セイコーウオッチは2020年9月、同社の最上級ブランド「グランドセイコー」生誕60周年を記念し、限定モデル「SBGC238」を10月9日に発売することを発表。同ブランドがさらなる挑戦を続ける意志を込め、強靭な武士の姿をイメージさせる「獅子甲冑(ししかっちゅう)」をモチーフとしたデザインをあしらっている点がこの限定モデルの特徴です。

ここでは、グランドセイコーの60周年記念モデルの魅力を多面的に解説していきます。最高峰の日本製腕時計が、アフターコロナにおける消費者のブランドへの志向を変化させることを予感させます。

グランドセイコー,獅子甲冑

ストイックに頂点を目指した戦国武将の甲冑をモチーフに

初代グランドセイコーが生まれたのは1960年。その時、裏ぶたにあしらわれたのが「獅子の紋章」です。60年後の現在も変わらずに刻まれています。記念モデルは、獅子の前足が腕をつかむかのような力強さを表現しながら、付け心地も追求しています。デザインモチーフとする「獅子甲冑」は、ストイックに頂点を目指し戦い抜いた戦国武将をイメージしたもので、時代を超えて語り継がれる生き様を現代人に提示しているのです。

また、ストラップに用いられているクロコダイル素材のレザーは、溝の部分にピンクゴールド色の塗料を塗布する「谷入れ」という手法を施しています。戦国時代の威厳と貫禄を讃える、甲冑の力強さを表現するためです。

ダイヤルには、獅子のたてがみをイメージした型打ち模様があしらわれています。合戦に向かう武将が甲冑の装飾に好んで用いた藍染の「勝色(かついろ)」をダイヤルカラーとして採用しています。

ケースは18Kピンクゴールド、日常生活用強化防水(20気圧防水)、外径は突起部を除いて44.5mm、厚さは16.8mmとなっています。ムーブメントは「キャリバー9R96(自動巻)」を搭載しています。

10月9日発売予定で、価格は税込み506万円。数量限定100本で販売されます。

グランドセイコーの独自機構「スプリングドライブ式」とは?

腕時計の性能は、心臓部ともいえる「ムーブメント」に大きく左右されます。では、60周年というアニバーサリーイヤーの記念モデルに採用されたムーブメント「キャリバー9R96」には、いったいどのような技術が詰め込まれているのでしょうか。

「キャリバー9R96」は、グランドセイコー独自の駆動方式である“スプリングドライブ式”のムーブメントです。

時計のムーブメントは、ぜんまい駆動を用いる“機械式”と水晶振動子を用いる“クオーツ式”に大別されますが、“スプリングドライブ式”は機械式とクオーツ式を高い技術で融合させ、日差1秒以内という高い精度を実現した機構です。構想から1999年に誕生するまでに、20年以上の開発期間を費やしたといいます。この機構は2004年からグランドセイコーの主要モデルに搭載され、日本の繊細なものづくりを象徴する技術として世界から高い評価を受けています。

スプリングドライブ式ムーブメントは、複数の種類が存在します。キャリバー9R96は、2007年に生まれた世界で最も高精度なぜんまい駆動のクロノグラフといわれるキャリバー9R86を、より高精度に調整したムーブメントです。キャリバー9R86が平均月差±15秒(日差±1秒相当)であるのに対し、キャリバー9R96は平均月差±10秒(日差±0.5秒相当)まで精度を高めているのです。

2つのムーブメントの違いを生んでいるのは、正確な電気信号を送るための「水晶振動子」です。キャリバー9R96には優秀な性能を発揮する厳選された水晶振動子が搭載され、職人が1つひとつの個体に合わせて調整することで比類なき精度を実現しています。

世界初のクオーツ式腕時計が世界に与えた衝撃

1960年代は、グランドセイコーが国産最高峰の機械式腕時計へと上り詰め、世界を驚かせた輝かしい時代でした。当時は鉄道の発達や工場生産管理の高度化にともなう時代の要請があり、精度競争が激しさを増していた時代だったのです。

さらに、セイコーは世界初のクオーツ式腕時計を投入しました。たんす並みの大きさであったクオーツの機構を、腕時計のサイズにまで小型化することに成功。機械式腕時計を中心にしていたメーカーは、誰でも手に入れられるリーズナブルで正確な腕時計の登場による「クオーツショック」を受けたのです。一時期低迷期を過ごしていたグランドセイコーの名前が、クオーツ式時計の登場で再び注目を浴びるようになっていきました。

アフターコロナの価値観にマッチするグランドセイコーブランド

現在、新型コロナウイルス感染症によって、世界中の価値観が変化しようとしています。技術に対して真摯であり現代のビジネスに正確な判断力を与えてくれること、歴史と現代の調和を意識した未来志向で新しいデザインを追求していることなど、グランドセイコーは、アフターコロナに求められる「誠実さ」という世界的な要求を高水準で満たしているように見えます。

60周年記念の獅子甲冑をモチーフにした1本には、グランドセイコーの歴史から現代に続くテクノロジーに至るまで、すべてが詰まっているのです。

文・J PRIME編集部

>>会員登録して限定記事を読む

【関連記事】
いま世界的に「ブランドロイヤルティ」が低下しているわけ?
遺伝子レベルの健康法。信頼できる検査サービスは?
富裕層は歯医者は自由診療に通うべき。歯科医療最前線
富裕層のための東京ウォーキングガイド
急成長中の長寿・アンチエイジング研究 テクノロジーで「不老不死」実現?