毎月1本、季節の旬の食材によく合う日本ワインをご紹介。セレクトするのは、日本ワインに特化した定期イベント「LIFE with WINE」を主宰する栁 佐織さん。 「今月紹介するのは、勝沼のダイヤモンド酒造による赤ワイン。日本が世界に誇る固有のブドウ品種、マスカット・ベーリーAを使い、上品な香りと味わいに仕上げたワインは、なんと“秋刀魚のワタ”に驚くほどよく合うのです」

騙されたと思って試してほしい秋刀魚との絶妙なマリアージュ
マスカット・ベーリーAは、O.I.V(国際ブドウ・ワイン機構)に世界基準のワイン用ブドウ品種として登録された、甲州に続く日本を代表するブドウ品種。世界において日本ワインの注目度を高めている重要な品種でもあります。
日本ワインの屈指の産地、甲州市勝沼町にあるワイナリー「ダイヤモンド酒造」は、白ワインなら甲州、赤ワインならマスカット・ベーリーAと、日本固有のブドウ品種に特化したワイン造りを行っています。現在、主にワイン醸造を担っているのは、フランスのブルゴーニュで修行をしてきた三代目の雨宮吉男さん。マスカット・ベーリーAを使ったワインは、畑や醸造の過程の違いにより、5種類も造られ、それぞれに味わいが異なります。
今回紹介する「ますかっと・べーりーA イグレック・カレ キュヴェK」は、勝沼よりも高地の韮崎市穂坂地区で収穫された高品質のマスカット・ベーリーAを、24か月間樽熟成させたワイン。この品種の特徴でもあるイチゴキャンディのような甘い香りを、樽香で巧みに包み込み、成熟したエレガントなワインに仕上げています。それはまるで、ブルゴーニュの最高級品種、ピノ・ノワールを思わせるような味わい。まさしく吉男さんならではの、ブルゴーニュ仕込みの樽使いによって生み出された至極のワインなのです。
秋刀魚が旬を迎える秋は、ブドウの収穫期でもあります。以前、柳さんが収穫のお手伝いにダイヤモンド酒造を訪れた時、吉男さん自らお礼にと、焼き秋刀魚と一緒にこのワインをすすめてくれたといいます。驚くべきは、秋刀魚のワタとの絶妙な相性でした。独特のほろ苦さをワインのほどよい酸味が引き立て、その後味の良さにまた箸が伸びるという無限ループ。秋刀魚に粉山椒をひと振りすると、また格別な味わいになります。日本の四季において旬を味わう素晴らしさをあらためて感じさせてくれる、この時季ならではのスペシャルな組み合わせです。
Wine of the month

http://www.jade.dti.ne.jp/~chanter/
The perfect glass for this wine

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WINE MAKER

ダイヤモンド酒造/雨宮吉男さん
ダイヤモンド酒造
山梨県甲州市勝沼町下岩崎880
☏0553-44-0129
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撮影/相沢千冬 構成/横山直美(cat)