電子化,年末調整
(画像=sfio-cracho/stock.adobe.com)

いよいよ今年も年末調整の時期が近づいてきました。しかし、今年は“例年どおり”というわけにはいかないかもしれません。2020年以降の年末調整は税制改正大綱の影響を大きく受けることになるからです。この記事では、税制改正による影響と、それに対応した節税策を紹介します。

年末調整に大きな影響 税制改正大綱とは何か?

税制改正大網とは、翌年度以降に行う税制に関する変更の内容をまとめた文書のことを指します。毎年12月に決定され、この大網を基に具体的な税制改正が行われるのです。

なかでも、2020年以降の年末調整に影響を与えるのは「2018年度の税制改正大網」です。年末調整では、下記5つの変更点が特に重要です。

(1)基礎控除が38万円から最大48万円へ一律10 万円引き上げ
(2)年間所得2,400万円以上の場合に基礎控除が減額(2,500万円以上の場合はゼロ)
(3)給与所得控除が一律10万円引き下げ
(4)給与所得控除の上限額が220万円から195万円へ引き下げ
(5)給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額が1,000万円から850万円へ引き下げ

この税制改正では、年収850万円を超える給与所得者は所得控除額が減るため増税となります。年収850万円未満の給与所得者は、基礎控除と給与所得控除の増減が相殺されるため、今回の税制改正大網による影響を原則として受けません。

つまり、一般的な会社勤めの方の場合、年収850万円が損するか得するかの境界線となるわけです。

ついに電子申請が解禁。従業員・会社ともに効率アップ

頻繁に行われる税制改正により、年末調整の手続きはますます難しくなっています。そんな事情を踏まえて、2020年10月より年末調整の電子申請が解禁されることとなりました。

従来の年末調整では、年末調整申告書の記入や控除額の計算を従業員が自力で行う必要がありました。それが一転し電子申請が可能になったことで、従業員は控除証明書などを電子データで受け取り、それを年末調整のソフトウェアにインポートし、自動で年税額を計算できるようになります。書類作成や計算といった手間の大幅削減が叶ったのです。

また、会社側も電子化されたデータを使うことで、控除額を検算する手間や添付書類の確認を効率化できます。加えて、提出された申告書を保管するスペースも必要なくなるため、保管コストの削減にもつながるでしょう。

以上のように、年末調整の電子化は従業員・会社が費やす労力の大幅削減に期待できます。ただし、控除証明書の取り寄せや申請書の作成といった業務自体がなくなるわけではありません。あくまでも業務の効率化につながるだけであり、完全に年末調整の業務がなくなるわけではないので注意しましょう。

【参考】国税庁「年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)」

年収850万円超の所得者は控除制度の確認を

年収850万円を超える給与所得者は、少しでも控除を増やすことで節税を図ることが重要です。

具体的に活用できる制度としては、「医療費控除」や「寄附金控除(ふるさと納税など)」「生命保険料控除」「住宅ローン控除」などが考えられます。こうした制度を活用すれば、活用しない場合と比べて大幅な節税効果を得られます。

ただし、各制度には注意点があるため、それを踏まえた上で活用する必要があります。たとえばふるさと納税による控除額は、家族構成や所得金額に応じて限度額が設定されています。また、住宅ローン控除は、原則10年間しか控除を受けることができません。

【参考】総務省「ふるさと納税のしくみ」

控除を増やせば増やすほど、節税の効果が高まるのは事実です。各控除の仕組みや条件を理解し、適切に控除を受けられるようにしましょう。

税制改正大綱を確認し、各種控除を活用しよう

2018年の税制改正大網により、所得税の控除に関するルールが大幅に変更となりました。これにより、年収850万円を超える給与所得者は実質的な増税による負担がのしかかります。年末調整に向けて、少しでも損しないように積極的に各種控除を活用しましょう。

文・J PRIME編集部

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