ポートフォリオ,作り方
(画像=ktasimar/stock.adobe.com)

資産運用では目標とする利回りによって、投資すべき商品が変わってきます。低い利回りでも確実に増やしたい安定志向派や、高い利回りを目指して積極的にリスクをとりにいく積極運用派など、投資スタンス別にポートフォリオの作り方を解説します。

目次
ポートフォリオは資産運用の航海図
ポートフォリオを組むときに考えるべきこと
資産三分法という考え方
ポートフォリオ例1:安定志向で確実に増やすポートフォリオ
ポートフォリオ例2:バランス投資でミドルリターンを目指すポートフォリオ
ポートフォリオ例3:リスクもとる積極運用のポートフォリオ
自分自身に合った最適なポートフォリオ作りを

ポートフォリオは資産運用の航海図

ポートフォリオは資産運用において、航海図の役割を果たします。船が目的の地に無事寄港するためには、航海図でルートを確認しながら運航しなければなりません。資産運用も目的の運用利回りを達成するために、適切な金融商品と取得金額、運用期間を設計する必要があります。その運用資産の構成比を決めるのがポートフォリオです。

とくに老後資金のような人生という長い航海の先にある目的地にたどり着くには、きちんとした航海図を用意することが大事です。

ただし、ポートフォリオは1度決めたらそのままというわけではありません。ポートフォリオには、リバランスと呼ばれる見直しも必要です。リバランスとは当初組んだ構成比率が崩れたときに、ポートフォリオを元の状態に戻すことです。

歴史上有名な豪華客船タイタニック号の海難事故は、氷山の存在を2度も警告されていたにも関わらず、スピードを減速しなかったことにより大惨事に至りました。相場の世界でも、暴落に至るようなシグナルを見逃さないことが大事です。

例えば、「株式50%・債券50%」で組んだポートフォリオが、株式市場が過熱して「株式60%・債券40%」と資産バランスが崩れたときは要注意です。そのときはいったん減速して、利益の出ている株式を売って債券を買い、ポートフォリオを元の比率に戻す必要があります。そうすれば、その先に暴落があっても影響を小さく抑えられる可能性もあるのです。

ポートフォリオを組むときに考えるべきこと

では具体的にポートフォリオを組む前に、どのようなことを考えるべきでしょうか。貯蓄に対してどの程度投資に回すことができるかは、各家庭の資産状況やライフプランによって差があります。今後教育費や結婚式などの費用が必要なら、あまりリスクは取れないでしょう。 

逆に子育てが終わった世代で資金的に余裕があれば、ある程度リスクを取った投資が可能かもしれません。ポートフォリオを組むときに大事なのは、家庭の現在の資産状況と今後のライフプランに合わせた運用を考えることです。

そこで、ライフプランに合わせたポートフォリオを組むために参考にしたいのが「資産三分法」です。

資産三分法という考え方

投資の世界には「資産三分法」という考え方があります。不動産を含める分け方(不動産・動産・金融資産)と、金融資産に絞って「流動性資産」「目的別資産」「長期運用資産」に分ける「金融資産三分法」があります。ここでは、金融資産三分法の分け方をご紹介します。

流動性資産

流動性資産とは、会計上の概念では1年以内に現金化できる資産を指します。一般には日常生活で使うお金と考えればよいでしょう。万一のときにすぐ引き出せる必要があるため、投資にはまわせません。普通預金や定期預金、定期積立預金などで運用します。通常これらの資産がポートフォリオに組み込まれることはないでしょう。

用意しておく預金の目安ですが、日本取引所グループが運営するサイト「東証マネ部!」では100万円プラス生活費の3ヵ月分、日経電子版の「WOMAN SMART」では手取り月収の3か月分をすすめています。逆にいえば、この預金額を確保できれば、あとは投資にまわしてもよいと考えることもできます。

目的別資産

目的別資産とは、おおむね 3年以内に使う目的が決っている資産を指します。教育資金、結婚資金、自動車の買い替え費用などは3年程度前から用意しておく必要があります。これらの資金は使う時期が決っているため、元本を割り込まないような運用を心掛けることが大事です。

