毎月1本、季節の旬の食材によく合う日本ワインをご紹介。セレクトするのは、日本ワインに特化した定期イベント「LIFE with WINE」を主宰する栁 佐織さん。 「今月紹介するのは、北海道の人気ワイナリー『農楽蔵』(のらくら)のノラポン・ブラン。辛口の白ワインでありながら、トロピカルフルーツを思わせるフレッシュでリッチな香りとともに、夏を満喫できる一本です」

ワインとフルーツ
黄金色をした辛口の白ワイン、「ノラポン・ブラン」のブドウ品種は北海道余市町産ケルナー100%。トロピカルフルーツのような甘い香りが特徴のワインだが、2019年はブドウについた貴腐菌の影響で、より豊潤でトロリとした口当たりになった。「甘い香りとともにハーブのような爽やかさもあって、とてもバランスの良い味わいです。トロピカルフルーツと一緒に口に含むと、相乗効果で果実味豊かな香りが口いっぱいに広がり、幸せな気分になれます」


北海道らしさを感じる高貴な香りの辛口白ワイン

楽し気なイラストのエチケットが印象的な「ノラポン・ブラン」は、北海道・函館にあるワイナリー「農楽蔵」による人気の白ワインです。

「農楽蔵」は設立十年ながら、注目度がとても高いワイナリーです。運営するのは夫婦で醸造を手がける佐々木賢さんと佳津子さん。それぞれにフランスの醸造技術の資格をもつ二人は、知識と経験をもとに、強い信念と愛をもってワイン造りをしています。亜硫酸を使わず、野生酵母で発酵を行うという、丁寧な造りのワインには、今や入手困難となるほど熱烈なファンが多いのも納得できます。

「ノラポン」シリーズは、農楽蔵がイメージする“北海道らしさ”を表現したといいます。白ワイン「ノラポン・ブラン」の原料であるケルナーはドイツ原産のブドウ品種ですが、今や北海道のとりわけ余市町がケルナーの名産地として世界でも注目されています。ケルナーは、ブドウ由来のフレッシュな香りが特徴で、ワイン用語ではこれを“アロマティック”な品種と表現します。「ノラポン・ブラン」は、トロピカルフルーツと柑橘系の花、はちみつの甘い香りがとても華やか。さらに2019年は高級な甘口ワインの原料となる貴腐ブドウにつく貴腐菌がついたことで、より濃密な香りとトロっとした質感に仕上がっています。

フルーツの香りが高いアロマティックなワインは食前酒として考えがちですが、「ノラポン・ブラン」は、幅広い食事に合うようなバランスを追求して造られています。甘い香りにして味自体は辛口、酸味も穏やかで、品の良さすら感じさせます。実際にパッションフルーツやマンゴーなどのトロピカルフルーツと一緒に口に含むと、果実の甘みや酸味をうまく引き出し、実に心地よい味わいを体感できます。一方、ハーブのような爽やかさも含まれているので、白身魚のカルパッチョなどに合わせても、さっぱりとしておすすめです。

Wine of the month

ノラポン・ブラン
農楽蔵がイメージする“北海道らしさ”を表現したノラポン・シリーズのブラン(白ワイン)。北海道余市町産ケルナーのみを使用(補糖、補酸、濃縮なし)。亜硫酸無添加。動物たちが陽気に歌う絵がチャーミングなエチケットは、トウヤグラフィックスによる「北海道の夏」をイメージしたもの。ノラポン・ブラン¥2,860(税込)/農楽蔵
http://www.nora-kura.jp/sakaya.html
※醸造所では販売をしていないので、HPより取扱店を参照のこと。


The perfect glass for this wine

リースリング用グラス
今回栁さんが選んだのは、ボトムラインがフラットで波打つようなシルエットが特徴的なのシリーズのリースリング用グラス。「たっぷりとした大きさのグラスのなかに、アロマが閉じこめられて、贅沢に香りを楽しめます。時間をかけてゆっくり飲むときに使いたいグラスです」。栁さんがセレクトしたワイングラス<リーデル・ワインウイングス>リースリング(1個入り)¥4,950(税込)/リーデル青山本店☏03-3404-4456
https://shop.riedel.co.jp/products/detail.php?product_id=947


SELECTOR

栁佐織・SAORI YANAGI
日本ワインの魅力を伝えるべく、「日本ワインを、日常に。」をスローガンに、造り手と飲み手をつなげる「LIFE with WINE」を2012にスタート。日本全国の造り手を招いて行われるイベントは14回にも及ぶ。ワインエキスパート資格所持。日本各地のワイナリーを訪ねて収穫を手伝うなど、生産者たちとのつながりも深い。
https://www.facebook.com/LIFEwithWINE/

WINE MAKER

農楽蔵/佐々木賢さん
NORAKURA
農楽蔵/佐々木賢さん
2012年、北海道・函館市の街中に、無駄を省いた設備を用いてコンパクトな醸造所を開設。賢さんはフランス・ブルゴーニュ大学の醸造技師とフランス国家認定の農業上級免状、妻の佳津子さんはフランス国家認定の醸造士の資格を所持している。
「ノラポン・ブランは、ケルナーをシンプルに醸造していますが、アロマティック品種でも食事に合うよう、ピュアさと複雑さのバランスを農楽蔵なりに追求したワインです。2019年は、特徴通りトロピカルフルーツの香りが満載、あとはキンカンやキンモクセイ、柑橘系ハーブなど。2018年に引き続き貴腐感を感じます。暑い年でしたので酸は控えめで、トロッとした口当たり。石油香やハチミツ感は早めに(1年後あたりから)出そうですよ」   

農楽蔵
北海道函館市元町31-20
☏非公開
http://www.nora-kura.jp/
※見学不可

撮影/相沢千冬  構成/横山直美(cat)

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