米国,ドローン配送
(画像=shutter2u/stock.adobe.com)

アメリカ連邦航空局(FAA)は、8月にドローンを利用した航空運送業者としてアマゾンを正式に認定しました。ドローン配送の分野では現状アマゾンが先行していますが、ウォルマートもこの分野に参入することを9月に発表しています。

これによりリアルとネットの2大小売り会社による、いわば「空中戦」がはじまることが予想されます。今回は、日本におけるドローン配送の動向を交えつつ、アマゾンとウォルマートの小売り空中戦についてお伝えします。

アメリカでは、すでにドローン配送が規制当局から認可

2020年8月、ECサイト大手のアマゾンはドローン配送サービス「プライム・エア(Prime Air)」の開始を視野に、アメリカ連邦航空局(FAA)からドローンを利用した「航空運送業者」としての認定を受けました。

これまでアマゾンのドローン配送をめぐっては、人や動物への衝突リスクなどが議論されてきました。安全性をめぐる課題を解決するために、アマゾンでは衝突を避けるための検知・回避システムをドローンに搭載させて、数千時間に及ぶ試験飛行をこなしてきました。こうした試みによりドローン配送の安全性が認められ、FAAから認可を受けることになったのです。

ただし、悪意を持った第三者による撃墜行為や天候不順など、残された課題はたくさんあります。こうした課題を解決することで、実際に商用でのドローン配送が行われるようになると考えられます。

アマゾンvsウォルマート。米国におけるドローン配送の動向

次に、アメリカにおけるドローン配送の動向を確認しておきましょう。

アマゾンは、ドローン配送の計画を2013年に発表し、2015年にカナダにて飛行実験を開始しました。数々の技術改良や飛行テストを経て、ようやく安全性が認められ、2020年にFAAからの認可を得た結果となりました。商用利用の許可は得たものの、実際に配送に用いられる時期は公表されていません。

そんななか、2020年9月から小売大手のウォルマートもドローン宅配の実験を開始しました。同社のドローンは、最大約3キログラムの荷物を約10キロメートル運ぶことが可能とのことです。

また、ウォルマート社は2020年9月15日より、有料会員サービス「ウォルマート+(プラス)」を開始します。これにより、ドローン配送分野のみならず、有料会員サービスの分野でもアマゾンと真っ向から勝負する形となっています。

「ウォルマート+」は、ECサイトで購入した商品の配送料が無料となったり、店舗に併設されたガソリンスタンドでの給油が割引となるなど様々な特典を利用可能になる会員サービスです。年会費は98ドルであり、アマゾンプライム(119ドル)を大幅に下回る価格設定となります。

日本におけるドローン配送の議論の現在

日本国内においても、日本郵便や楽天などが実証実験を行っており、着実にドローン配送の実用化が進んでいます。

ただし、アメリカと比べると日本にはドローン配送の実用化を妨げる問題点がいくつか存在します。まず最大の問題点となるのが、着陸場所の狭さです。アメリカの住宅には、ドローンが着陸できるだけの広大な敷地があります。日本は、マンションに住んでいる人が多かったり、一軒家でも庭が狭かったりするため、ドローンの着陸場所を確保するのが困難です。

また、ドローンの飛行禁止区域が多いなど法整備の遅れも、ドローン配送の実現を妨げる要因となります。

上記のような事情から、日本でのドローン配送の実用化に向けては、解決すべき課題が山積している状況だといえます。

新型コロナウイルスの影響により、家にいながら商品を購入する生活がますます定着しつつあります。そこから生まれる需要を取り込むために、今後は世界中で新たな競争が始まることが予想されます。現時点では法整備に課題があるものの、日本でもドローン配送をめぐる競争が始まるかもしれません。

文・J PRIME編集部

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