安定運用を目指すため、ポートフォリオは債券(国債、地方債、社債など)や安定運用型の投資信託などが中心になります。

長期運用資産

長期運用資産とは、「流動性資産」「目的別資産」以外の資産を指します。すぐ使うお金や使う時期が決ったお金ではないので、老後資金のように数十年後に必要な資金をつくるのに向いています。運用期間が長いので、一時的にマイナスになったとしても回復を待つことができます。したがって、株式などのリスク商品もポートフォリオに組み込むことができます。

ポートフォリオは余裕資金である長期運用資産で作るのが基本です。では、目標とする利回りを目指すためのポートフォリオの一例をみてみましょう。

ポートフォリオ例1:安定志向で確実に増やすポートフォリオ

安定志向のポートフォリオは資産を減らすリスクが少なく、確実に増やせる商品で運用します。資産三分法のうち、目的別資産の運用に適しており、目標年利回りは1%です。年利1%というと少ないリターンに感じるかもしれませんが、銀行の定期預金でも年利が0.002%(2020年9月15日現在、三菱UFJ銀行スーパー定期の例)という金利情勢を考えれば、それほど低い数字とはいえないでしょう。

国内債券だけでは1%の利回りを得るのは難しいので、高利回りの外国債券も加えます。投資信託は日経平均などの株価指数に連動して、平均的なパフォーマンスを目指すインデックス型商品を組み入れます。外国債券は円高になると為替差損が生じる場合がありますので注意が必要です。

▽安定志向型ポートフォリオの例

国内債券
50%
外国債券
25%
インデックス型投資信託
25%

ポートフォリオ例2:バランス投資でミドルリターンを目指すポートフォリオ

目的別資産と長期運用資産の両方に適しているのがバランス投資です。リスク商品の株式を組み入れ、安定志向の債券と半々になるように運用します。目標年利回りは3%。株式は国内外ともに3%を超える高配当利回り株が多数存在しますので、配当収入だけでもある程度のリターンが期待できます。

老後資金を作るなら債券で安定して増やしながら、株式で値上がり益や高配当を狙うバランス型が適しているといえます。ちなみに、国民の年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、下記ポートフォリオ例と同じ比率で運用しています(第4期中期目標期間・2020年4月からの5ヵ年の場合)。

▽バランス型ポートフォリオの例

国内債券
25%
外国債券
25%
国内株式
25%
外国株式
25%

ポートフォリオ例3:リスクもとる積極運用のポートフォリオ

長期運用資産は余裕資金であることを前提に、さまざまな形のポートフォリオを作ることができます。目標年利回りは5%。ここでは低金利の国内債券をはずし、運用成績次第で年利回り5%以上を狙える商品で構成する例をあげています。

投資信託は平均以上のパフォーマンスを目指すアクティブ型商品と、不動産へ投資するJ-REIT(上場不動産投資信託)を組み入れ、高利回りを目指します。こちらのポートフォリオは、時期は決っていないものの、将来的にマイホームを取得したいという場合などに向いています。3年後など時期が決っている場合はバランス型のほうがよいでしょう。

▽積極運用型ポートフォリオの例

外国債券
20%
国内株式
20%
外国株式
20%
アクティブ型
投資信託
20%
J-REIT
20%

自分自身に合った最適なポートフォリオ作りを

ここまでポートフォリオの重要性と運用方法についてみてきました。自分自身の夢や目標に向かってポートフォリオを考えれば、資産運用の励みになることでしょう。あなたもご自分にぴったりのポートフォリオを作ってみてはいかがでしょうか。

※記事中で紹介したポートフォリオはあくまで一例です。最終的な投資の判断はご自身でお願いします。

執筆:丸山優太郎
東京都生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業の金融・経済・不動産ライター。おもに金融・不動産メディアで執筆し、市場分析や経済情勢に合わせたトレンド記事を発信している。

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