マンション投資
(画像=kurosuke/stock.adobe.com)

不動産投資は安定した賃料収入と、取得費用に金融機関からの融資を利用することができるといった、他の投資方法にはない特徴があります。しかし近年ではさまざまな問題が発覚し、多くの投資家が痛手を被ったことから、マンション投資に必要以上のリスクを感じる方もいるのではないでしょうか。今回はマンション投資のメリット・デメリットや、先達が陥った失敗例とその回避策について解説していきます。

目次
マンション投資の仕組み
不動産投資物件としてマンションの特徴とは?
マンション投資の失敗談
まとめ:マンション投資のメリットを活かすには早く始めるほど有利に

マンション投資の仕組み

マンション投資による賃料収入・支出は所得税の『不動産所得』に該当し、その所得額は基本的には以下の計算で算出されます。

・賃料収入-諸経費=不動産所得

そして、マンション投資の主な諸経費は以下の通りです。

▽マンション投資にかかる諸経費
・マンション管理費
・賃貸管理手数料
・融資の支払利息
・固定資産税
・建物の減価償却費 など

また不動産所得には、給与所得や事業所得など他の所得と収益・損失を合算する「損益通算」という特別な仕組みが利用できます。そのためマンション投資では、損益通算による節税効果と不動産投資物件からの賃料収入といった2つのメリットを得ることができます。

収入が増加しても税金が減る減価償却費の仕組みとは?

損益通算による節税効果は、減価償却費が大きな意味を持っています。マンションなどの不動産投資物件は、時間経過とともに価値が徐々に減っていく性質を持ちます。このため、物件の取得費を初年度に一括して計上してしまうのではなく、減価償却という時間経過とともに減少していく価値分を経費としていく方法が採られています。

マンションの減価償却費は定額法が用いられているため、土地代を除いた物件の取得費用を法定耐用年数で割ることで求めることができます。法定耐用年数は建物の構造によって異なりますが、マンションで採用されることの多い鉄筋コンクリート造(RC造)は、法定耐用年数が47年と長く設定されています。

ここで注目したいのが耐用年数の残存期間です。不動産投資物件の耐用年数の残存期間は、減価償却の速さに関係するのです。

残存期間が多く残っている築浅の物件の場合は、金額は少ないものの、長期間にわたって節税効果をもたらしてくれるため、所得額が比較的少なく、労働などによって収入を得る期間が長い若年層ほど効果的な節税が行えます。

また残存期間が少ない、あるいは超過している物件の場合は、短期間で多額の減価償却が行えるため、所得の多い中年層や富裕層などに適した節税方法といえます。

物件を取得する場合は、減価償却費と自身の所得額に応じた築年数の物件を選ぶことも大切です。

不動産投資物件に新築・中古それぞれのマンションを選んだ場合の減価償却費と所得税額について、シミュレーションを行い、その違いを確認してみます。

▽新築マンションの減価償却費と所得税額のシミュレーション

まずは新築マンションを3,000万円で購入した場合を考えてみます。

【シミュレーション条件】
・給与収入:1,000万円
・建物(RC構造)取得費:3,000万円
・RC構造の法定耐用年数:47年
・賃料収入:100万円
・マンション投資の諸経費:20万円
・所得控除:給与所得控除195万円、基礎控除48万円、社会保険料控除150万円

【給与所得の計算】
・給与収入1,000万円-給与所得控除195万円=給与所得の額805万円

【不動産所得の計算】
・建物(RC構造)の取得費3,000万円÷法定耐用年数47年=減価償却費約64万円
・賃料収入100万円-諸経費20万円-減価償却費64万円=不動産所得の額16万円

【所得税の計算】
・給与所得の額805万円+不動産所得の額16万円=損益通算後の所得額821万円
・損益通算後の所得額821万円-社会保険料控除150万円-基礎控除48万円=課税所得金額623万円
・課税総所得金額623万円×所得税率20%-控除額42万7,500円=所得税負担額81万8,500円

新築マンションの減価償却を損益通算した上記ケースの場合、所得税の負担額は81万8.500円になりました。

▽中古マンションの減価償却費と所得税額のシミュレーション

次に他の条件は変えず、築30年の中古マンションを利用した場合のシミュレーションを行ってみます。
マンションの減価償却費の計算は新築と中古で計算式が異なっており、耐用年数が短いため減価償却費を大きく計上することができます。

