカーや宇宙航空産業の技術を腕時計に採り入れる徹底的な革新主義を貫くことでリシャール・ミルは不動の人気を獲得し続けています。

リシャール・ミルの時計はなぜ高価なのか

素材、技術、デザイン……、それぞれのベストな選択が重ねることによって完成するリシャール・ミルの腕時計。一切の妥協を許さないその品質は、数千万円から時に数億円にものぼる商品の価格に表れています。

これほどまでに高額である理由は、リシャール・ミルがブランドを創設した当初からのビジョンにあります。つまり、従来のマーケティング戦略とはかけ離れた完全なオリジナルなものをつくる、という思想に帰結します。

そのためには生産費用は惜しみません。先述のようにF1のレーシングカーや宇宙航空産業など、最も先進的な業界の技術はもちろん、着用者に最高のフィット感をもたらす人間工学の知見を採り入れ、常識にとらわれない前代未聞のコンセプトの腕時計の製作をひたすらに追求してきました。

ただし、余計な装飾で高価になっているわけではありません。リシャール・ミルは“コンセプトが部品やデザインを決定する”という信念を持ち、あらゆるパーツや意匠がコンセプトを実現するための一部として役割を担っているのです。

このようにリシャール・ミルは、あえて希少価値を出すために少なく生産しているのではなく、通常の高級時計と比べて極限なまでの徹底主義によって大量生産ができないのです。

そこに投下する製作時間や素材・技術にかかる費用、人件費などの原価を考慮すれば数千万円ほどになるのもうなずけます。

リシャール・ミルの注目モデル3選

80を超える腕時計を製作してきたリシャール・ミル。腕時計の限界を押し広げてきた、同ブランドの代表的なモデルを紹介します。

RM001 TOURBILLON

2001年に発売され、日本円にして1,000万円以上という高価格にもかかわらず瞬く間に完売したという伝説の時計。リシャール・ミルのデビュー作です。トゥールビヨンの機構を持つ時計は繊細すぎるために普段遣いには難しいという常識があった時代に、究極の耐衝撃性を備えたトゥールビヨンの時計をつくりました。

技術と性能の高さ、究極の耐久性をもつ腕時計。リシャール・ミルはその発表の場で、この腕時計を地面に叩きつけ、それを証明して見せたといいます。

RM11-02 Automatic Winding Flyback Chronograph

ラグジュアリーの世界でキャリアを歩んできたリシャール・ミルはこうも語っています。

「私は、飾るだけのラグジュアリー製品に興味を惹かれたことは一度もありません」。彼は時計とは機能を実現することで美しくなるのだという哲学を持っています。すべてのリシャール・ミルの製品に息づいていますが、RM11-02はまさにこの哲学が体現された逸品といえるでしょう。

航空機の計器から抜け出してきたかと思わせるデザインの文字盤をもつこのモデルは、2つの世界標準時を表示、一瞬で針がゼロに戻るストップウォッチ、カウントダウンができるサブダイヤル、瞬間で切り替わる日付表示、自動月表示などまるで航空機そのもののような「機能美の塊」となっています。

RM07-03 MARSHMALLOW

ひとめでわかる堅牢さや複雑機構の緻密さから、ときに無骨なイメージも感じさせるリシャール・ミルですが、ポップなカラーリングや発想力が魅力的なコレクションも数多くあります。そのひとつが「リシャール・ミル ボンボンコレクション」といわれる、10モデルからなるシリーズです。各モデルとも限定30本で販売されました。

子どものころの解放感やリラックスした感覚を取り戻せるボンボンコレクションは、「手首にお菓子を付ける」というこれまでにないコンセプトで真剣に18ヵ月かけて開発。この「RM07-03 MARSHMALLOW」の文字盤は、マシュマロがモチーフになっています。

「お菓子の時計」を実現するために真摯に取り組み、惜しげもなく投下された希少金属と素材、工芸技術の数々は、誰も見たことのないラグジュアリーを実現しました。

一流有名人がアンバサダーとなり魅力を発信してきた

リシャール・ミルの時計は、一流テニスプレイヤーのラファエル・ナダルやF1ドライバーのフェリペ・マッサといった世界的な有名人が“アンバサダー”として身に着けたことで有名になってきました。こうした戦略からも、最低でも1,000万円を超えるリシャール・ミルの時計は、選ばれた一流の人しか身に着けることができないものだというブランドイメージが醸成されています。

もしあなたがリシャール・ミルの時計を左腕に着けることができたなら、見る人が見れば一流の活躍をしている人であることがすぐにわかるでしょう。さりげないしぐさのたびに、左腕の裾からリシャール・ミルが見え隠れするような成功者になってみたいものです。

文・J PRIME編集部

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