ひげをたくわえた男性
子どもの頃からファッションのみならず、ライフスタイルにかかわるもの全般に興味があったという神藤光太郎さん。すべてをマニアックに追究する彼にとっても、〈エルメス〉は別格なブランドだと言う。


10を超えるイタリアブランドのエージェントとして活躍。ブランドリサーチや開発、ブランディングなどファッションに関するさまざまな事柄を手がける「スピラーレ」の代表を務める神藤さんは、洋服から時計、バッグ、革小物などあらゆるジャンルに精通している。「なんでも好きで、なんでも持っている」と笑いながら今回、見せてくれたのは、ちょっと珍しい〈エルメス〉の小物たち。


人とはちょっと違う、クセのあるものが好き

銀色のブレスレット
超極太のブレスレット《ブックルセリエ》。素材はシルバー925。存在感も抜群のヴィンテージ品だ。



机に置かれた2つの銀色のブレスレット
下のブレスレットは、上の《ブックルセリエ》より以前、13年前くらいにドイツのエルメスブティックで購入した。素材は同じくシルバー925。


「ちょっと変なものが好きなんです」と開口一番に神藤さん。〈エルメス〉でもHのモチーフが入っている定番はあえて選ばない。他の人と同じはイヤ、というわけではないが、自分の好みをたどっていくと、そういうものに行き着くのだという。

ずっしりと重い、シルバーのブレスレットも意外に知られていないアイテムとのこと。
「両方とも10年以上前のモデル。あまり〈エルメス〉のイメージではないかもしれませんが、こういった太いブレスレットもすごく格好いいです。極太なので見た目は存在感がありますが、着けるとけっこう自然に馴染んでくれます。どういう服に合わせるなどは特に決めていなくて、なんとなく今日の服に合うかな、と気分で着けています」

また、サハラ砂漠に住む少数民族の遊牧民、トゥアレグ族の伝統的な彫金技術によって製作された《トゥアレグ》シリーズのバックルがついたベルトも、ちょっと珍しいモデルだ。
「よく知られているのはHの形をしたバックルだと思うのですが、僕の好みはこちら。ブティックで買うこともあるけれど、買い損ねたものはヴィンテージショップで探したりもします」

黒いベルトに銀色のバックル
《トゥアレグ》のバックルがついた黒の革ベルト。ひとつひとつ手作業でエングレービングされている。



ユニークなバックルのベルト
同じく《トゥアレグ》の赤茶の革ベルト。服に合わせて使い分けている。


そして、10数年前にハマっていたのというのが、〈エルメス〉の定番アイテムであるプリントのネクタイ。
「いいなと思うプリントを見つけるたびに買っていました。とにかく柄が好きなんです。いろんな時代のものがあるのですが、それぞれの時代のテイストが表現されている気がします。また、一般には動物柄が人気ですが、個人的には幾何学柄などのほうが好き。動物柄で持っているのは孔雀と馬くらいですね。特に気に入っているのは、邪視を跳ね返すといわれる護符“ファティマハンド”をモチーフにしたもの。最近は無地のネクタイを着ける機会が多いので、あまりこれらは登場していないのですが、大事にしまってあります」

様々な色のネクタイが並べられている
「発色も素晴らしい」と言うシルクのネクタイ。「数えきれないほど持っています」


最新モデルよりも自分のスタイルに合うものを

ネクタイだけでなく、昔購入したものでも気に入ったらずっと大事にしている。
「今シーズンのものでなくても、自分が納得できるならいいという感じ。今日来ているシャツも7年前に買ったものだし、ジーンズも17年くらいはいているんじゃないかな」

「僕はもの持ちがすごく良くて、気がつくと10年くらいすぐに経っています。なので、家にはたくさんものがある。ちょっとしたブティックが開けるくらいです(笑)。ただ、基本的には長く身に着けられる上質なものをそろえているので、何年経っていようと今の気分に合っていれば、普通に活用しています」

トレンドに振り回されないのは、確固たる自分のスタイルを持っているからでもある。ヴィンテージの〈エルメス〉の時計もずっと存在は知っていたが、手に入れる機会がないと思っていたところ、たまたま海外オークションに出品されているのを見つけてようやく購入に至った。シンプルなフェイスで、スーツにもカジュアルにも上品に着けることができる。

「時計に関しては、一時期、僕が“借りている”イメージです。もし僕が手放しても、次の誰かの手に渡って、この先、何十年と残っていくもの。〈エルメス〉の時計には、そんな時代を超えた良さがあると思います」

2つの腕時計
下は1940年代にロンドンだけで売っていたモデル。中の機械はイギリスの時計メーカー〈スミス〉が作っていた。上は下よりちょっと時代が新しいが、やはりロンドン限定モデル。中の機械はスイス製。ベルトは付け替えている。


バッグも10年くらい前に買ったものだが、使い勝手の良さからずっと使い続けている。
「自転車通勤をしているので、肩にかけられるのがいいんです。ヘビーユーズしている《コロラド》はキャンバス地がちょっと擦れているのですが、もともとの質が良いのでそういったダメージも味になっている気がします」

黒いショルダーバッグ
10年程度使っている《コロラド GM》。これを斜めがけして自転車通勤をしている。


〈エルメス〉の魅力をひと言でいえば、「ものづくりをきちんとしているところ」だと神藤さんは言う。そして、「ブランディングも非常にしっかりしています」とも。
「〈エルメス〉なら間違いないという、絶大な信頼感があります。素材の質の良さ、技術の素晴らしさ、革新的なデザインなど、どのブランドの追随も許さない。別格ですね」


神藤光太郎
Kotaro Shindo
(プロフィール)
大阪出身。大学在学中にイタリア留学し、イタリアクラシックファッションの要人たちとの交流を深める。〈ストラスブルゴ〉を運営するリデア社に参画し、数々のブランドを日本に紹介。2018年、「スピラーレ」を設立し、新たな形のファッションビジネスを模索中。今年10月オンラインストアをオープン。YouTubeチャンネルも開設。

撮影/兼下昌典 構成・文/三宅和歌子

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