【給与所得の計算】
・新築時と同様805万円

【不動産所得の計算】
・(新築時の耐用年数47年-経過年数30年)+経過年数×20%=中古マンションの残存耐用年数23年
・建物(RC構造)の取得費3,000万円÷残存耐用年数23年=減価償却費約130万円
・賃料収入100万円-諸経費20万円-減価償却費130万円=不動産所得の額-50万円

【所得税の計算】
・給与所得の額805万円-不動産所得の額50万円=損益通算後の所得額755万円
・損益通算後の所得額755万円-社会保険料控除150万円-基礎控除48万円=課税所得金額557万円
・課税総所得金額557万円×所得税率20%-控除額42万7,500円=所得税負担額68万6,500円

シミュレーションの結果を見ると、中古マンションを利用した場合、新築時と変わらない賃料収入を得ていても、減価償却費を大きく計上できるため、所得税負担額も13万円ほど減少させることができました。

マンション投資による短期的な節税効果も重視したい場合は、中古マンションを選択する方が効率的といえます。

マンション投資をはじめるタイミング

マンション投資は「不動産価格が安い時期に始める」ことがよいと思われています。ですが、不動産価格の動向を見極めることは難しく、また狙っている物件の値段が下がるとも限りません。

その上マンション投資の賃料収入は、所有期間に応じて収入を得ることができるほか、損益通算による節税効果も所得が多い現役世代ほどその効果も大きくなります。

また、ローン契約時に利用できる団体信用生命保険(団信)も契約者の健康状態に左右されるため、開始するタイミングは不動産価格ではなく、所得の多く、健康状態が比較的よい現役世代の内に始める方がよいでしょう。

不動産投資物件としてマンションの特徴とは?

不動産投資も好不況の影響を受けますが、その程度は不動産投資物件の種類によって異なります。

マンション投資は住居と言う生活基盤を提供しているため、株式投資などの他の投資と比べると、好不況の影響を受けにくく、安定した賃料収入が見込みやすいと言われています。

しかしひとくくりにマンション投資と言っても、単身者向けのワンルームやファミリー向けの部屋数の多いマンションなどさまざまな種類があります。

入居者は自身の条件に合ったマンションを選択するため、そのエリアに合った入居者のニーズを把握しそれに合致するマンションを提供することが成功の第一歩です。以下、ワンルーム、ファミリー向け、タワー型それぞれの特徴を見ていきましょう。

ワンルームマンションの特徴

単身者や学生を主なターゲットとしており、入居者の入れ替わりが比較的早いのが特徴です。小面積のマンションとなるため、取得費や修繕・管理費や固定資産税が比較的安価といったメリットがあります。

しかし、若者をメインターゲットとしているが多く、設備が汚れていたり古かったりすると、入居してもらえない可能性がありますので、定期的なメンテナンスやリフォームが重要となります。

また、近郊に大学やオフィス街などがあれば入居者を多く確保できると思われますが、周辺に同様のワンルームマンションが多く建っている場合などは、入居者の奪い合いとなる恐れもあります。購入前に周辺のマンション賃料の推移を確認し、供給過多になっていないかを確かめておきましょう。

ファミリーマンションの特徴

部屋数が多くなるため修繕・管理費や固定資産税がワンルームと比べて増加し、投資効率が低下する恐れがあります。ですが、ファミリー向けのためワンルームよりも長期間の入居が期待できます。

スーパーマーケットなどの商業施設の充実具合や、車の所有率が上がると推測されるため、駐車場の利用状況などを確認するとよいでしょう。

ファミリー向けマンション投資の注意することは以下の点です。

(1)マンション全体の空室率増加した場合、修繕積立金の追加負担が生じる恐れがある
(2)入居対象者が比較的絞られてしまうため空室が生じると、次の入居者が見つかるまでに時間がかかってしまう恐れがある

タワーマンションの特徴

タイプとしてはファミリーマンションに似ていますが、都心部などの利便性の高い地域に建設されています。人気が高く価値が下がりにくいため、賃貸経営を行いながら売却益を期待することもできます。

