着物,装い
(画像=yukihito/stock.adobe.com)

初詣や成人式など、着物がフォーマルとされるシーンは意外と多いもの。日本人が古くから着物を大切にしてきたことがわかります。

華やかな着物は選ぶだけでも楽しいですが、意外に頭を悩ませるのが「草履」です。フォーマルな場面で着物のルールがあるように、草履にも合わせる着物や装いの場面によって選び方があります。この記事では、フォーマルからカジュアルダウンまで、着物に合わせた草履の選び方を解説します。

フォーマルな場面では草履の色と柄が重要

着物を着るフォーマルなシーンといえば、結婚式や葬儀、成人式、入学式や卒業式などがあります。こうしたシーンでは、どんな着物や草履が選ばれるのでしょうか。

着物:最も格式が高いのは「第一礼装」

婚礼や、公的な儀式では「第一礼装」と呼ばれる最も格調の高い着物を選びます。第一礼装には結婚式で花嫁が着る「打掛(うちかけ)」や「本振袖(ほんふりそで)」のほか、親族が着る「黒留袖(くろとめそで)」、また葬儀の「喪服(もふく)」といったものがあります。ただし、結婚式や葬儀の際は、親族でないのに黒留袖や喪服を選んでしまうと、かえって不自然だったり、失礼にあたる場合もあるので注意しましょう。

第一礼装に準ずる格調とされるのが「準礼装」です。第一礼装とされる場合もある「色留袖(いろとめそで)」のほかに、幅広いシーンで着られる「訪問着(ほうもんぎ)」、成人式で着る機会の多い「振袖(中振袖・小振袖(二尺袖))」があります。上半身の柄の有無、袖の長さなどにそれぞれ違いがあります。

草履:着用シーンや、着物の色味や柄で選ぶ

結婚式に親族として参列する場合など、第一礼装に合わせる草履としては金色や銀色を基調としたものが最も格式が高いとされています。鼻緒は、草履の台(足を乗せる部分)と同じ色味やデザインを選ぶのがベターですが、華やかさを演出したい場合には布地にこだわってみてもよいかもしれません。

ただし、喪服に合わせる草履には注意が必要です。光沢のない黒い草履を選び、底は厚みのあまりないものを選びます。これは、洋装のブラックフォーマルと同様のマナーなのでわかりやすいでしょう。

成人式や結婚式のゲスト側の装いである準礼装の着物には、金や銀色の他に白をはじめとした淡い色味の草履で着物の色に合わせて選びます。素材は、エナメルや革などパール感や艶のあるものだと上品に見えます。

また草履は、着物の「柄」に合わせることも重要です。着物には、大きく分けると、古典柄と呼ばれる牡丹や手毬など日本の伝統的なモチーフを柄にしたものと、モダン柄というバラなどの洋花やリボンなど洋風なモチーフの柄があります。着物と同じ種類の柄を草履に選ぶことによって装いに統一感が生まれます。

礼装とは異なる「しゃれ着」とは?

「付け下げ」や「色無地(いろむじ)」、「小紋(こもん)」の着物は、通常「しゃれ着」と呼ばれる普段使いの外出着という位置づけです。

付け下げは、準礼装の訪問着との見分けが難しいものの格式が低いとされています。一つ紋が入っていたり、フォーマル用の草履を合わせることで準礼装として扱える場合があります。

小紋は遠目から見ると無地にも見えるほどの細かな幾何学模様などを指し、非常に豊富な種類があります。なかでも「江戸小紋(えどこもん)」は江戸時代の大名が使っていたという背景から格式が高く、江戸小紋に家紋が付いた着物は準礼装としても扱われます。

カジュアルな着物と草履なら、装いの選択肢も多い

着物においてカジュアルな外出着として着用できるものは、前述の「しゃれ着」と呼ばれる着物です。また、「御召(おめし)」という繊維をねじって柄を織り出した着物や、太めの絹糸を用いた「紬(つむぎ)」という着物などもあり、これらも普段着の洋服と同じ感覚で着ることができます。

これらのカジュアルな着物に合わせる草履には、決まったルールや選び方はありません。草履台と鼻緒の柄や色味が異なるようなデサイン性豊かな草履を合わせてもよいでしょう。また礼装用の草履と異なり、かかとの高さが3〜4センチ程度と低いカジュアルな草履もあります。素材も街歩きなど長時間履く時に足への負担を軽減してくれる素材が豊富です。

カジュアル用の草履は、淡い色から濃い色までさまざまな色があります。フォーマルのものと比べると選択肢がとても多いです。

できれば使い回したい……。フォーマルとカジュアル両方に使える草履はある?

和装には着こなしの決まりが多く、着物1つひとつに合わせた草履が必要だと思われがちです。確かに着物に合わせた数だけ草履があれば便利でしょう。しかし、着用の頻度が、洋服ほどはない着物に合わせて、草履を各種そろえるのは、現実的ではないかもしれません。

カジュアル、フォーマルと草履を両用したいのなら、草履の色に注目して選ぶとよいでしょう。草履台と鼻緒が淡い色味で統一された草履なら、カジュアルな外出着の小紋から準礼装の訪問着にも合わせられ、季節にあまり左右されずに一年中履くことができます。

これから、ちょっとした場面で着物を取り入れたいと考えている人には、はじめての一足としておすすめです。使い回しが効くことから、着物を着る機会が増えるかもしれません。

着物と草履を日常使いに

あらたまった場面や食事の席などの機会は、しばしばあると思います。そんなときこそ、着物を選ぶと特別感を演出できます。華やかさが高まり、喜びの気持ちをいっそう表現できることでしょう。

また洋装と比べると流行にも左右されにくいため、着物は長いあいだ着ることができます。お祝いの席で、他の方と服装が被ってしまうこともほとんどないでしょう。

着物と草履は、格が高すぎても低すぎても使用の場面が限定され、身に着けられる機会が減ってしまいます。カジュアルにも着回せる着物と草履を選ぶことで、あなたの日常に着物を取り入れやすくなるはずです。

文・J PRIME編集部

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