ブラウンの革製品

4月の新年度から半年が過ぎる10月は人事異動の季節です。昇進、あるいは新たな役職に就任するという方も出てくるタイミングとなります。お世話になったあの人へ、何を贈ろうか、と悩む方もいることでしょう。そんなときに強い味方になってくれるのが、百貨店のコンシェルジュサービスです。

大丸松坂屋百貨店では、お得意様ゴールドカードの会員が利用できるウェブサービス「connaissligne(コネスリーニュ)」から、電話、メール、チャットなどの方法で、贈答品に関するさまざまな相談ができます。ここでは、実際の問い合わせに対応している、大丸松坂屋百貨店のロイヤルアテンダント、佐々木恵さんに、昇進祝い、就任祝いにふさわしい贈り物について、エピソードを交えながら話を聞きます。

昇進祝いを贈ることで伝わること

昇進、就任祝いを贈るタイミングについて、考えてみましょう。付き合いのある企業の知人が役員に昇進、就任した時。以前お祝いをいただいていた方の昇進、就任の際にお返しをするときなど、実際にはさまざまな場面があると佐々木さんは話します。

一般的な昇進、就任祝いの相場は1万円から3万円。社長など特別な役職の場合でも3万円から5万円とされています。決して無理な金額ではなく、気持ちを伝えようと贈り物を選びに百貨店に相談に訪れる顧客が多いことがわかります。

昇進、就任祝いで定番といわれる品物は、たとえば、時計や名刺入れなどの身につけられるもの。ネクタイは、首を絞めるという意味でNGなどとも言われている一方で、実際には最も選ばれている商品なのだそうです。「最近のお客様はあまりそういったことを気にしなくなっている」と佐々木さんは話します。

贈り物を探しに百貨店を訪れる顧客を見ると、男性から男性に贈るケースが実は一番多いとのこと。「女性に贈るという場面が意外に少ないことに気づきます。女性は贈答よりも、3、4人で食事に行ってしまうのではないかと想像しています」と笑顔を見せます。

洞爺湖サミットの要人への贈り物になったソメスサドルの魅力

革のショルダーバッグを身につけた女性
ショルダーは、ソメスサドルの人気アイテムのひとつ


では、経験豊富なロイヤルアテンダントとして、佐々木さんは昇進祝いを探す顧客にどのようなものを勧めているのでしょうか。参考になるエピソードを聞きます。

60歳くらいの男性会社役員の顧客が、40、50代と思われる知人男性の昇進祝いを探しており、佐々木さんはその商品選びを手伝ったそうです。大丸東京店7階の紳士服売り場で待ち合わせたその男性顧客は、仕事から離れても手ぶらにならず、革製のカジュアルバッグを上手に使いこなす「おしゃれ上級者」という印象。余談ですが、「オンとオフでバッグを使い分けているかどうかが、おしゃれな男性かどうかの見分け方の1つ」だそうなので、気をつけたいところですね。

男性顧客の希望は革製品の贈り物。バッグであれば、ここ数年で定番化しつつあり、若い層に人気があるクラッチ、カジュアル過ぎずまた両手が空くショルダー、トートバッグも人気があります。また、ベルトという選択肢もあります。

ブラウンの革製品たち
ソメスサドルのバッグは、トート、ショルダーなどバリュエーションも豊か


ここで、佐々木さんが男性顧客に勧めた革ブランドは、馬具の製作にルーツを持つバッグメーカーのソメスサドルです。男性顧客が持っていた斜めがけバッグも、実はソメスサドルのものです。

明治以来、北海道の開拓を支えてきた馬具づくりの技術を受け継ぎ、世界市場に通用する馬具を作り出そうと職人が集まって、1964年に北海道歌志内市に誕生したメーカーです。SOMMET(頂点)とSADDLE(鞍)が社名の由来です。

武豊さん、ミルコ・デ・ムーロさんなど、ソメスサドルの馬具を愛用する騎手は多く、JRAでは80%近くのシェアを持ちます。また、昭和から平成、平成から令和になる儀式で天皇陛下がお乗りになった馬車や、来日する各国大使の馬車の馬装具として、また洞爺湖サミットで各国首脳やファーストレディに贈られたダレスバックやボストンバッグに、さらにG8(主要国首脳会議)で円卓に置かれた革製のデスクマットやトレイなどは、いずれもソメスサドル製です。

素材として、ヨーロッパ各国で上質な革を探し、取り寄せています。作り込みの複雑な工程はすべて手作業。皮一枚一枚の個性を見極めて革製品を作り上げます。他の鞄メーカーにはない、馬具用のミシンを使うところが大きな特徴です。馬具用のミシンにより、皮と皮の圧着が深くなったり、中に皮の芯を入れて芯ごと針を通したりなど、かなり特殊で個性的な製作を可能にしているのです。

馬具を縫っている
サドルステッチ(二本針)の手縫いによる堅牢な作り


このソメルサドルの商品を佐々木さんが自信をもって勧める中で、男性顧客が最終的に選択したのは、ベルトでした。価格は1万1,000円(税込)。馬には古来、前進するという意味合いが込められるなど、「神様の乗り物」として知られ、縁起がよいと言われています。手ごろな価格で、ソメスサドルのベルトを贈れるというのであれば、贈った男性顧客と贈られた方の双方に笑顔がこぼれたであろうことが想像できます。

ブラックの革ベルト
男性顧客が選択したのはソメルサドルのベルト。価格は1万1,000円(税込)
※画像はイメージです