取得費が高いことから、多額の減価償却費を差し引くことができるため、高所得者であれば大きな節税効果を見込むこともできます。ですが、取得費用が高くマンションの設備も優れており、修繕・管理費屋固定資産税なども高額になりやすい傾向があるため、費用負担に注意を払う必要があります。

マンション投資の失敗談

マンション投資は比較的安定した投資と言われていますが、それでも投資なので、リスクや失敗もあります。他の投資に比べて、初期費用がかかるだけに失敗はできるだけ避けたいところです。ここからは、マンション投資の失敗談をご紹介していきます。

マンション投資の失敗談1:サブリース契約によるトラブル

空室リスクを避けるため、不動産管理会社などにサブリース契約(転貸借契約)による家賃保証を利用しました。しかし数年後に周辺相場に合わせるとの名目で賃料の引き下げや、設備の劣化などを理由にグループ会社を利用したリフォーム工事を要求されました。

応じない場合はサブリース契約を更新しない旨の通知も行われてしまい、家賃の値下げに応じるか、自身で賃貸経営を行う必要に迫られてしまいました。

回避策:サブリース契約は絶対的なものではなく、家賃を値下げしない旨の特約があったとしても無効となってしまいます。サブリース契約を解除された場合でも、賃貸経営が継続できる物件選びを行うことが重要です。そしてサブリース契約について、契約する前に条件が変更になるのか、よく確認しておくようにしましょう。

マンション投資の失敗談2:転売業者による物件取得費用の高騰

不動産の売買を行う際、売主と買主の間に入り、「第三者の為にする契約」による新中間省略登記を利用した転売を行う不動産業者(通称三為業者)が存在します。

この仕組みでは売主の販売価格が買主には分からず、転売業者の利益が乗った物件を購入することとなります。

回避策:転売業者は不動産投資セミナーなどを利用して集客を行っており、見込み客に対しては融資の仲介までも含めたサポートを行い、契約を速やかに進めてくれるといった特徴があります。

不動産投資物件を購入する際は、似たような条件の物件を比較し、価格が適正か否かをある程度時間をかけて判断するためにも複数の金融機関に審査を申込み、融資条件のよい金融機関と契約することが大切です。

マンション投資の失敗談3:住宅ローンを利用した賃貸経営を行い、一括返済を求められたケース

住宅ローンは、マンション投資などで利用するアパートローンよりも金利が優遇されていますが、住宅ローンを利用して賃貸経営を行うことは禁止されています。しかし、マイホームを購入すると偽って不動産投資物件を購入し、賃貸経営を行っていたことが発覚し、多くの投資家が金融機関から一括返済を求められることとなってしまいました。

回避策:住宅ローンを利用することでリターンを高めることができますが、契約違反行為であり大きなリスクを負うことになります。

また、借り換えを行おうにも住宅ローンの不正利用が理由ではそれも困難です。結果として購入した不動産投資物件を売却し、足りない金額は自身で穴埋めを行う必要があります。

回避策としては、仮に住宅ローンで購入することを勧められた場合でも、契約違反行為は拒絶すること以外にありません。

マンション投資のメリットを活かすには早く始めるほど有利に

マンション投資に限らず、投資活動におけるリスクとリターンは本来表裏一体の関係です。多くの失敗談ではリスクを過剰に避けて、安易にリターンを高めようとしたため生じてしまいました。

マンション投資においてはリスクを避けるのではなく、いかにリスクと上手に付き合っていくかを検討することを心掛けましょう。

本来、マンション投資は富裕層が実践する王道とも言える資産運用方法のひとつです。賃料収入や減価償却による節税効果、団信の利用による保障の拡大など、さまざまなメリットがあります。

マンション投資を成功させるには、収益を生み出すことができる良質のマンションへの投資を行うことも重要ですが、広範なメリットを活かしきるため資産全体を俯瞰したプランニングを行うことが大切です。

執筆:菊原浩司
保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士、一種証券外務員資格、管理業務主任者。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視し、主にマイホーム・投資用などの不動産取得や資産運用や生命・損害保険のコンサルタントなどを行っています。

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